
東京・飯田橋で開催されている無煙定例会で顔を合わせる知人から
多摩市薬物乱用防止推進協議会会長の藤原マサノリさんを紹介され
中央内科クリニック院長の村松弘康医師とともに面会したのは2年前のことでした。
昨年、村松弘康医師が社会派セミナー第5弾の講師として
「受動喫煙の恐怖!」について、医師の立場からお話しされ
参加者の皆さんが驚愕されていたことは、私の記憶に鮮明に残っています。
今年も、第6弾の社会派セミナー「受動喫煙の恐怖!」パートⅡを開催されるとのことで
講師としてお招きいただき、14日(土)に多摩市立関戸公民館でお話をしてきました。
冒頭に、この日の司会者で有害情報から子供を守る会代表の山嵜香澄さんから自己紹介が
続いて藤原マサノリさんからセミナーの意義に関するお話と、私の紹介がありました。
この講演のテーマは「タバコで苦しむのは誰?」です。
タバコで苦しむのは…、タバコを吸っている人(能動喫煙者)。
大多数の方は、この事実について、程度の差こそあれご存知でした。
ただ、どう苦しむのか、病気になるから苦しむのか、そこから死に直面して苦しむのか
それとも闘病生活がつらくて苦しむのか、タバコへの浪費で苦しむのか
いったん吸い始めるとやめたくてもやめられなくて苦しむのか…。
苦しみの発生する場面や要素が、実はいろいろあるのだということはなかなか気づきにくく
そうしたこともお話して、苦しみは病気だけではないことに気づいてもらう試みをしました。
タバコで苦しむのは…、タバコの煙に曝されている人(能動喫煙者を含む受動喫煙被害者)。
「受動喫煙」については、昨年の講演で村松医師が詳細にお話しされたことや
受動喫煙に関する情報を得る機会が増えたことで、皆さん言葉も内容もよくご存知でした。
そこで、会場の皆さん約25名に、サードハンドスモーク(残留受動喫煙・三次喫煙)について
言葉だけでも聞いたことがある方に挙手してもらったところ
手を挙げた方はたった1名でした。
この日のセミナーの主催は、有害情報から子供を守る会と多摩市薬物乱用防止推進協議会で
皆さんはそれらの問題に関心があるからこそお集まりになった方々です。
そのなかで、サードハンドスモークについて知っていた方がお一人という状況は
これまで、タバコに関する情報がタバコ企業の都合で隠蔽され
その資金提供を受けているメディアが、偏った報道をしてきたことの証でもあります。
タバコで苦しむのは…、葉タバコ農園で働かされ、タバコ病になっている子供たち。
日本国内での葉タバコ農園における児童労働がないため顕在化しない問題ですが
海外では、タバコ農園で働かされている貧困層の子供たちがたくさんいます。
タバコ農園での児童労働については、当ブログ2017年1月5日に掲載記事がありますので
そちらに目を通してくださればと思います。
この問題については、皆さんがかなり衝撃を受けられた様子が
手に取るようにわかりました。
私はお話のなかで、具体的な数字が出てきた時に
「何万人です」とか、「何㎢あります」と伝えるだけでなく
伺った自治体の人口や面積などを皆さんにお聞きし(事前調査もしておきます)
それを基準に考えてもらうようにしています。
この日ご紹介したアフリカの国・マラウィで葉タバコ栽培に従事する子供たちは約7万8000人。
多摩市の人口は約14万7000人で、マラウィだけでも多摩市の人口の半分以上の子供たちが
葉タバコ農場で働かされているとお話すると、皆さんからため息が漏れました。
ある方は、このセミナーの後、帰宅後にこの問題をご家族に話してくださったそうです。
ご家族も衝撃を受けられ、高校1年生のお子さんは絶句していたとのこと。
こうして、ご家族や周りの方にお話ししてくださることで
タバコの問題が吸う人と吸わされる人だけの問題ではないことを
多くの方々が知る手助けになることでしょう。
ありがとうございます。
タバコで苦しむのは…愛する人を亡くした遺族や友人・周囲の人々。
喫煙者が亡くなった後でも、遺族の苦しみが続いていることを知る機会も少なく
また、遺族はあまりのつらさに多くを語らず、また、語る機会もないのが実情です。
私はたまたま父が入院中にしたためた『闘病MEMO』を残してくれて
本を出版し、講演のお招きにも与るようになりましたので
皆さんの前でお話しできますが、残された人がなぜ苦しむのか
どんな場面で苦しむのかは、わからないことと思います。
講演が終わった後、司会をされていた山嵜さんが
お連れ合いを肺がんで亡くした時のことを思い出し
「お話を伺って身につまされました。
当時のことを思い出して、まさかこんな気持ちになるとは…」
と、涙を浮かべて、ご自身の体験をお話してくださいました。
山嵜さんを悲しい気持ちにさせてしまったこと、とても申し訳なく思います。
そのようななかで、山嵜さんがご自身の体験とお気持ちを話してくださったことは
皆さんの心に響き、このセミナーがさらに有意義なものとなったことと思います。
ありがとうございました。
タバコで苦しむ人は、吸う人と吸わされている人だけではありません。
これほどタバコで苦しんでいる人がいるのに、蔭で笑う人たちがいる。
これほどの苦しみを生み出している物を売って、儲けて笑う人たちがいる。
セミナーに参加された皆さんは、タバコの本質がどのような物か
タバコによってどれほど多くの人が犠牲になっているか、おわかりいただけたと思います。
熱心に、耳を傾けてくださった皆さん、ありがとうございました。
私たちは、どうしてもタバコの問題を吸う人と吸わされる人の対立として捉えがちですが
その蔭で、犠牲者の連鎖を生み出しながら巨万の富を得て
ほくそ笑んでいる人たちがいることをお忘れなく。
・他の先進国はマリファナが解禁であったり、違法であっても日本と比べてかなりユルい規制ですがそれについてどのようにお考えでしょうか。
・また、海外において室内全面禁煙であっても路上喫煙が日本と比べてかなりいい加減ですかそれについてはいかがでしょうか。
・児童労働というのはタバコ農家というより、児童労働自体の問題です。が、日本人が途上国に対し単に上からの目線でヒドイことだと話のネタにするようなことではないと思います。
・アルコールの一気飲みで多くの大学生など若者が亡くなっております。
→存じております。
・他の先進国はマリファナが解禁であったり、違法であっても日本と比べてかなりユルい規制ですがそれについてどのようにお考えでしょうか。
→他の先進国の判断の結果であり、不都合が出てくれば規制が強まり、不都合がなければ規制が緩まるだけのことです。それができるかどうかは、その国の民度と政治力の問題でしょう。
・また、海外において室内全面禁煙であっても路上喫煙が日本と比べてかなりいい加減ですかそれについてはいかがでしょうか。
→タバコ対策の視点の違いで、そのような差異が出ているものと考えられます。
今後は海外でも屋外規制が強まると推測しています。
・児童労働というのはタバコ農家というより、児童労働自体の問題です。が、日本人が途上国に対し単に上からの目線でヒドイことだと話のネタにするようなことではないと思います。
→児童労働がタバコ農家の問題であるとは、一言も書いていません。
また、タバコ農園における児童労働は、途上国に限定されて行われていることではありません。
また、「日本人が途上国に対し単に上からの目線でヒドイことだ」とも書いていませんし、お話ししてもいません。
何か勘違いをされておられるようです。
また、「日本人が途上国に対し」と仰いますが、私が日本人であるかどうかなど、喫煙者さんにはおわかりにならないことだと思います。
話のネタにするかしないかは私が決めることで、喫煙者さんはすることではないとお考えでも、私はする必要があると考えているからお話し、書いているのです。