喫煙を考える

「喫煙」という行為について共に考えましょう。
タバコで苦しむのは、喫煙者本人だけではありません。

20歳未満喫煙防止キャンペーン、2024年度から埼玉県立高校生は不参加に!(2) ~タバコ業界に狙われた高校生たち~

2024-10-27 18:25:52 | タバコ問題への取り組み

お知らせ
 先日掲載した、埼玉県内における20歳未満喫煙防止キャンペーンの記事は
 タイトル・構成を見直し、内容を大幅に変更しました。
 以前の記事は削除し、改編した記事を掲載することにしました。


 

20歳未満喫煙防止キャンペーン、2024年度から埼玉県立高校生は不参加に!(1)
 ~生徒の組織的動員が常態化していた埼玉県~ - 喫煙を考える
からつづく


埼玉・タバコと健康を考える会(以下、埼玉の会と略す)では
過去に20歳未満喫煙防止キャンペーン(以下、喫煙防止キャンペーンと略す)に
参加していた埼玉県内の高校に宛てて、2023年にアンケートを送付しましたが
回答があったのはたった3校で
その3校は既に喫煙防止キャンペーンへの参加を中止していました。
また、2020年からのCOVID-19の流行によって、喫煙防止キャンペーンは中止になったり
各地のたばこ組合の組合員と自治体職員・議員などだけで実施しており
高校生の参加が見合わせられていました。
そのため、アンケート内容が時節柄と合致しなかったのだと思います。

現在、生徒の喫煙は以前と比べて激減
ゲーム依存やスマートフォン依存が問題になっているそうです。
タバコ業界は、減少する喫煙者を若い新規喫煙者で補填しなければ商売が成り立たないため*1
若者の興味がタバコ以外の物に向かうことに危惧を抱いており
若者をタバコに振り向かせるための絶好の機会として喫煙防止キャンペーンを重要視しています。
この2年は人気漫画とコラボし、プレゼントが当たるキャンペーンも展開しています。
タバコ業界にとってありがたいことに、喫煙防止キャンペーンは「いいこと」に偽装可能で
場合によっては行政や政治家までもが偽装された「いいこと」に気づかず、協力します。
タバコ業界からしたら「行政も政治家も校長も、チョロいもんだ」というところでしょう。
メディアにとってタバコ業界は広告のお得様なので(地域メディアの社員談)
喫煙防止キャンペーンのニュースも流してくれます。
こちらもタバコ業界の莫大な資金のもとには、「チョロいもんだ」というところでしょう。

改めて、喫煙防止キャンペーンの問題点を挙げると

1.20歳未満の若者にタバコ業界が直接アプローチできる機会になること
2.社会貢献の姿(いいこと)を見せ、タバコ業界への社会的許容度を高めようとすること
3.喫煙防止キャンペーンの効果は、駄目といわれたことに対してむしろ関心が高まる
  「カリギュラ効果」として発揮されること*2
4.たばこ組合主催のキャンペーンに行政(教育委員会・自治体・警察など)が協力していること*3
5.喫煙防止キャンペーンは、タバコ業界の社会的責任(CSR)の一環に見せかけた
  タバコの販促であること*4

などで、日本学術会議は『脱タバコ社会の実現に向けて 』2008年3月4日)のなかで

  また、タバコ産業の未成年者喫煙防止キャンペーン(「たばこは 20 歳になってから」など)に対する、内閣府などの後援を中止するべきである。このキャンペーンは、結果的にはタバコ産業を守り、タバコ規制を妨害しているとの報告もある (64) 。むしろ、重大な健康被害に関する警告(「たばこを吸うと肺がんになります」、「たばこを吸うとしみやしわが増えて老化が 10 年進みます」など)の方が未成年者の喫煙したくないという気持につながりやすいと報告されている(65)。したがって、タバコ産業は、一種の宣伝活動ともいえる未成年者喫煙防止キャンペーンを中止するべきである。 

と提言し、喫煙防止キャンペーンに問題があることを指摘しています。

しかし、タバコ産業が「はいそうですか」とすんなり聞き入れることはありませんので
まずは行政が後援や参加を中止するよう、市民が求めて行くことこそ重要です。

私は、タバコ問題の活動をしている知人に依頼し
奈良県警、京都府健康対策課、京都府教育委員会体育健康教育室が
喫煙防止キャンペーンへの参加や20歳未満喫煙防止協議会などの会議への出席を
FCTCを理由に不参加としている文書を提供してもらいました。
日本学術会議の提言や提供してもらった他府県の例も根拠にし
喫煙防止キャンペーンへの高校生の不参加を求める要望書を、埼玉県教育局に提出しました。



一方、埼玉の会のアンケートの回答は、たった3校しかなかったものの
アンケートに添付した、たばこ組合連合会の「かわら版」のコピーが発端になり
高校の教職員や校医が喫煙防止キャンペーンの実態を詳しく知ることになりました。
これまで
「校長の判断で喫煙防止キャンペーン≒地域の行事に生徒を参加させている」
という程度の認識でいたと思われる教職員や校医が
喫煙防止キャンペーンの本質は
「タバコ業界がタバコ業界のために行政や学校を利用し、計画的・組織的に生徒を動員している」
ということに気づいたのです。
                                
                             (3)につづく


*1 https://ajph.aphapublications.org/doi/pdf/10.2105/AJPH.92.6.917
*2  淡路医師会(洲本市医師会・津名郡医師会・三原郡医師会).「淡路圏域における
未成年喫煙防止のための小・中・高校等の児童・生徒および学校の喫煙状況調査報告書(速報)
2003 年 3 月」

*3 WHO たばこ規制枠組条約第 5 条 3 項の実施のためのガイドライン
「たばこ規制に関する公衆衛生政策をたばこ産業の商業上及び他の既存の利益から保護すること」

*4 たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約第 13 条実施のためのガイドライン
(たばこの広告、販売促進、および後援)


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