喫煙を考える

「喫煙」という行為について共に考えましょう。
タバコで苦しむのは、喫煙者本人だけではありません。

埼玉県東部地区議員有志勉強会「市民のための喫煙対策」

2021-03-29 23:19:21 | タバコ問題への取り組み

3月26日(金)、小児科医で十文字学園女子大学名誉教授・健康管理センター長で
日本禁煙推進医師歯科医師連盟会長の齋藤麗子氏を講師に迎え
「市民のための喫煙対策」をテーマに、勉強会を開催しました。
この勉強会は、私が居住している久喜市の議員の何人かに
「党、もしくは会派でタバコ問題に関する勉強会を開いてほしい」
と、以前からお願いしていたところ
地方政治改革ネットワーク所属の猪股和雄議員(市民の政治を進める会)が
埼玉県東部地区の有志の議員にお声がけくださり実現しました。
会場は、辻浩司埼玉県議会議員の事務所をお借りし
密にならないよう現地参加とリモートで分散して行われました。


事務所を会場として提供してくださった辻議員に、お礼申し上げます。
ありがとうございました


冒頭に齋藤氏から、現在進行形の問題として
新型コロナ感染症(COVID-19)とタバコについてのお話がありました。
喫煙・受動喫煙が新型コロナ感染症の感染リスク・重症化リスクを押し上げることに
「本当ですか?」
と、驚いている議員の方もいらっしゃいました。
齋藤氏によると、感染者や重症者のデータが医療機関や保健所などでかなり蓄積されてきており
国内でそれらを裏づける疫学論文が続々と発表される日も近いのではないか、ということでした。


そうしたなかで、自治体があえて税金を使い喫煙所を造る意義はあるのかを考え
市民の命を守るこれからの対策は、以下の考え方を基に進めよう、という内容でした。

タバコ税に頼らない → 医療費の削減
 タバコ税に頼るということは、タバコを吸う大義名分を与えてしまう
 超過医療費・介護費・労働損失・火災などの経済的損失の方がタバコ税より多額
 タバコ税を活用するなら、禁煙治療や疾病対策に

次世代に正しい知識を → 喫煙者の減少
 子供は大人のまねをする
 子供のいる環境からタバコをなくす(公園の禁煙化、誤飲防止)

喫煙できる場の縮小 → 吸うことをやめるきっかけ
 タバコを吸える場所があれば吸ってしまい、禁煙の機会を奪う
 吸える場所が減っていくことで受動喫煙も減る
 
受動喫煙を生じさせない → 呼吸器疾患やタバコ関連病の減少
 自治体に求められているのは、受動喫煙をなくすこと

タバコ規制枠組条約(FCTC)の周知 → 世界標準を知る
 日本のタバコは安い
 実態を伝えない日本のタバコパッケージデザイン
 外務省はFCTCを周知させることをしない
 議員として一度はFCTCを読んでほしい
 FCTCのとおりに実行したら、日本はすばらしい国になる
 
禁煙支援 → 子供の尿中コチニン検査
 健康増進法改正の趣旨は受動喫煙による健康影響が大きい子供や患者に配慮すること
 熊谷市の生徒への尿中コチニン検査で、家庭での受動喫煙が可視化
 子供が喫煙を開始したこともわかる
 保護者への禁煙啓発にきわめて有用で、禁煙のきっかけに
 保護者からの評価も高い


講演後は何人かの議員の方から質問やお話がありました。
・タバコを吸う議員から「あなたはタバコを吸わないからわからないんだ」といわれる
・「タバコを吸っていても長生きする人もいるじゃないか」といわれる
・タバコによる超過医療費・介護費・労働損失・火災などの経済的損失の試算はあるのか
・市庁舎が敷地内禁煙になったが、市庁舎近くの敷地外で喫煙する人がいると苦情がある
 市庁舎の敷地内に喫煙所を設けた方が、路上喫煙や受動喫煙をなくせるのではないか
・子供の尿中コチニン検査導入を提案したが、市はいろいろと理由をつけてしたがらない
・タバコをやめたときにニコチンガムを使ってやめた
 その時に、必要なのはタバコではなくニコチンで、喫煙はニコチン依存症だと理解した
・職場に喫煙室があるが、都の事業所は天井まで仕切られているのに県内の事業所は囲いだけ
 どうしてだと聞いたら、条例でそうなっているといわれたが本当か


議員(議会)の主な役割は
「自治体でのルール作り」「首長提案に対する意思決定」「行政の監視」などです。
この勉強会ですぐに何かが変わるわけではありませんし、条例が作られるわけでもありません。
しかし、タバコ対策において何が正しく、どこが間違っているのかを理解していれば
行政の施策が適正ではない場合、議員が議会(委員会)で質問すれば、記録されます。
議員(議会)は行政に適正ではない施策を唯々諾々と遂行させたのか
それとも、行政は議員(議会)に適正ではないと指摘されても断行したのか
その違いは、施策の責任の所在を明確にするという意味で、大きいと考えています。
また、この勉強会に参加した議員がタバコ企業と行政の仲介をして
タバコ企業を自治体の施策に関与させるようなことはしないでしょう


自治体(地域)におけるタバコ対策の差は
今後の環境格差となり、健康格差につながります。
皆さんが暮らす街は、タバコのある環境を選ぶのでしょうか
それとも、タバコのない環境を選ぶのでしょうか。


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