東京昆虫記

東京の自然環境に棲む昆虫たちの生態写真
.My Real Insects Photo Style in Tokyo.

春池でヤゴ捕り

2025年03月24日 | ヤゴ
例年、この時期にヤゴチェックを行なっている自然池。

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED+C-PLフィルター
バスとギルは勿論、底を荒らすコイも皆無。水生植物の浄化作用の効果で透明度が高い。

今回は池の中に入らず、外側から縁をガサガサして楽しんでみた。すると...

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
捕獲できたのは、アジアイト、クロイト、シオカラトンボ、ショウジョウトンボ、チョウトンボ、カダヤシ、アメリカザリガニの幼体、ヌマエビの仲間。池の中に立ち入らなかった訳は、ケースの中に入っているタヌキモの新芽の保全の為。池の中を歩き回ってガサガサすると、底のヘドロとタヌキモの新芽も巻き上げて低酸素状態にしてしまい、その他の生きものにも悪影響を及ぼすのではないかと思い、今回は池に入らず行った。目的のものに夢中になると周りに目がいかなくなる事を避け、なるべく自然に優しくを心がけたい。ここでは珍しくウグイスのさえずりが聞こえた。


そして、今回は外来魚の中でも一番好きな魚種を捕獲できた。そのスペシャルゲストは...

ライギョ(幼魚

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
大きさは10cm。外来魚が生息していたら池の生きものが全て食べられてしまう...報道によりそう植えつけられてしまい、ブラックバス、ブルーギルと同じくフィッシュイーターである事に違いはないが、このライギョはちょっと違う。ライギョ(成魚)の主な捕食対象はアメリカザリガニ、小型のカエル、ウシガエルのオタマジャクシ、ミシシッピーアカミミガメの幼体、ノネズミ、カルガモのひな、勿論、ヤゴを含めた水生昆虫も捕食する。ただ、全てを食べ尽くして遂には共食いするような悪食ではなく、池の生態系のバランスをとるのに一躍かってくれている存在だと感じている。昔から近所に似たような雑食性の在来種がいたよね。野良猫やアオダイショウがそう。ライギョが棲む池なのに多数の水生生物が捕れると言う事は悪食ではない証。ライギョの生態写真も撮り溜めているので、いずれ記事にしたい。捕れたヤゴは少数を持ち帰って飼育しているので、個別撮影してヤゴの記事で紹介する予定。

撮影日:3月20日(春分の日)

ヤゴって面白い 16

2025年03月21日 | ヤゴ
コヤマトンボ 終齢幼虫

Nikon D300S+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
河川中流に生息。扁平で終齢幼虫は30mm前後。見た目はまるでクモのようだけれど大きく立派なヤゴ。ヤマトンボ科。この体型から棲家を想定するとカワトンボの仲間と同じくツルヨシの水中根にしがみつきながらか、淀みに溜まる枯葉等の沈水植物に紛れ込み擬態していそうに感じるが、そうした場所を探っても捕れた事がなく、アオサナエやダビドサナエと同じ砂礫底で捕れる。また、沈水植物が溜まるような流れの無い淀みには少なく、河川種のヤゴは緩やかでも必ず流れが効いている場所にいる。

コヤマトンボ 中齢幼虫

Nikon D300S+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
サナエトンボもコヤマトンボもなぜ扁平な体型なのかと思い、リリースする時に流れの中をどの様にして砂礫底までたどり着くのかを観察してみた。すると、扁平な体型を上手く利用して脚を後方に向けて舵をとり、水流の抵抗をコントロールし、流れに逆らいながらスーっと底に到着。消波ブロックの下に消えた。例えるならスピード感は無いけれど、スカイダイビングやウィングスーツで空を飛ぶようなイメージ。扁平な体型は流れの抵抗を受け難くする為と川底に沈む砂礫や枯葉に擬態する為の姿。非常に素晴らしい行動が観察できた。いつかその様子を動画で撮りたいと思う。

ヤゴって面白い 15

2025年03月18日 | ヤゴ
アオサナエ

Nikon D300S+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED ※画像クリックで拡大
終齢幼虫の大きさは23mm。服部上面と両サイドに棘を持ち、見た目でもかなりゴツゴツしているのが分かる。体色は褐色及び緑色。背部に白い斑紋を持つ持たないの個体差がある。

裏面

Nikon D300S+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED ※画像クリックで拡大
裏面は綺麗な緑色が特徴。褐色の個体もあり。サナエトンボのヤゴのオスメスの見分け方は、オスには成虫が持つ副生殖器になる部分がありメスにはない。アオサナエほどの大きさの終齢幼虫なら目視でもオスメス見分けられるが、更に小型種には無料アプリの拡大ルーペを使用すると見やすくフィールドでも楽しめる。

擬死の姿勢

Nikon D300S+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED ※画像クリックで拡大
刺激を受けるとお城の屋根の角に飾られているシャチホコの様な姿勢になり、しばらく硬直して死んだ振りをするので面白い。また、硬直する事で発達した棘を強調させ、擬似的な異物に擬態して違和感を与え、コイや野鳥等の天敵から身を守っていると考えられる。

生息環境

Nikon D810+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED+C-PLフィルター
アオサナエは中流域。前記事のダビドサナエのヤゴと同時採集。良いポイントには群れている事が多い。そこにはエサが豊富なのか?酸素なのか?集まる要素は分からないが多数のヤゴが獲れた場所の地形を知ることがキーワード。
サナエトンボのヤゴを採集していて気になった事がある。それは、幼虫の間ずっと砂礫に潜って生活をしている事を想定すると、そこは暗闇の世界だ。セミやカブトムシの幼虫も土中の生活なので暗闇。いったいこれらの幼虫はどのようにして季節や時を感知しているかが気になった。アオサナエのヤゴは実際にずっと潜ったままなのか。その真相を確かめてたいので中齢の飼育観察を試みている。

ヤゴって面白い 14

2025年03月17日 | ヤゴ
ダビドサナエの終齢幼虫

Nikon D300S+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED ※画像クリックで拡大。
大きさは終齢幼虫で17mm。撮影時は比較的、他種よりも大人しいので並べて撮影するのが安易。
サナエトンボのヤゴはクワガタのメスのアゴに似た二本の突き出た触角が特徴的。

生息環境

Nikon D810+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED+C-PLフィルター
河川上流から中流の流れが穏やかな砂礫底に生息。実際に終齢幼虫が採れた中流部の環境写真を掲載。
サナエトンボのヤゴは少しでも水流のある場所を好んでいる様子にあり、淀みでは殆ど採れない。早ければ羽化は3月下旬からスタートするので、そろそろ羽化のチェックも欠かせないシーズンが到来だ。

サナエトンボのヤゴ採り

2025年03月13日 | ヤゴ
里山を後にして、午後からは河川でサナエトンボのヤゴ採り。

Nikon D810+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED+C-PLフィルター
河川は増水の影響で地形変化が著しく、それにより毎年ヤゴの居場所も変わる為、ポイント探しが重要になる。適当に底をさらっても殆ど採れないので、目視で川底の様子を確認してからポイントを選択。サナエトンボのヤゴは砂礫場(砂や小石)に深く潜り込んで微生物等を捕食しながら生活している為、砂礫ごと網で掬ってチェック。すると...

河川のヤゴ各種

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
お散歩中の幼児君とお母さんが見に来てくれた。脚長はヤマトンボ科のコヤマトンボ、腹部の上に白いマークがあるのはアオサナエ、ダビドサナエとミヤマサナエの中齢も少々。ホンサナエとコオニヤンマは採れず。今さっきまで川底に潜っていたのが、急に白いトレイに入れられてビックリしているに違いなく、程よく分散させても直ぐ角に寄ってしまうので集合写真が難しい。綺麗に撮影したいので数頭を持ち帰った。自然の為、また羽化の撮影を楽しみにしているトンボ仲間の為にも、ポイント潰しにならないように過剰な深追いは避けるよう心がけている。

ヤゴの持ち帰り方


Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
左右に振られたりする慣性力の影響を抑える為、少しの水と棲家の環境に合わせた物を入れ、ジップロックの口は閉じずにプラケースに収納。ひとつのジップロックに必ず同じ大きさの個体を小数がベスト。ジップロックとプラケースの空間はペットボトル等で補強。これからのシーズンは水が温くならない様にする為、クーラーボックスと保冷剤が必要になるので、その仕様はまた時期を見て紹介したい。

撮影日:3月9日