東京昆虫記

東京の自然環境に棲む昆虫たちの生態写真
.My Real Insects Photo Style in Tokyo.

川から山へ

2022年06月06日 | 甲虫
朝から河川でトンボの観察を楽しんでいたけれど、ちょっと山の様子も気になったので、ウェーダーを脱いで山へ向かってみた。

Nikon D800E+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED

ゼフィルスの類に期待していたけれど、一番暑い時間帯に訪れため全く姿を見る事が出来ず。

Nikon D800E+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
ナラ枯れの被害樹が多く所々に伐採木が目立っていたので、産卵に利用している甲虫がいないかチェックするとクロホシタマムシが見らた。しかし、動き回り全く撮影できず。仕方なく諦めて再び河川に戻ろうと、尾根を下ると何かが飛んで来たので素手で捕まえた。それは...

ウバタマムシ

Nikon D800E+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
そう言えばここはウバタマムシが産卵樹として好むアカマツの枯損木と伐採木があり、以前にもウバタマムシを撮影した事を思い出したので、アカマツをチェックしてみた。すると...

ウバタマムシ

Nikon D800E+AI AF-S Micro-Nikkor 60mm f/2.8D

ウバタマムシの裏側

Nikon D800E+AI AF-S Micro-Nikkor 60mm f/2.8D
大きさは人気のヤマトタマムシと同等。ヤマトタマムシより体色は地味だけど、金銅色の光沢と身体の上面に縄文土器の彫り模様に似た模様を持つのが特徴。捕まえた時に噛まれたけれど痛くはなかった。タマムシの仲間は晴れた日じゃないと観る事が難しい。

ウバタマムシ

Nikon D800E+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED+LEDライト
凸凹した筋模様が木目にも見えるので、樹木にいると擬態の効果があり意外と目立たない。成虫越冬するようなのでいつか冬場の発見にも期待している。ゼフィルスには会えなかったけれど、予想外のウバタマムシに会える事ができて何より。初夏の雑木林もまた楽しく、再び梅雨の晴れ間に訪れてみたい。

撮影日:5月29日

憧れのテントウムシ

2022年05月09日 | 甲虫
この日は冴えない天気により昆虫の活動が少ない中、草はらにナナホシテントウの姿が目立っていたのでカメラを向けてみた。

ナナホシテントウ

緑の草はらでは、この赤に黒の水玉模様はよく目立つので見つけやすく、幼い子供達にはカブトムシと並び絶大な人気を誇る。撮影の為、近づくと意外に敏感で逃げられる事が多いので、また今度にしようと後回しにしていたけれど、今回はおとなしかった。ただ、被写体が小さい事もあり、流石にフルサイズ機だと寄れば寄るほど部分的にしかピントが合わない。

ナナホシテントウ

アブラムシを退治している場面を見つけたので、頑張ってピントを追い詰めて撮影。ナナホシテントウの姿を探していると、以前から見たいと思っていた最大級のテントウムシを発見。

カメノコテントウ

通い慣れた区部のフィールドで見たのは今回が初めて。憧れのテントウムシだったので撮影できて嬉しい。第一印象はやっぱりその大きさ。ナナホシテントウの2倍はありそうだ。

カメノコテントウ

正面から見た感じ。白い部分は目ではなく模様。その内側にある黒く小さい部分が複眼。(画像をクリックすると拡大するので分かりやすい。)何を食べるのか検索したところ、クルミハムシやヤナギハムシの幼虫を食べるとの事。次回はヤナギやクルミの木を注意深くチェックしたい。

全てNikon D810+AI AF-S Micro-Nikkor 60mm f/2.8D

撮影日:4月29日

真冬のリュウキュウツヤハナムグリ

2022年02月09日 | 甲虫
擬木柵で昆虫を探していた時、ふと、足元に目を向けると、黒い粒状の物体が見られた。


コレは間違いなくリュウキュウツヤハナムグリの幼虫の糞に違いないと思い、周辺にある常緑樹の林床をチェックしてみると、土壌表層部の一面が大量の糞で埋め尽くされていた事に驚愕。


冬場のリュウキュウツヤハナムグリは、幼虫か土繭で越冬しているので次女と探してみた。


ここはだいぶ食い尽くされてしまったのか、発見した土繭は少数。


日を改めて別の場所を捜索して掘ってみた。


土層部に堆積された糞より下に掘り進めると出てくれた。大小様々な幼虫に土繭までのステージ。

公園の堆肥場でも幼虫を確認しているので順応性に優れているようだ。
幼虫はリリースして土繭は持ち帰り飼育観察をする事にした。

掘った場所は元通りにするのが虫屋の鉄則。


試しに土繭を破ってみると中から出てきたのはグリーンタイプの成虫。

美しい金属光沢に色彩変異が楽しめると言う事もあり人気を呼ぶ。採集に来ていた学生に色彩について聞いたところブラックタイプがレアらしい。言われてみればブラックはあまり見かけない。

昨年の梅雨時期に撮影したブラックタイプのリュウキュウツヤハナムグリ。

2011年頃に大田区東海周辺で確認されてから10年が経過。専門家の調査により国内外来種に指定され、一時期、駆除用のトラップを見かけた時もあった。大田区東海周辺の林床は、ほぼ全域がリュウキュウツヤハナムグリの巣窟となり、世代交代を繰り返す毎に、幼虫から排出された糞が林床の土壌表層部に堆積されている状態にある。ここ数年、港区、目黒区、世田谷区の内陸で成虫を確認したとの報告を耳にする。また、区部から離れた千葉県東金市でも成虫が確認されたとの記事を読み生態系への懸念が止まない。保全生態学研究者による2017年の調査報告書に記載されていた内容からすると、生態系改変や遺伝子攪乱などの恐れがあり、早急に対策が必要との報告が記載されてた。しかし、専門家が懸念していた生態系改変などの影響を記録した新しい調査報告は今のところ無い。
ここからは自分のフィールドワークによる知見だが、林床を糞だらけにされている以外、生態系改変や近縁種との交雑や在来種の減少などと言った生態系を脅やかすような事例は無く、逆に共生のバランスが保たれていると感じている。これはリュウキュウツヤハナムグリよりも以前に侵入したクマゼミにも同じ事が言える。例年、夏になると金属光沢の輝きを放ちながら国道357号線の上空を飛び交い、トウネズミモチの花やブナ科、ニレ科の樹液に数多くの成虫が集まる光景が見られているけど、更にこの先も林床に大量の糞が堆積され続けていく状態にあると思われるが中、幼虫が餌場を失い減少傾向に向かう可能性はあるのだろうか、それとも例年通り大発生を見せるのか、今後の変化に注目したい。

合わせてご閲覧ください。
飼育中のリュウキュウツヤハナムグリ
トウネズミモチに群がる
7月のリュウキュウツヤハナムグリ
樹液場を埋め尽くす
新たな展開
丸太の下で越冬中
樹液より花蜜

撮影日:1月29日、2月5日

8月の樹液場

2021年08月15日 | 甲虫
この日は今にも雨が降りだしそうな下層雲が広がる天気の中、再び樹液場をチェックしてみた。

Nikon D810+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED


Nikon D810+AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED+SB-700
樹液の味に飽きてしまったのか、前回まで多数見られていたリュウキュウツヤハナムグリが減少。
ここは3頭のアカボシゴマダラが樹液を吸いに来ていた。

リュウキュウツヤハナムグリが減少した代わりに沿岸部では珍しい夏の代表種、カブトムシが登場。

カブトムシ ♀

Nikon D810+AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED+SB-700

カブトムシ ♂

Nikon D810+AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED+SB-700

カブトムシ ♂

Nikon D810+AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED+SB-700
立派な角を持った個体もいれば、別種かと思ってしまうほど小さな個体もあり。オスメスともに大小様々、でも正真正銘のカブトムシ。都下の里山環境では珍しくないけれど、東京都沿岸部の公園といった環境下でカブトムシに出会えるのは難しい。ただ、環境を見ると林床に落葉が積まれ、そこに足を踏み入れるとフカフカに感じる場所にある樹液場なら、出会える可能性があるかも知れない。

このお盆休みは残念ながら連日雨でフィールドには出られずだけれど、HDDに蓄積した不要な画像を削除、整理する機会ができた。

撮影日:8月7日