ゆらぎつつゆく

添島揺之歌集。ツイッター感覚で毎日つぶやきます。色調主義とコラボ。

サーカス

2018-07-03 03:34:22 | 資料

 
幾時代かがありまして
  茶色い戦争ありました
幾時代かがありまして
  冬は疾風吹きました
幾時代かがありまして
  今夜此処での一と殷盛り
    今夜此処での一と殷盛り
サーカス小屋は高い梁
  そこに一つのブランコだ
見えるともないブランコだ
頭倒さに手を垂れて
  汚れ木綿の屋蓋のもと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
それの近くの白い灯が
  安値いリボンと息を吐き
観客様はみな鰯
  咽喉が鳴ります牡蠣殻と
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
      屋外は真ッ闇 闇の闇
      夜は劫々と更けまする
      落下傘奴のノスタルジアと
      ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん



今日は中也をとりあげる。
セピアに変色したかのようなノスタルジーの中に、戦争を押し込んでしまうほどの、
道化じみた狂気を歌っているかのようである。
虚偽と嫉妬と謀略の吹き荒れる世界で、真実に飢える魂は酒にでもよってほざいているしかない。
サーカスは道化の祭りである。
闇は一層濃くなり、ブランコの綱が切れて吸い込まれそうなほど、深くなる。


ゑひゑひて猿も君かとおもふほど杯をつぶして虚仮となりぬる    揺之






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