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【本文抜粋記事】
書評
「さらば、欲望の国」
中村敦夫 著
近代文芸社 刊
先日のテレビではアメリカの、なんと500キロにも及ぶ女性の映像が流されていました。減量するために胃を切除し、あまり食べられないようにするとか、またはお腹の脂肪を取り出す方法なども解説していました。でも人間が500キロにも太れることにまず驚きました。その女性は自分では起きあがることさえできず、一日中寝たきりです。なぜそこまで太ってしまったのか、とても信じられません。
その反対に、やせるための番組も花盛りです。1ヶ月に何キロやせて、お気に入りに服が着れるようになったかとか、自分に自信が持てるようになったとか言っていました。後から後から似たような番組が作られるのにはあきれます。もちろんそれを見る人が多いから作られるのでしょうが・・・・・。
でもこんな番組を見るたびに暗い思いにかられます。このような番組を作る人は、全世界で9億人もの人びとが飢餓状態にあることを知っているのでしょうか。アメリカや少し落ちぶれたとは言えこの日本で、”痩せたい、痩せたい“と思っている人は、明日たべる食料もなく餓死寸前の人たちがこの地球上に数多くいると言う現実を、どのように捕らえているのかぜひ知りたいものです。
このような大きな矛盾は、世界人口の20%の人びとが富の80%を独占しており、それが年を追うことに拡大してきていることに象徴的にあらわれています。なんと、世界の超金持200人の資産合計額は、世界人口の40%(約25億人)の人びとが、1年間に得る総収入と同じだという学者の発表もあるそうです。筆者・中村は、「吐き気を催すような不公平」と表現しています。私はこの”吐き気を催すような不公平“こそが、テロを発生させる最も大きな要因であると考えております。これを根本から解決しようと努力しない限り、テロはなくならないと思います。
文・高田朱夏
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