古い友人

といっても、静岡を離れて二年だと。もう随分昔のような気がする。

最近、ひょんなことで「捕捉」。

本人はいやがるかもしれないけれど、私が教師として関わった学生の中で、飛び抜けて利発で、完成度が高い。こういう人がこんなところにいるのか、と思っていたら出て行ってしまった。

詳しく書くのも申し訳ない気がするけれど、ちょっと珍しいケースなので、紹介しておこう。

共通科目（一般教養）の授業で、文学とは、みたいなことを時々やる。進級すると専門で関わる学生たちに話をするのも面白いんだけれど、専門外の、理系の学生の方がもっと楽しい。極めた理系の「オタク」は、機械にめっぽう強いし、物語への理解度も強烈だ。人間としての情報処理能力とか。

彼は、そういう一受講者だったんだけれど、ある時、私のパソコンのトラブルをなおしてくれた。そのやり方が尋常じゃなくて、私の話した症状をもとに、修復用のディスクを持ってきたのだ。五年以上前の話。そのころ、こういうトラブルは他学科の教員に泣きつくことが多かったんだけれど、彼らのやり方は、私と大して変わらない。あれこれ試してみて、ある時、なおる。ある意味対症療法で、なぜ、どこが、そうおかしく、どのようにしたらなおったのか、よくわからないまま。ところが彼は、研究室に来るなり、少しいじったあと、やっぱり、じゃぁ、といってFDを取り出し、治療完了。
手品のようだ。

彼は、既に、自分のサーバーでホームページを持ち、技術相談も受ける立場にいたらしい。しかも、安易な質問には答えない。18歳。恐るべし。こいつ、既に教師じゃん。
実際、卒業する時には共著だけど本出してたし。

以来私は、彼を全面的に尊敬している。
ゼミの呑み会やら、畑仕事やら、随分つきあってもらった。
良い仲間。
大学の教師は、こういうのが幸せ。

変人上等。
ノーベル賞とってくれ。ミッチー。