◆西東京子育てコムの新しい事業
子育て中のお母さんに有用な情報を提供するHPからスタートした西東京子育てコム(代表田中のり子さん)は、最近では、NPO法人も取得し、ママ・レポーター養成講座やママ記者養成講座を開催、その人たちが新聞⇒最近では、立派な『MaMamimi』という子育て情報誌をつくるまでになっています。活動内容は、リンクのHPで拝見できます。
前から、新築マンション建設に伴う、小学校や保育園など周辺環境に関するモニターに協力するなど企業のニーズに対応してきた(近隣の小学生のママ、幼稚園児のママなど8名が参加して、マンション近隣の小学校や幼稚園についての情報を提供し、マンション購入検討者への配布パンフレットに掲載)。
西東京市のママたちの出産年齢は高い。ということは、それだけ仕事経験があるわけで、そういう人たちの能力を活用できる仕組を作りたいと、このほど、非営利型株式会社ポラリスと提携し、「西東京庶務部」を発足したいとのこと。
◆非営利型株式会社ポラリス-シゴト軸のコミュニティを作る
非営利型株式会社ポラリスは、専業主婦をしていて働きたいが、子供が熱を出すなどして納期に間に合わないなど仕事に責任が持てるだろうかという不安や、仕事を依頼する側からみると、子育てしている主婦に本当に仕事を頼んで大丈夫なのかといった疑念を「一人では無理でも、組織化したら大丈夫」という方法で克服し、ライフステージに合わせて働ける選択肢を増やし、地域経済にも貢献する仕組み(基盤)を作ろうとしている。それが「セタガヤ庶務部」である。
非営利型株式会社としたのは、NPOというと、仕事を提供する側からボランティアとイメージが重なり、仕事を依頼するにあたって不安感があるので株式会社という名前にし、しかし、定款で株主への配当を制限し、非営利型として運営するという立ち位置を示している。現在、株主は、中心になって運営している人たちなので、軸をブラさずにやれているとのこと。
代表の市川さんは、IT系企業で働いている頃には、ただ寝るだけの町であったが、出産し、ボランティアやNPOで働くことを通し、ただ住む居住地ではなく、愛着のある我が町になっていった。しかし、非常にお世話になった先輩ママたちが、子供の大学進学などでお金が必要になると、地域の外に出て行ってしまう。育ててもらった町で働ける仕組みを作ったら、外に出て行かなくても良いし、町にも貢献できるのではないかと思うようになった。そこで、多様な立場の人々が対等にコミットできるシゴト軸のコミュニティを作りたいと思った。仕事という切り口でみると、町には、まだまだ未開拓の可能性がたくさんある(町ならではの人材のつながりと掘り起しで)。
◆セタガヤ庶務部-ゆるやかだけど本気で働く
ポラリスは、仙川に「cococi」、国領に「Loco cococi」というコ・ワーキングスペースを持っているが、「セタガヤ庶務部」は、基本的には、在宅クラウドの形を取っている、FBでこういう仕事が来ましたとお知らせし、手を挙げた人に仕事をしてもらう。納期や品質管理(検品)などの責任は、ポラリスが負う。
世田谷区に住んでいる人だけでなく、西東京子育てコムの方もメンバーに入っているし、そのほか、埼玉や千葉などにもメンバーがいる。夫の転勤でマレーシアに居る人も仕事をしている。子育てや転勤などの働きにくい環境、課題を前提として、それを別の角度から検討して、どうしたら、可能になるかという価値の変換をするのだという。
たとえば、①一人では無理でも、チームでならやれる、②まとまった時間は取れないけど、組織があれば、あるいは場所があれば、③特別な資格を持っていないし、職場経験のブランクがあるなら、ふつうの人でもやれる仕事を(引越しの下見代行サービスのように、特別な資格はなくても、その町に住んでいるからできる仕事もある。あるいは、普通のママでも、毎日のご飯の献立は作るので、豆乳を使った料理を開発するなど)。もっとも大事なのは、働く私たちの意識を変換させる(価値観を変える)ことという。
良く例に出すのが、ケーキの分け方で、等分に分けるのではなく、私が欲しい分で分けることが平等ではないかということ。お役所がやると、悪平等になりがち。たとえば、一人ひとりに同じようにアリーナがみえる台を一台ずつ分け与えるような話。それでは、背の低い人は見えない。背の高さに合わせた台を提供することが本当の平等では。前者は、equality 後者は、justice。
たくさん仕事を受ける人も、少ししか受けない人も、対等にコミットしているという考え方。
◆新しい働き方の提案
ポラリスは、「仕事をあっせんしている」のではなく、「新しい働き方を提案している」。日常をもっとクリエイティブにしよう。だから、仕事を配分するのではなく、メンバーの方から手をあげて、コミットしてもらう。
本当は、ママたちだけを対象にしているのではなく、男性のメンバーもいる。将来的には、もっといろいろな人を対象にしていきたいが、とりあえず、自分たちがママなので、ママを主に対象としている。
ポラリスは、創業から係る3人に加え全部で7人運営している。2人以上いれば部を作れることになっており、IT部やミシン部などもできている。
毎月10人を目安に仙川で説明会をし、有料メンバーとして登録してもらうと案件にエントリーできるようになる。
仕事には、難易があり、①一番簡単なものが「マイクロジョブ系」(均一で分割・分担が可能)。名刺入力、テープ起こし、ライティングなど。②二番目が「コラボワーキング系」(スキルを考慮して分担可能)。サイト制作、運用、経理サポート、マーケティングリサーチ、領収書整理、マンショングリーティングサポート(口コミ情報提供)、空き室巡回掃除サービスなど。③もっとも難しいのは「プロジェクト系」(ビジネスモデルの仕組みづくり、新規事業の立案)。これは、主にポラリスが担当する。
①については、10円~100円などと低価格な仕事。これについえは、今年の7月に㈱サムライファクトリーと提携して、仕事が常時来るようになったそうです。
◆全国に多様な「庶務部」を
セタガヤ庶務部については、いろいろなところから注目され、アドバイスを欲しいとの申込みがたくさんあるようです。それぞれの地域に合った「庶務部」が誕生するのを支援したいとのことです。
とても楽しみです。
西東京子育てコムも、現在、コ・ワーキング・スペースをお持ちとのことです。すぐにもはじめ、メンバーが不足した場合には、セタガヤ庶務部とも連携しながらやっていきたいとのこと。こちらも展開が楽しみです。