◇5月31日(木曜日)
ヤクルト10-5日本ハム
この日の斎藤佑樹の投球については「公式ホームページhttp://kosekijunjihomepage.com/」に詳しく書いたが、付け加えると、ボール球で打者を打ち取りたい斎藤は若いカウントでストライクを取りにいく傾向がある。5/31のヤクルト戦ではそれを狙われた。
1死二塁で川端慎吾が初球チェンジアップを中前に落とし、次打者畠山和洋は1死一、三塁で初球の外角高めストレートをおっつけて右中間フェンス最上部を直撃する二塁打、2死後、宮本慎也は二、三塁で初球ストレートを打って二塁ゴロ、という具合である。
開幕投手を務め、早々と4勝もすれば、他球団の研究が進むのは当然である。それに対して斎藤は、配球を変えるなど対症療法的な対策で凌ごうとしているように見える。技巧的ピッチングに磨きをかけるなら、同じ腕の振りで直・曲球を投げ分けるなど根本的な改良が必要になってくるが、それには手をつけないで行けるところまで行こう、というのが斎藤の考えだろう。
そういう姿勢がファンの支持を受けるのかどうか斎藤は考えたほうがいい。5/30(水)のヤクルト戦2万2536人に対し、斎藤の予告先発となった翌31日(木)のヤクルト戦は1万8109人しか集まらなかった。ファンはバカではないということだ。
日本ハムのもう1人のスター候補、中田翔はどうだろう。開幕から不振が続き、ヤクルト戦が始まるまでの成績は打率.165(リーグ最下位29位)、本塁打4、打点16とよくない。
約1カ月ぶりに見た中田はガニ股&ノーステップ打法をやめていた。日刊スポーツ紙によると5/25の中日戦でガニ股をすり足に変え、5/27には左足を上げるようになり、5/28の巨人戦の前、原辰徳・巨人監督に「もう少し、ゆったりとしたフォームでやってみたらどうだ?」とアドバイスされ、フォーム改造を本格的に決めたという。
実は昨年の8月にもガニ股&ノーステップ打法からノーマルな一本足打法に変えたことがある。私が確認したのは8/26の西武戦で、このときは投手の始動に合わせるような性急さで足を上げ(一本足になる)、ステップも早いタイミングで出していた。始動が早ければ一本足の状態を長くするなどして長短のバランスを取るべきだが、当時の中田は何かに追い立てられるように始動してステップして、緩急の攻めにフラフラになっていた。
そして昨日(12年5月31日)のヤクルト戦、中田はゆったりとしたタイミングで一本足になり、ゆったりとしたタイミングでステップを踏み出し、緩急に対応していた。目の覚めるようなショートライナーを放った第2打席を詳しく見ていこう。
<[1]内角低め141キロ直球(ボール)[2]内角高め145キロ直球(ファール)[3]外角低め133キロカットボール(空振り)[4]外角132キロスライダー(ボール)[5]低め141キロ直球⇒ショートライナー>
06年夏の甲子園で斎藤佑樹(当時早実)から受けた内角攻めがトラウマになり、それ以降の中田は内⇒外という揺さぶりで打ち取られることが多かった。しかしこの第2打席でわかるように、内角へのストレートが脅威になっていない。これこそ中田がここまでの5年間、もがき苦しんできた末に到達した新境地と言っていい。
第3打席は先発ロマンに対して、レフトへのホームラン性の大ファールのあと、1ボール2ストレートから145キロストレートをレフトスタンドへソロホームランを放り込んでいる。こういう目に見える歩み・進歩を斎藤にもたどってもらいたいと思った。