※写真は左から◇QVCマリンフィールド三塁側スタンドと上空に出ている月 ◇5回終了時に行われる花火イベント ◇試合終了後のQVCマリンフィールド正面風景
◇7月28日(土曜日)/QVCマリンフィールド
ロッテ2-2ソフトバンク
ソフトバンクは9回表、8番長谷川勇也のタイムリー左前打で同点に追いつき、引き分けに持ち込んだ。長谷川はこの日4打数3安打の猛打賞を記録、守っては1回裏、角中勝也の左中間を破ろうかというフライを頭から突っ込んで好捕するなど、大活躍。2番金子圭輔がチャンスに2度凡退しているで、打順の入れ替えがあってもいいと思った。
先発の武田翔太はまだまだやることが山積している。ストレートはMAX149キロ、変化球は代名詞と言ってもいい縦に割れるスライダーと一級品の緩急を備えているが、それをコントロールする技術がない。1回裏は1番荻野貴司に145キロストレートを二塁打、4番ホワイトセルにストレートを中前タイムリーと、カウントを取りに行ったストレートを狙い打たれた。
ディフェンスは素晴らしい。バント処理のときのフィールディングを3度見たが、3度とも一塁走者の二塁封殺を本気で狙っていた。一塁けん制のボディターンも速く、クイック(一塁に走者を背負ったとき)はストレートのときが1.1秒台前半、変化球のときが1.2秒台前後と速く、このへんが普通の高校卒とは違う。
脚力で目立ったのはロッテの1番荻野貴司。第1打席は145キロストレートをセンター左に打ち返す二塁打で二塁到達タイムは7.81秒。一塁から二塁を回るときの加速の感覚が、普通の俊足選手とは違う。
若手は圧倒的にソフトバンクが目立った。8回に代打出場した中村晃(23歳)のレフトフライは、打球に逆スピンがかかり、外野の頭を抜くかと思われた一打。新人・益田直也のキレのある141キロに振り遅れることなくしっかり上から叩けていて、いつレギュラーになってもおかしくないと思った。
途中出場で1回だけ打席に立った柳田悠岐は内竜也の134キロスライダーを十分呼び込んで捕手寄りで捉え、ライト前に持って行った。こういうバッティングを可能にしているのが慎重な足上げとステップ。問題意識を持つことさえ難しいのに、大学卒2年目にして「ゆったり動いて速いボールに対処する」方法を身につけ始めている。
8回にショートの守備固めに入った今宮健太は、代わりっぱな、3番サブローの強烈なライナーをジャンプ一番好捕した。このタイミングしかない、というところでジャンプし、打球をむしり取ったというプレー。10回には先頭打者として打席に立ち、薮田安彦の外角144キロストレートをおっつけて右前打。後続のクリーンアップが倒れ得点できなかったが、わずか3イニングだけのプレーで存在感を発揮した。
強さを持続しながら次代を見据える――名門であればあるほど難しいことを、何食わぬ顔でやっている秋山幸二監督とホークスフロント。こういう中・長期的な展望を阪神に持ってもらいたいと思った。