小関順二公式ブログ

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緩急で魅了した釜田と歳内の投手戦

2011-08-27 15:56:47 | 2011年夏の甲子園

812日(金曜日)晴れ

明豊63東京都市大塩尻

智弁学園21鶴岡東

横浜65高崎健康福祉大高崎

金沢42聖光学院

 

 2回戦に突入した第4試合、金沢対聖光学院戦は、金沢が釜田佳直(右両・17877)、聖光学院が歳内宏明(右右・18282)とプロ注目の本格派が先発、5回まで金沢打線が8三振、聖光学院打線が6三振と、両投手の奪三振ショーに注目が集まった。

 釜田はMAX150キロのストレートに±10キロ程度の緩急をつけ、変化球は130138キロ程度のカットボール、130キロ程度のスライダーとフォークボールに時折110キロ台後半のカーブを交え、打者に的を絞らせないピッチング。

 対する歳内の配球はシンプル。MAX143キロのストレートに120キロ台のスプリットという主に2種類の組み合わせで打者を翻弄した。スプリットは一様ではなく、カウント球として使うときは120キロ台前半でストライクゾーンに入れ、勝負球として使うときは120キロ台後半でボールゾーンに落とす。

 スプリットが狙われていると思えばストレートを多投して、3回表にはストレートを勝負球にして3球三振に打ち取っている。定型があるからバリエーションが増えるという典型で、7回は逆にスプリットを勝負球にして3者三振に打ち取っている。打者が何を狙っているか察する“目”が歳内には備わっているということだろう。

 

[この日目立った好選手]

◇青山 大紀(智弁学園2年・投手・右左・1827195安打5三振1自責点

 MAX146キロのストレートにカットボール、スライダー、チェンジアップ交える

◇本田 幸輝(鶴岡東2年・捕手・右右・175662打数0安打

 イニング間の最速が1.89秒、4回の二盗刺のときは1.92秒と、肩は超高校級

◇門村 鴻輝(健大高崎・遊撃手・右右・173685打数1安打

 8回、近藤健介の三遊間ゴロを浅く正面に入ってショートバウンドで好捕する

◇近藤 健介(横浜・捕手・右左・172835打数1安打

 捕手としてはイニング間の二塁送球が最速1.89秒。打は捕手寄りのミートが光る

◇伊達 直紀(横浜・左翼手・右左・172694打数3安打1打点

 打者走者の一塁到達で4.3秒未満を3回計測、10回には値千金のホーム補殺を記録

◇中村 優作(金沢2年・中堅手・左左・170704打数3安打2打点

 第1打席が三塁強襲安打、第3打席が二塁手のグラブを弾く中前打と持ち味発揮

 

[雑感]

 健大高崎の健脚が光った。打者走者の俊足は「一塁到達4.3秒未満、二塁到達8.3秒未満、三塁到達12.3秒未満」を目安にしている(三塁到達を一覧表で紹介するときは11秒未満を基準にしている)。このタイムクリアが横浜戦では45回を数えた(以下、[]内の数字は打席数)。

 小池優太郎……[4]三塁打11.52

 湯本 天夢……[5]三塁バント4.21

 門村 鴻輝……[5]遊ゴロ4.23

 柳沢 潤也……[1]投ゴロ併殺4.06秒、[5]遊ゴロ4.27

 群馬大会で通算28盗塁(大会新記録)を記録しただけのことはある。アンチ全力疾走も紹介すると「一塁到達5秒以上、二塁到達9秒以上、三塁到達13秒以上」のダラダラ走りが健大高崎は0人だった。延長10回の末敗れたが、強豪横浜を最後まで苦しめた戦いぶりは称賛に値する。

 なお、今大会私が見たアンチ0人チームは次の14校(各1回ずつ)。

 静岡、北海、花巻東、日本文理、柳井学園、龍谷大平安、海星、専大玉名、光星学院、徳島商、関西、健大高崎、金沢、習志野

 例年はこれほど多くないので、全力疾走の意義が徐々に理解されているのだと思っている。


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