コタロウはママのことよく見てるなぁっていつも思ってた。
コタロウを見ると、ほぼもれなく目が合って、私が動くとついて歩いてた。
まあ、動くの私しかいなかったから、それはそうか。
私が泣いてる時、涙を舐めてくれる・・・ってことはなかったけど
私の膝に前足を載せて覗き込んできたり、
隣におすわりして、前足で私のひじをチョンチョンとしたりした。
嫌なこと言われて言い返せなかった日に、
ああ言えばよかった、こう言えばよかったと独り言を言ってると
コタロウが私の前に座ってじっと聞いてくれた。
ぎっくり腰やノロ疑いで苦しんでいた時は
抱っこをせがんだりせず静かに私のそばにいて、じっと私を見ていた。
本当に私のことよく見て、わかってるなぁって思った。
晩年は身体がしんどくなったのか、めんどくさくなったのか、
私の後をいちいちついて回るようなことは少なくなったけど
私が動くとずっと目で追っていた。
トイレに行くと、少ししてポテポテと歩いて探しに来る。
それがわかっていたから、トイレのドアはいつも開けていた。
コタロウはドアの蝶番のすき間から私を見て、
私がいると確認すると部屋に戻っていった。
開けているドアのところまで来ずに、蝶番の細いすき間から私を見るのだ。
その、2,3歩を省略するあたり、いつも笑ってしまった。
お風呂の時に見に来られると、寒い廊下で待ったりしないかと心配だったから
リビングのドアを閉めて来られないようにした。
お風呂から出て部屋に戻ろうとすると、リビングドアの向こう側で丸くなって寝ていて
耳が遠くて呼んでも聞こえず起きなくて、寒い廊下に私が締め出されていた。
コタロウと暮らすようになって、粗忽者の私は少し上品になった。
ちっちゃいコタロウを踏まないように、動く前にはコタロウがどこにいるか見て、
動き方も静かになって、大きな音を立てないようになった。
何をしていても、数分に一度はコタロウを見ていたように思う。
話をしないコタロウの、表情やしぐさや身体の隅々までを見ることで
コタロウを知ろうとしていた。
コタロウが患ってからは、夜は何度もベッドからコタロウを見て、
コタロウがトイレに行けば気配ですぐに目覚めて起き出し片付けて、
コタロウの寝息に耳を澄ませて、苦しそうだと寝つくまで撫でていた。
コタロウは本当にママのことよく見てたね。
ワンちゃんは飼い主さんをよく見てるっていうけど本当だね。
でもさ、コタロウがママのこと見てるの、気づいてたよ。
だって、ママも同じくらいコタロウのこと見てたから。
見ていたのは、ママも、だったんだよ。
2010.9.19のコタロウ お手の練習
できた
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