手話通訳者のブログ

田舎の登録手話通訳者のブログです。

ワケあり手話通訳

2015-12-15 06:59:04 | 手話
派遣者から連絡が来て、
「すみません、急で申し訳ないのですが、明日、通訳お願いできますか?」
という時がある。
こういう時は、十中八九、ワケありである。
派遣者は申請者に対して、「手話通訳者派遣申込は早めにお願いします。できれば2週間前、遅くても1週間前には申込書を提出してください」と繰り返し呼びかけている。
だから、前日に連絡が来るということは、「ワケあり」と思ってほぼ間違いない。
「ワケあり」の内容は下記の3パターンに分類できる。

(1) 申請者がワケあり
   嫌われている申請者がいる。手話通訳者の間違いを厳しく指摘し、けなす。単に間違いを指摘するだけなら通訳者も反省するだろうが、申請者の勝手な思い込みでやたらとけなしてくるし、他の通訳者の名を挙げ、「あの人は手話うまいが、あんたは下手」など、礼を失した言い方でけなしてくる。手話通訳者の多くは、派遣者から連絡を受けた段階で、「あの人の通訳はお断りします」と断ってしまう。


(2) 通訳者がワケあり
   嫌われている通訳者がいる。上記の申請者とよく似ている。他の通訳者の欠点をあげつらう。これも、上記と同じく、本当に相手のことを考えて助言するなら問題ないが、ほとんどは言いがかりに近い。通訳内容によっては手話通訳者を複数派遣するが、同行通訳者がこの「ワケあり通訳者」である場合、「あの人と組んで通訳はできません。お断りします」と断ってしまう通訳者が少なからず、いる。

(3) 派遣場所がワケあり
   「手話学習者の巣窟」と呼ばれている場所がある。複数の手話サークルが活動している公的施設で、ここで参加フリーの講演会等が行われる時、「手話の勉強のため」と称して、手話学習者や手話通訳者が大勢見に来る。参加者が全員健聴者であることも珍しくない。この現場で通訳に立つと、ほとんど「見世物」状態。
「今の表現は明らかにミス」とか、「服装がよくない。通訳者は黒を基調とした服でなければならない」とか、通訳者の目の前でいろいろとダメだしをする。
この場所で講習会等が行われる時、手話通訳者の親戚がたくさん他界する。つまり、断るための言い訳で身内に不幸があったことにするのである。