禅の心得で、「二念を継がず」というものがある。
これを解説するなら、一休のエピソードがよかろう。
わしら以上の年代の人は、アニメの「一休さん」を連想しがちだが、あれは創り話。
今日ご紹介するのは、本物の一休の逸話である。
ある時、一休が弟子を連れて歩いていた。
鰻屋の前を通った。鰻が焼ける香ばしい匂いがする。
「旨そうだな」と一休が言った。
弟子は驚いた。しかし、師をとがめるのも気が引ける。弟子は悶々と考えながら歩き、ついに言った。
「あの・・・僧が鰻の匂いをかいで、旨そうなどと言ってよいのでしょうか・・・」
一休は笑って、「なんだ、お前は今までずっと鰻のことを考えておったのか。わしはとっくに忘れておったぞ」
腹が減っている時に食べ物の匂いをかげば、食欲をそそられる。そのこと自体は、禅は否定しない。
しかし、それに囚われることは厳に戒める。
手話通訳者だって人間である。腹が立つこともあるし、不快に思うこともある。
しかし、通訳している時、己はない。自分を殺さねばならぬ。
二念を継がず。手話通訳現場では常に心掛けている。
これを解説するなら、一休のエピソードがよかろう。
わしら以上の年代の人は、アニメの「一休さん」を連想しがちだが、あれは創り話。
今日ご紹介するのは、本物の一休の逸話である。
ある時、一休が弟子を連れて歩いていた。
鰻屋の前を通った。鰻が焼ける香ばしい匂いがする。
「旨そうだな」と一休が言った。
弟子は驚いた。しかし、師をとがめるのも気が引ける。弟子は悶々と考えながら歩き、ついに言った。
「あの・・・僧が鰻の匂いをかいで、旨そうなどと言ってよいのでしょうか・・・」
一休は笑って、「なんだ、お前は今までずっと鰻のことを考えておったのか。わしはとっくに忘れておったぞ」
腹が減っている時に食べ物の匂いをかげば、食欲をそそられる。そのこと自体は、禅は否定しない。
しかし、それに囚われることは厳に戒める。
手話通訳者だって人間である。腹が立つこともあるし、不快に思うこともある。
しかし、通訳している時、己はない。自分を殺さねばならぬ。
二念を継がず。手話通訳現場では常に心掛けている。