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電卓技術教科書〈研究編〉増補版 (1976年)

2023年11月13日 23時38分47秒 | iPhone、携帯、電卓
電卓技術教科書〈研究編〉増補版 (1976年)」B6版、396ページ

内容紹介:
「研究編」では1969年に発売されたCompet CS-12D以降の電卓技術の発展を解説する。集積回路(IC、MSI、LSI)の進化により電卓は小型化、高機能化していった。電卓のしくみを解説するだけでなく、電卓の設計、製造、検査、信頼性向上、顧客サービスなども解説している。増補版では第9章「関数電卓」、第10章「電卓の新しいシステムと製造法」が追加され、関数機能の実装方法、プログラミング機能、薄型電卓を可能にしたフィルム上に回路を載せたフレキシブル回路について解説する。

1973年2月15日研究編刊行、334ページ
1976年7月25日研究編 増補版刊行、356ページ

監修者について:
佐々木 正(ささき ただし):ウィキペディアの記事
1915年〈大正4年〉5月12日 - 2018年〈平成30年〉1月31日没、102歳。日本の電子工学の科学者。シャープ元副社長。工学博士。「ロケット・ササキ」の異名を持つ。本書刊行時はシャープ株式会社代表取締役専務・産業機器事業本部長。本書の執筆はシャープ株式会社のエンジニアが分担。


理数系書籍のレビュー記事は本書で488冊目。

1960年代後半から1980年代における電卓の進化はめざましい。「基礎編」で紹介したシャープCS-12Dは、デスクトップサイズでメモリ無し、四則演算だけ可能な電卓だったが、その後、メモリ機能を実装した電卓、ゼロ・サプレス(不要なゼロを表示させない)機能、浮動小数点表示、ロール紙に印字するプリント機能、手軽に持ち運べる乾電池式の電卓、ポケットに入る薄型電卓へと進化していった。

また科学技術用途では、数値の指数表示、関数計算やプログラミングできる科学電卓が開発、販売されるようになった。数字の表示もニキシー管から赤色LED、青色蛍光管、液晶へと進化していった。特に電卓の小型化を可能にしたのは、IC、MSI、LSIなど集積回路の進化、小型化、そして電子回路を載せる形態が進化していったことによる。

この図は1964年(昭和39年)から1972年(昭和47年)にかけて発売されたシャープの電卓の一覧である。

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シャープ卓上電卓の歴史:
http://www.dentaku-museum.com/calc/calc/1-sharp/1-sharpd/sharpd.html

このシリーズには「基礎編」、「研究編」、「研究編 増補版」の3冊が刊行されていて、「研究編」に2章を追加したのが「研究編 増補版」である。だから「研究編 増補版」だけ読めば事足りる。

電卓技術教科書〈基礎編〉(1971年)」B6版、356ページ(紹介記事
電卓技術教科書〈研究編〉(1973年)」B6版、334ページ
電卓技術教科書〈研究編〉増補版 (1976年)」B6版、396ページ
  

日本の古本屋というサイトで「電卓技術教科書」を:検索してみる
ヤフオクで「電卓技術教科書」を:検索してみる

なお、この3冊は国会図書館からデジタルライブラリーとして読むことができる。ただし、申し込みが必要になる。ここから検索してみてほしい。


「基礎編」は最初から最後までワクワクしながら読むことができた。しかし「研究編」そして「研究編 増補版」は、興味が持てる章が限られていた。というのも僕は関数電卓マニアであり、プログラム電卓マニアだからである。

本書の章立ては次のとおりである。(記事最後に詳細目次を載せておいた。)

「研究編」の章立て(増補版で追加されたのは青字の第9章と第10章)

第1章 電卓の高級化
第2章 新しい電卓
第3章 集積回路
第4章 電卓の製品設計
第5章 電卓の安全規格
第6章 電卓の信頼性
第7章 電卓の製造・検査工程
第8章 ユーザーとの諸問題
第9章 関数電卓
第10章 電卓の新しいシステムと製造法


僕が興味を持てたのは第1章「電卓の高級化」、第2章「新しい電卓」、第9章「関数電卓」だけだった。だから今回の記事ではこのあたりを中心に、特に関数計算機能やプログラミング機能の実装についてだけ解説することにしよう。

「基礎編」は電卓のしくみのすべてを電子回路にまで落とし込んだレベルで解説しているが、「研究編」と「研究編 増補版」になると集積回路には膨大な数の電子部品が詰まっているのだから、電子回路にまで落とし込んだレベルで解説するのは不可能である。そのあたりはすでに僕のような素人が理解できるレベルを超えてしまっている。


プログラム機能を備えた電卓

「基礎編」では「その後の電卓」として、CS-361Pの機能と操作方法が紹介されていたが、「研究編」、「研究編 増補版」ではこの電卓をより詳しく解説している。この電卓はプログラム機能とメモリは備えているものの関数機能は備えていない。

CS-361P (1970):16桁、2メモリ、開平(ルート)機能、プログラム機能(64ステップ)、31万5千円

CS-361P (1970)


たった64ステップであるが、プログラミング機能を可能にしたのが「磁気コアメモリー」を搭載したことによる。この時代のプログラム電卓は「キーマクロ方式」で、電卓に覚えさせる計算手順を実行するために押すキーの順番をそのまま記憶させ、実行するときは、記憶したキーを順番に読みだして計算させる方式をとっていいる。「磁気コアメモリー」については「基礎編」で解説されていた。

磁気コアメモリー(128ビット)


これはCS-361P (1970)とほぼ同等のCS-361R (1969)のプログラム部の回路図である。上段中央に磁気コアメモリーがあるのがおわかりだろう。

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磁気コアの数は縦18個と横16個の合計288個あり、72ディジットすなわち72ステップの計算式および数字を記憶できる。ただし実際に使用するのは演算部の制御の都合で64ステップだ。これが現在のPCにおけるSSDやハードディスクに対応し、情報を書き込んだり読みだしたりすることができる。電源を切っても記憶した情報は消えない。

現在、僕は32ギガバイトのメモリ、1テラバイトのSSDを内蔵したPCを使っているが、この電卓で使われているメモリ(磁気コアメモリ)はわずか288ビットで、1キロバイトの4分の1程度である。1ビットで1桁の2進数(0か1つまりイエスかノー)の情報を記憶できる。そして4ビットあれば10進数の1桁の数字を記憶できる。

CS-361P (1970)のプログラム部は、このように紹介されている。

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(プログラム機能と)関数計算機能を備えた電卓

関数計算機能を備えた電卓は、SHARP PC-1001 (1973)、129,000円が最初の関数電卓(64ステップのプログラム機能付き)として発売され、後継機として関数電卓(64ステップのプログラム機能付き)PC-1002 (1974)、149,000円が発売された。PC-1001 (1973)は日本初のプログラム関数電卓である。

SHARP PC-1001 (1973)


カシオ電卓ではCASIO PRO-101 (1976), CASIO fx-201P (1976), fx-202P (1976)が初のプログラム関数電卓となる。

初期のカシオ関数電卓、プログラム関数電卓
http://www.epocalc.net/pages/calc_casio_fx.htm



CASIO PRO-101 (1976):4万9800円。256ステップ。(詳細1詳細2
CASIO fx-201P (1976):2万9000円。127ステップ。電源を切るとプログラムも消えた。(詳細
fx-202P (1976):3万9千円。fx-201Pにプログラム保護回路を内蔵したもの。(詳細
PRO fx-1はPRO-101に磁気カードリーダーがついた機種(動画

さて、関数計算機能はどのように実現されているのだろうか?マクローリン展開を用いる方法もあるが、PC-1001では繰り返し計算(漸化式)を使ったインクレメント法(インリメント法)が使われている。この方法で指数関数 exp(x)、sin(x)、cos(x)のフローチャートと計算式が本書に解説されている。

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この時代にはLSIを用いたCPU、ROM、RAMが実現されていた。プログラム電卓では関数計算以外の一般向け電卓の(四則計算などの)アルゴリズムと一緒に、上記のインクリメント法を使ったアルゴリズムは固定した回路としてP ROM内に置かれていた。

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この点はシャープ電卓でもカシオ電卓でも同じである。カシオの初期の関数電卓 fx-2fx-3 の電子回路上にはLSIがすでに使われていたことがおわかりになるだろう。(CPUやRAMはLSIの内部に構成されていない。LSI内部の結線論理で実現しているワイヤードロジックに近い設計だ。)

CASIO fx-2 (1972)
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CASIO fx-3 (1975)
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「基礎編」、「研究編」、「研究編 増補版」を読み、四則電卓、メモリ機能、開平(ルート)機能、プログラム機能、関数計算機能がどのように実現されているか、そしてどの程度複雑なものかを知ることができた。自分で電卓が作れるようになったわけではないが、「電卓を作りたいという妄想」や「加減乗除と小数の計算手順を理解したい」という当初抱いていた夢は実現することができたと言ってよいだろう。自分で納得できさえすればよいのである。


関連記事:

電卓技術教科書〈基礎編〉(1971年)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/da4eb2abbdc54127bcd01a01621f5957

電卓を作りたいという妄想
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/01cf6bc6669bf0956a792bce292f97f1

加減乗除と小数の計算手順を理解したい
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/44687dc879c9a6642b59c49a0c7cc3b3

電卓技術教科書〈基礎編〉〈研究編〉:ラジオ技術社
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e639b30787954422bdcce0c6b17db2f0

IC電卓ノスタルジア (SHARP Compet CS-12A, 1969年)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/9fead04c16784b42226ea8f280dc32a7

神様の計算機 (CASIO fx-2、1972年)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/51d92a0f17a3abd1112691590d86c83a

王様の計算機 (CASIO fx-3、1975年)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/6840ad8d279eff97acd11a3f56b54343

日本初のプログラム関数電卓: CASIO fx-201P (1976)、fx-202P (1976)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/55c4832a2ca95087960c2ec0e532b1e6

世界初の手帳型プログラム関数電卓 CASIO fx-502P (1979)、fx-602P (1981)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/fdc21158802ddaef862956805b0195f2

カシオミニのノスタルジア
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/c57178b502b8207746af9df9a9e0dd90

電卓技術教科書
https://www.protom.org/mad/0069.htm


 

 


電卓技術教科書〈研究編〉増補版 (1976年)」B6版、396ページ


●目次 (研究編)
 見返し(表) シャープ製品に見る電卓の発達史
 見返し(裏) キー・オペレーション・フロー・チャートの実例
 緒言 監修者のことば

第1章 電卓の高級化
1・1 印字式(プリント式)電卓
 1・1・1 印字式電卓のプリント・フォーム
  (1)加減算
  (2)乗算
  (3)除算
  (4)負数のある乗除算
  (5)積和、積差と個々の積
  (6)和積、差積
  (7)定数計算
  (8)べき計算
 1・1・2 印字式電卓のフロー・チャート
  (1)乗算A[×]B[=]のフロー・チャート
  (2)除算A[÷]B[=]のフロー・チャート
  (3)加減算A[=]B[-]のフロー・チャート
1・2 シャープCS-661印字式電卓
 1・2・1 操作キー
 1・2・2 プリンタの仕様
  (1)各種演算のプリント・フォーム
  (2)ゼロ・サプレス機能
  (3)パンクチュエーション
  (4)オートマチック・スペース
 1・2・3 ライン・プリンタの印字メカニズム
  (1)活字の配列
  (2)ハンマーのメカニズム
  (3)位置検出機構
  (4)プリント開始命令
  (5)プリント・サイクルとPの関係
  (6)ゼロ・サプレス信号および一致検出信号記憶用レジスタ
  (7)ゼロ・サプレスの方法
  (8)一致検出の方法
1・3 シャープCS-361R
 1・3・1 3レジスタ方式とは
  (1)乗算方法
  (2)除算方法
 1・3・2 完全自動処理小数点方式とは
 1・3・3 数式どおりの連続乗除算について
 1・3・4 ROUND(切上げ、四捨五入、切捨て)
 1・3・5 ゼロ・サプレス
 1・3・6 パンクチュエーション
 1・3・7 フロート
 1・3・8 開平計算
  (1)電卓の開平計算の原理
  (2)開平計算のフロー・チャート
1・4 プログラム付電卓CS-361P
 1・4・1 プログラム付電卓とは
 1・4・2 プログラム部の構成
 1・4・3 プログラム部動作の概略
  (1)情報記憶装置
   (a)書き込み、読出し方法
   (b)磁気コアの選択方法
  (2)アドレス・ステップ・カウンタ
   (a)アドレス・ステップ・カウンタⅠ(ASC-Ⅰ)
   (b)アドレス・ステップ・カウンタⅡ(ASC-Ⅱ)
  (3)LP発生回路
  (4)RP発生回路
  (5)コードの自動書込み
   (a)キー信号
   (b)命令
   (c)AUXコード
   (d)Haltコード
  (6)プログラムの実行
  (7)CL☆(クリア・スター)信号
 1・4・4 プログラムの組み方
  (1)キーおよびスイッチ
  (2)プログラムの基本的パターン
 1・4・5 計算式の書込み読出しの実際
  (1)Lモード(計算式の書込み)
  (2)Aモード(計算式の読出し実行)
第2章 新しい電卓
2・1 設計の立場から見た電卓
 2・1・1 IC化電卓設計技術の推移
  (1)回路設計の推移
  (2)論理設計の推移
  (3)システム設計の推移
2・2 新しい電卓を支える技術
 2・2・1 電卓の機能と信頼性の進展
 2・2・2 MSI化、LSI化と回路設計技術
2・3 新しい電卓の機能
 2・3・1 電卓の機能上の分類
  (1)超小形低級機(電子ソロバン)
  (2)普及機、中級機
  (3)高級機(プログラム機および科学計算用電卓)
 2・3・2 電卓の仕様設計
  (1)状態図による方法
  (2)オペレーション・フロー・チャートによる方法
 2・3・3 各社製品の特徴比較
2・4 電卓技術と設計
 2・4・1 電卓設計の基本的な考え方
 2・4・2 IC化、LSI化に伴う論理、回路方式の推移
  (1)IC化
  (2)MSI化
  (3)LSI化
 2・4・3 制御方式一般
 2・4・4 周辺部品との関係
  (1)キー
  (2)表示部
2・5 論理回路方式
 2・5・1 IC回路方式
  (1)DCTL
  (2)RTL
  (3)DTL
  (4)TTL
  (5)CML
  (6)CTL
  (7)MOS IC
   (a)MOS ICの特徴
   (b)レシオ回路、レシオレス回路
 2・5・2 4相論理回路
 2・5・3 特徴あるIC回路
  (1)C-MOS(Complementary MOS)
  (2)ブートストラップ回路
  (3)マルチフェーズ・インターフェース回路
  (4)Bi-MOS
 2・5・4 各種MSI
  (1)固定LSIと汎用LSI
  (2)プログラミングとROM、RAM
  (3)ROM、RAMとPLA
 2・5・5 LSI化のシステムと回路構成
2・6 電卓の周辺装置と部品
 2・6・1 表示および駆動回路
  (1)多桁数字表示管
   (a)多桁数字表示放電管
   (b)多桁蛍光数字表示管
  (2)発光ダイオード・ディスプレー
   (a)LEDの発光現象
   (b)結晶材料
   (c)LEDの特徴と電卓への応用
   (d)LEDに適した数字表示駆動回路
  (3)液晶ディスプレー
   (a)液晶ディスプレーの特徴
   (b)液晶の動作原理
   (c)液晶ディスプレーの構造
   (d)液晶ディスプレーの電気的特性
   (e)液晶ディスプレーに適した駆動回路
  (4)ブラウン管(CRT)
   (a)CRTの特徴
   (b)CRTの駆動回路
  (5)その他の新しいディスプレー
 2・6・2 プリンタおよびその駆動方式
  (1)電卓に適した印字機構とは
  (2)機械式プリンタ
   (a)フライング・ドラム式プリンタとその駆動回路
   (b)マルチ・タイプ・ホイール式プリンタの駆動制御回路
   (c)タイプ・バー式
  (3)電子式プリンタ
   (a)電解式プリンタ
   (b)インク・ジェット方式
   (c)放電破壊式プリンタ
   (d)駆動回路
 2・6・3 電卓用電池電源
  (1)ポータブル電卓用電池
   (a)各種電池の評価
   (b)電池駆動形電卓の設計ポイント
   (c)ユーザーへの注意事項
  (2)電池とDC-DCコンバータ
2・7 電子ソロバンEL-8
 2・7・1 EL-8の概略
 2・7・2 EL-8の構成の特色
 2・7・3 演算部
  (1)基本回路①の場合
  (2)基本回路②の場合
  (3)基本回路③、④の場合
 2・7・4 表示部
 2・7・5 入力部
 2・7・6 バッテリ
 2・7・7 電圧変換部
 2・7・8 ACアダプタ、カー・アダプタ
2・8 事務計算用電卓の設計例
 2・8・1 高級事務用電卓CS-363Rの設計
  (1)CS-363Rのシステム構成
   (a)入力装置
   (b)演算装置
   (c)出力装置
 2・8・2 中級事務計算用電卓CS-222の設計
2・9 科学技術用電卓
 2・9・1 科学技術用電卓の背景
 2・9・2 科学技術用電卓の機能
  (1)指数処理方式
  (2)プログラム機能
   (a)相対アドレス方式
   (b)絶対アドレス方式
   (c)その他の命令
  (3)関数機能
  (4)多メモリー
  (5)プログラム・ローダ
  (6)高速演算機能
  (7)多様な周辺装置の利用
 2・9・3 科学技術用電卓CS-363Pのシステム構成
  (1)構成の概要
  (2)基本演算制御
  (3)超越関数の計算
  (4)ROMによる超越関数のプログラム
  (5)プログラム機能
 2・9・4 科学技術用電卓の周辺装置
  (1)ディスプレー
  (2)キー・ボード
  (3)各種オプション・デバイス
 2・9・5 科学技術用電卓の今後の方向
第3章 集積回路
3・1 はじめに
3・2 小形化とIC
 3・2・1 小形化の法則
 3・2・2 小形化する方法
 3・2・3 小形化の歩留まり
3・3 集積化
 3・3・1 アイソレーション
  (1)空間的に分離する方法
  (2)絶縁体層による分離
  (3)PNジャンクションによる分離
 3・3・2 配線
 3・3・3 集積化と歩留まり
3・4 ICの分類
3・5 バイポーラIC
 3・5・1 バイポーラICの各種素子
  (1)トランジスタ
  (2)ダイオード
  (3)抵抗
  (4)容量
 3・5・2 バイポーラICの設計の問題点および製造工程
  (1)絶縁領域の決定
  (2)回路の交差
  (3)素子の占有面積とコスト
  (4)バイポーラICの製造工程
3・6 MOS IC
 3・6・1 MOS ICの特徴
 3・6・2 MOSトランジスタの構造と動作
 3・6・3 MOS抵抗とMOSコンデンサ
 3・6・4 MOS ICにおけるディジタルの基本回路とパターン
 3・6・5 MOS表面の安定化
  (1)不安定の原因
  (2)安定化の方法
 3・6・6 各種の新しいMOS
  (1)MOSトランジスタのスイッチング高速化
  (2)シリコン・ゲートMOS
  (3)C-MOS(コンプリメンタリMOS)
3・7 LSI(大規模集積回路)
 3・7・1 LSIの定義と特徴
 3・7・2 LSIの設計
 3・7・3 LSIの分類
  (1)形態による分類
  (2)配線方式による分類
   (a)任意配線方式(Discretionary Wiring)
   (b)100%歩留まり方式(100% Yield Approach)
   (c)積木方式(Building Block)
 3・7・4 電卓とLSI
第4章 電卓の製品設計
4・1 電卓設計の手順
 4・1・1 電卓設計の基本構想
 4・1・2 電卓の基本設計
 4・1・3 PCB(Printed Circuit Board:プリント基板)設計
 4・1・4 動作確認および諸測定
 4・1・5 デザイン
 4・1・6 機構設計
 4・1・7 試作機
 4・1・8 試作機試験
 4・1・9 総合評価
4・2 設計上の諸問題
 4・2・1 設計基準の必要性
 4・2・2 電気的特性のマージン・チェック
  (1)論理回路用電源電圧マージン・チェック
  (2)周波数マージン・チェック
  (3)各部信号波形チェック
 4・2・3 環境マージン・チェック
  (1)温度マージン・チェック
  (2)湿度マージン
  (3)対静電気マージン
  (4)ノイズ・マージン
  (5)不要輻射電波(Radio Frequency Interference)
4・3 部品および電卓の試作と評価
 4・3・1 部品の試作と評価
  (1)部品の規格(Specification:スペック)
   (a)性能スペック条件
   (b)信頼性スペック条件
  (2)部品の試作
  (3)部品の認定
 4・3・2 電卓の試作と評価
  (1)電卓の試作
  (2)電卓の評価
   (a)信号レベルの試験
   (b)トランスの試験
   (c)セット内温度上昇試験
   (d)電力の測定
   (e)フェーズ値決定試験
   (f)瞬時停電試験
   (g)ノイズの試験
   (h)静電気の試験
   (i)通電エージング・テスト
第5章 電卓の安全規格
5・1 安全規格の概要
 5・1・1 安全規格の目的
 5・1・2 各国の安全規格
 5・1・3 CEE規格とその他の安全規格の関係
  (1)CEE規格
  (2)CEE規格とヨーロッパ安全規格
  (3)CEE規格とUL、CSA電気用品規格
   (a)感電防止
   (b)火災防止
5・2 電卓の安全規格と対策
 5・2・1 安全規格用語とその注意
  (1)活電部分
  (2)近づきやすい部分
  (3)間隔
  (4)絶縁
  (5)機器分類
  (6)正常動作状態
  (7)障害状態
  (8)エンクロージャ
  (9)電源コード
  (10)ストレーン・リリーフ
  (11)配線
  (12)接地
  (13)絶縁抵抗、耐圧
  (14)表示
5・2・2 安全規格を考慮した機構設計
第6章 電卓の信頼性
6・1 信頼性計画
6・2 信頼性試験
6・3 信頼度の予測と評価
 6・3・1 製品のMTBF予測、算出方法
  (1)部品の故障率データによる予測手順
  (2)試験による算出手順
  (3)市場データによる算出手順
 6・3・2 MTBFの評価
6・4 電卓の信頼度設計
 6・4・1 配線の信頼性
  (1)プリント基板配線
  (2)スルー・ホール
  (3)プリンシャ・コネクタ接触端子
 6・4・2 部品の信頼性
  (1)ダイオード、トランジスタの信頼性
  (2)IC、LSIの信頼性
  (3)ディスプレー装置
 6・4・3 機構の信頼性
  (1)部品、材質強度
  (2)放熱性
  (3)組立性
 6・4・4 回路の信頼性
  (1)ディレーティング
  (2)温度マージン
  (3)部品の標準化
第7章 電卓の製造・検査工程
7・1 電卓の製造工程
 7・1・1 プリント基板上の組立て
 7・1・2 ハンダ付け
  (1)ハンダ付けとは
  (2)フラックス
  (3)洗浄
  (4)防湿処理
 7・1・3 電卓の組立て
 7・1・4 最終仕上げ
7・2 電卓の検査工程
 7・2・1 検査の目的
  (1)部品受入検査
  (2)工程内検査
 7・2・2 部品検査
 7・2・3 工程内検査
  (1)プリント回路の低温エージング検査
  (2)プリント回路の高温パワー・エージング検査
 7・2・4 完成品のエージング検査
 7・2・5 検査機
  (1)検査の自動化
  (2)LSIテスター
  (3)プリント回路検査機
第8章 ユーザーとの諸問題
8・1 サービス準備活動
 8・1・1 設計部門よりサービス部門への業務移管
 8・1・2 サービス資料
8・2 電卓の不良
 8・2・1 故障のいろいろと対策
 8・2・2 市場データのフィードバック
8・3 サービス体制
 8・3・1 責任分担
 8・3・2 LSI機と保守契約
第9章 関数電卓
9・1 電子計算尺ESR
 9・1・1 電子計算尺の概要
 9・1・2 設計例
9・2 関数電卓の仕様
 9・2・1 数値の扱い得る範囲
 9・2・2 ゼロ・サプレス
 9・2・3 キーの操作仕様
 9・2・4 関数電卓に含まれる関数の種類
 9・2・5 三角関数と逆三角関数における角度の範囲
 9・2・6 キーの数
 9・2・7 精度と表示
 9・2・8 演算時間と性能指数
 9・2・9 関数電卓の高級化
 9・2・10 関数電卓の応用分野
9・3 関数電卓の実例
 9・3・1 シャープPC-1002概略仕様
 9・3・2 概略構成
 9・3・3 マイクロ・プロセッサ・システム
 9・3・4 P ROM
 9・3・5 関数の計算
第10章 電卓の新しいシステムと製造法
10・1 COSシステム
 10・1・1 COSとは
 10・1・2 文字パターン電極の作成
 10・1・3 厚膜工程とCOS厚膜技術
 10・1・4 表示用液晶と駆動方式
 10・1・5 液晶工程
 10・1・6 COSの実装工程
10・2 フレキシブル回路パッケージ
 10・2・1 集積化の方向
 10・2・2 フレキシブル回路による電卓
 10・2・3 ドータ・ボードの形成

索引
〔脚注〕
 倍長演算
 小数点方式
 4捨5入機能
 アイテム・カウンタ
 パンクチュエーション
 バッファ・レジスタと演算速度
 ROMとPLAの実際

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