とね日記

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贈り物にできる本を2冊紹介

2010年04月24日 17時09分27秒 | 小説、文学、一般書

入学や就職が終わり4月から新生活が始まった人や、そうでなくても気分を入れ替えて再出発をしようとしている人も多いのだろう。理系文系を問わずそのような知人や友人に贈ることのできる本を2冊ピックアップしてみた。

大切な人への贈り物としてどうぞ。

はてしない物語: ミヒャエル・エンデ


映画「ネバーエンディングストーリー」の原作である。映画化されたのがまったく残念に思えるほど本のほうは素晴らしい作品。この本に出会って本好きになった方も多いと思う。読む者を熱中させずにはいられないこの本はファンタジー小説のさきがけとなった名作である。

580ページもある大作。赤がね色の表紙には2匹の蛇がからまりあった図柄が印刷され、本文では現実世界の出来事が赤がね色(褐色)で、ファンタジー世界での出来事が緑色の文字で印刷されている。



でぶっちょでいじめられっ子の少年バスチアンはある日、自分をいじめる友達から逃げるために飛び込んだ古本屋でこの「はてしない物語」という本に出会う。本好きな彼にとって手にしたのはまさに「本の中の本」。読みたい衝動に突き上げられて店主が目をそらしたスキに盗んでしまう。

学校の屋根裏に隠れて読み始めたバスチアンはすぐさま、この本が特別なものであることに気づく。本の中にバスチアン自身やこの本自体のことが書かれているからなのだ。

読者が読んでいるこの本の中に同じ「はてしない物語」が登場することで、読者は自分自身をバスチアン少年に重ねて読むことになる。バスチアンの冒険とともに読者自身の冒険が同時進行していく。

現実とファンタジーの世界は交互に並行して進み、徐々にそれら2つの世界は近づいていく。ファンタジーの世界から呼ばれるバスチアン。最初のうちは呼ばれているのが自分のことだと気がつかない。ファンタジー世界からの呼びかけは現実的なものになっていき、とうとう彼は物語の世界へ一気に取り込まれてしまう。「はてしない物語」という本の題名は、彼を呼び入れるためにとられた手段としてその意味が明らかになる。

このようにバスチアンの体験が、読者自身の体験として得られるのがこの本の最大の魅力であろう。


不思議の国のアリス・オリジナル(全2巻): ルイス・キャロル


ルイス・キャロル作「不思議の国のアリス」は、もともとオックスフォード大学の講師のルイス・キャロルこと本名チャールズ・ドジソンという数学講師が、アリス・リデルという実際にいた少女に語り聞かせた「地下の国のアリス(Alice in Underground)」という物語を元にして作られたものだ。

上で紹介した本はこの「地下の国のアリス」であり、著者自身が手書き本としてアリス・リデルに贈った本の復刊本である。オリジナル本はロンドンの大英博物館に展示されている。

日本で復刊された本は(もちろん)英語の復刊本とその日本語訳の2冊からなっている。


英語版のほうはこのように手書き文字で、挿絵も著者みずからによるものだ。


日本語訳のほうはこのような感じ。


この「地下鉄のアリス」に対して物語に肉付けをして完成したのが「不思議の国のアリス」である。しかし、このオリジナルの段階で物語の骨子は既に完成しており、10歳の少女に対して語り聞かせるという性格上、文章は平易で英語として読むにはこちらのほうが読みやすいのだ。

たとえ英語が読めなくても、美しい装丁の本書はインテリア小物としてもうってつけで、受け取った人はきっと喜ぶに違いない。


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