リハビリ室に一枚の紙が貼ってあります。
作業療法の一環で、患者さんが何かを見て各練習のために習字で書いたものです。
なんの文章かというと、第84回選抜高校野球大会の開会式で、石巻工(宮城)・阿部翔人主将が行った選手宣誓の全文です。
とてもいい文章です。私もリハビリ中に何度も見ます。(↓に記載しました。)
特に好きな部分があります。
「人は誰でも答えのない悲しみを受け入れることは苦しくてつらいことです。」
というところです。
病院でも、病気やケガについてよく考えさせられます。
確かに病気に原因はある。
しかし、病気に「なぜ私ではなく、あなたが?」という理由、答えはない。
(自分の不節制ということはあり得るが、不節制をしても病気にかかる人もいればかからない人もいる。危険性は高まるが、「必ずかかる」のではない。
喫煙をしても肺病にかかるとは限らず、その副流煙で病気にかかる人もいる。)
「自分が悪いことをしたからこんな罰(ばち)が当たったのかな。」と病気を悲しむ人が大勢います。
無意識なのかわかりませんが、何か「自分が病気にかかった理由」を探したいのです。
でも答え、理由のない苦しみばかりです。
関越道ツアーバス事故から今昨日で1年。
答えのない苦しみでしょう。私には分かりませんが、相当な苦しみでしょう。
家族を失った家族や、今も心や体に痛みや障害を負っている方々にとっては。
自分の責任で負った傷であれば、心は少しは違うかもしれません。
でも乗客には何の落ち度もなく、突然降りかかった災難です。
多くの方々の回復のために祈ります。
宣誓。
東日本大震災から一年、日本は復興の真っ最中です。
被災をされた方々の中には、苦しくて心の整理がつかず、
今も、当時のことや、亡くなられた方を忘れられず、
悲しみに暮れている方がたくさんいます。
人は誰でも答えのない悲しみを受け入れることは苦しくてつらいことです。
しかし、日本が一つになり、その苦難を乗り越えることができれば、
その先に必ず大きな幸せが待っていると信じています。
だからこそ、日本中に届けましょう。感動、勇気、そして笑顔を。
見せましょう、日本の底力、絆を。
我々、高校球児ができること、それは、全力で戦い抜き、
最後まで諦めないことです。
今、野球ができることに感謝し、全身全霊で正々堂々とプレーすることを誓います。
平成24年3月21日、選手代表、宮城県石巻工業高等学校野球部主将、阿部翔人
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