白馬スネルゴイキャンプで紹介された本です。さっそく熊本市立図書館で借りてきました。
内容は、童話です。簡単なあらすじを紹介します。
1942年、世界大戦の最中、貨物列車で絶滅収容所に送られる大勢のユダヤ人達。
その線路近くには、貧しい木こりの老夫婦が住んでいました。
夫から「あれは貨物列車だ」と聞いて、「あの列車はたくさんの食べ物や素敵な商品を運んでいるのだろう。いつか私も、あの列車に乗って、そして美味しい物をお腹いっぱい食べたり、色んな商品を手に取ってみたい」と、楽しい想像を巡らせる、木こりのおかみさん。
いつしかその列車が通るたびに手を振り、呼びかけるようになりました。「ある日、もしかしたら明日、いえ、いつでもいい。あの列車の誰かが、空腹の私をあわれに思って、その素敵な荷物の中から通りすがりに施しをしてくれるかもしれない」という希望を持って。
ある日、ゆっくり走っていた列車から「受け取ってくれ!」という強い意図を持った手の合図と共に、きれいなショールに包まれたユダヤ人の赤ん坊が、雪の上に落とされます。
本文を紹介します⇒「おかみさんは、くずおれてひざまずき、胸の上で両手を組みあわせて、天になんと感謝したらいいのかわからずにいた。ついに、ついに、あれだけむなしく祈り続けた果てに!小窓からの手は、今や彼女に向けられて、有無を言わさぬ強い調子で、包みを取るよう命令している。この包みはおかみさんのものなのだ。おかみさんだけの、おかみさん宛ての」
「貧しい木こりのおかみさんは、(中略)雪に足を取られながらも、その小さな包みを拾い上げようと駆けよった。そして夢中で、胸をドキドキ言わせながら、贈りものの中身を早く知りたくて大急ぎで包装紙を開ける人のように、包みの結び目をほどいた。すると、どうだろう。中からは、あんなにも乞い願っていたものが、おかみさんの夢だったものが、現れたのだ」(本文 P.33-34)
長年「子どもが欲しい」と祈っていたおかみさんの祈りの答えでもありました。
ここでちょっぴりネタバレです。(反転して読んでください)

「実際の人生でも物語のなかでも、本当にあって欲しいもの、それは愛だ。愛、子どもたちに注がれる愛。自分の子にも、他人の子にも。たとえどんなことがあっても、どんなことが無くても、その愛があればこそ、人間は生きてゆける。」(本文 P.149)
「物語の中で『人でなし(=ユダヤ人)に心はない!やつらは野良犬、追い払え!』という偏見と差別に満ちたスローガンに対して貧しい木こりのおかみさんは『人でなしも、人よ。人でなしにも、(中略)心がある。おまえさんやわたしと同じように』と言い切ります。世界のあちこちで、不寛容の傾向がじわじわと広がっているような今、おかみさんのこの言葉、この愛が、多くの人に届きますよう、願わずにいられない」(翻訳者あとがきより)
普段、コロッと忘れていた他者への思いやりのこころ(かな?)を思い出し、また価値観が、世間のソレにかなり染まってるな~と気づいたりと、この本で心のデトックス(=毒抜き)された気が・・、えぇと、何かうまく表現できない、ゴメンナサイ
。 でもおススメです、
良い意味で心が温かくなりモヤモヤします
。なおこの童話は、2022年にはアニメ映画で公開予定だそうです。
神に感謝します。
hiromi 
【追記】聖書の御ことば:「愛は寛容であり、愛は親切です。また人をねたみません。愛は自慢せず、高慢になりません。礼儀に反することをせず、自分の利益を求めず、怒らず、人のした悪を思わず、不正を喜ばずに真理を喜びます。すべてをがまんし、すべてを信じ、すべてを期待し、すべてを耐え忍びます」(1コリント13:4-7)
「こういうわけで、いつまでものこるものは信仰と希望と愛です。その中で一番すぐれているのは愛です。」(同13:13節)