僕と花

2014-07-14 13:56:55 | 童話
童話を書いてみました。
童話といっても大人向けだと思います。


僕と花


自己紹介しよう。
僕は、葉っぱのようちゃん。
これからのお話は、まあ僕の独り言だと思って聞いて欲しい。

ある日、花売りの風がやって来た。
可愛い花が、君を癒してくれるって。

ひとりの僕は、それを聞いて嬉しかった。
ようやく孤独とさよならできるって。

だから、僕は風に花を大切にするから下さいって言った。
風は少し寂しそうだった。
けれど、花を手放すことにした。

そして風は可愛い花をくれた。
僕はその日から、花に栄養が行くように毎日葉を広げた。
紫外線の強い日も、豪雨の日だって。

僕と花は幸せに暮らした。

けれど…

花は病気だった。
だから、花にはいつも実がならなかった。

僕と花はいつの間にか遠く離れていった。
見上げる花に、おはようという言葉も届かなくなっていた。

それでも、僕は葉を広げた。

それで、良かった。
花が一人で悩んでいる姿を見ていられなかった。

僕は、毎日花と幸せになる方法を探した。
そして花に語りかけた。

僕と花はね、見ている空が同じだよ。
景色も、同じだろう。
少し、君のほうが空に近いけどね。

花は、ポロポロと涙を流し僕の方に降りてきた。
見てよ、僕ボロボロだろ。
あれ…、君も苦労したね。

それから、僕と花は幸せに暮らした。
たまに、やってくる虫と太陽と月に照らされて…

コメント
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