瞳

石けんの香りがすれば
そこから道は開ける

雨の香りも
太陽の香りも

そこから道は開ける

タンポポも
紫陽花の葉っぱも

誰もあなたのこと責めないから

優しい瞳に気づいたら
そこから道は開ける

お茶碗

人間は欠点があるから愛おしいと

つぎはぎのお茶碗が教えてくれた

欠点だらけの私が

誰かを裁くなんて

到底出来ることではない

それなのに

あの人は…とか

簡単に口にだそうとする

そんなとき

お茶碗の欠ける音にまた気づくのかな…

花壇

ただいま
太陽に
咲いたばかりの花たちが
微笑んでいた

暗い土に
守られて
すくすくと
伸びてきた

はじめましてじゃなくて
ただいまって
言いたかったの
花たちがはにかんでいた

縫う

やぶれたら

夢を縫う

こっちは
ピンクにして

あっちは
青にしようって

カラフルな糸が
行き交う

わたしの空は
線路のよう

紫陽花

紫陽花の

小さな葉

どこかで

季節を感じている

あなたと

歩く年月も

灰色の雨に

色をつける