塀

見えない塀が
目の前を遮ることもあるでしょう

塀を登ると
見たこと無い景色に
涙することもあるでしょう

その景色が
くすんでいようと
鮮やかであろうと

空は青

雲は幻のような気がしてきたのです

目の前の塀は
あるといえばあるし
ないといえばないのかもしれません

空は青

私はただ
目の前の塀を眺めているのです

私もおばあさんも

朝起きたら
もう、9時を過ぎていた

お薬を飲んで
ぼんやり、考えた

体の疲れは一生とれないみたいだし
いつも明後日を向いているし

お薬がないと生きられない

道行く

あのおばあさんは
押し車がないと歩けない

階段ばかりの世の中で
あなたが、差し伸べた手の温かいこと

おばあさんは
何度もお礼を言っていた

そうね、温もりに触れたとき
人より何倍もありがとうって言える

あんな花

暗い部屋に咲いていたい
そう、昔から思ってきた

明るい部屋に咲く花を横目で見ながら

それが、わたしの役目だと
小さい頃から気づいていた

だけど、明るい部屋に咲く花は優しくて

わたしのところに近づいて
慰めてくれた

暗い部屋に咲いていたい
そう、今でも思っている

くすみかけた花弁を
好きな、ピンクやラベンダー色に変えて

あんな花があったなって
ふと思って欲しいの

常夏の島

いっぱい泣いたら
重荷が軽くなった

涙と一緒に荷物まで
運んでくれたのかなぁ

ただ今、私の心は
常夏の島

冬に震えて
春に涙して

ただ今、私の心は
常夏の島

何度も

何度も溶けて
形を変えて生きてきたの

ヘドロになったし
チョコレートにもなって
生きてきたの

川の跡をつくったり
大好きな人に渡したり

何度も溶けて
辛い思いしたけれど…

ヘドロになっても
いつかは
きれいな模様をつくるのだから

菜の花だって
咲くのだから