落書き

お店の窓ガラスが
水蒸気で曇っていた

よく見てみると
にっこり笑った顔が描いてあった

窓を開けると消えてしまうから
眺めていた

今日はいつもより冷え込んで
掃除をする手がかじかむけど

なんだか温かかった

冬の海辺

冬の海辺を歩くと
冷たい風が吹く

薄い雲に覆われた
月のような太陽が
見えたり隠れたり

指の先を
薄い光にかざしてみると

柔らかな温もりが
指を包んでくれる

あの枝のつぼみは
何も語らず
ただ風に揺れている

ささやかな温もりを
精一杯感じながら

助け

誰かに助けて欲しくって
助言が欲しくって

本来の自分を見失っていた

悲しいときは悲しいままで
楽しいときは微笑みを浮かべて

今は一人で考える時間が必要なのだ

ゆっくりお茶でも飲んでいると
ふと誰かの顔が浮かんだ

誰かに助けて欲しいって

もうすでにたくさんの人に
助けられていた

雨のシャワシャワ

雨のシャワシャワ気持ちいい
幼い頃の私の口癖

田んぼしかない
保育園の帰り道

母と並んで歩いた

大きな傘と小さな傘を
くるくる回しながら

雨のシャワシャワ気持ちいい
雨が降ると思い出す

川

この橋を渡れば
古里の川の匂いがした

そんな話あなたにしたら
そんなの覚えていないって

あの川の匂いは
泥のようで海のよう

橋の上で
立ち止まって深呼吸した

小さな頃から
変わっていないね

私は
立ち止まってばかりの女の子