じいちゃんは宮大工

私はじいちゃんに会ったことがない。

母だってその人のことを覚えていない。
ずっと昔に書きましたが、母が一歳のときに突然死んだそうです。


ばあちゃんの部屋には　若くてちょっとかっこいい男の人の写真が飾られていた。
じいちゃんは、とても腕のいい宮大工だったそうだ。

ばあちゃんの自慢はじいちゃんが
「徳川のお殿様の家を建てに東京に行った」
という事だった。

これは本当のことで　そのハンサムで40代には見えない
若ぶりなじいちゃんが　とても立派な建物の前でうつっている写真が今も残っている。

そのじいちゃんが建てた家が今も大島にあります。
近所の印刷屋ｻﾝの家と　本家の家です。
とても　立派な家です。

じいちゃんは　本家の家を建てたとき、１人で山から木を切り出し、運んで
その無理がたたって　完成してすぐ　お地蔵様の前で倒れていたそうだ。

倒れる少し前に
「キクや　　この家を建てたら　今度はウチの家を建ててやるからな」
と言っていたそうです。

　それがかなう事がなかった・・・ってよく言っていた。
ばあちゃんとじいちゃんとの結婚生活は短かった

だけど　家という形で残っている
それが　生きていたあかしになっていく
それってすごいなあ～～と思うわけです。

存在がなくなっても　いいものは
この世に残っていくんだな