結婚していない男女間の子(婚外子)である東京都内の40歳代男性が、結婚した夫婦の子と同額の相続を求めた訴訟で、東京地裁(花村良一裁判長)は28日、婚外子の相続分を半分とした民法の規定を「違憲・無効」とした9月の最高裁決定を踏まえ、男性の請求を認める判決を言い渡した。最高裁決定を基に、婚外子に平等な相続を認めた判断は初めてとみられる。自民党内の反対などで、規定を削除する民法改正の動きが滞る中、司法が相続格差の是正を先行させた形だ。
判決などによると、男性の父親は2006年に死亡。当時、男性は認知されておらず、父親の妻と3人の子供が遺産を相続した。後に男性は婚外子と認められ、11年に提訴した。
最高裁は9月、和歌山県の女性らが起こした別の相続を巡る裁判で、民法の規定が遅くとも01年7月には、法の下の平等に反して違憲だったと判断。
この日の判決は最高裁の判断に従って、「父親の死亡で相続が始まった06年時点では、規定は既に無効だった」として、男性が本来受けるべき相続分を、夫婦の子3人が分担すべきだと結論づけた。