浅草の駒形でどぜうをぃただいたあとは、「河岸」(かし)を変えることになりました…
せっかく浅草に来たので、父は伝統ある「神谷バー」に行きたかったようですが、花火の日だったので、あきらめたようです…
浅草駅から地下鉄銀座線に乗りました…
階段を降りたら、すぐ駅なのには、おどろきました…
天井も低いです…父は頭がぶつかりそうでした…
銀座線は、いちばん古い地下鉄で、昔の技術では、あまり深く掘れなかったんだって、おじさんが教えてくれました…
東京は大阪と違って山あり谷ありですから、銀座線の渋谷駅は、地上3階にあるんだとか…
どこに行くのでしょうか…
上野? 新橋? 銀座?
神田で降りました…
神田といえば、古書街で有名ですね…
「古書街は神保町のほうだね。神田からは20分ほど歩く」
と、父がいいました…
「神田は変わらないなあ」
と、おじさんがいいました…
「そうだな」と、おじいちゃんがうなずきました…
「ふむ」と、父もつぶやきました…
父は神田で働いていたことがぁるそうです…
三十年ぶり以上の神田は、父にはどんなふうに見えたのでしょうか…父がぉ昼休みに「中華丼」を食べたというガード下の町中華は、いまも残っているのでしょうか…
炉端焼きのお店に入ることになりました…
いけすには、サザエやアワビがいました…!
「突き出し」のセットです…
焼き上がりました…!
左から、コーンさつまあげ、チーズかまぼこ、ししゃもです…!
このお店は、二次元コードを読み込んで注文するシステムです…
「れんちゃん、何が食べたい?」
おじいちゃんが私にメニューを渡しながらいいました…
「えっとね…えっと…サザエ!」
私は、答えました。
「おれも賛成。れんちゃんもサザエつぼやき、好き?」
おじさんがいいました。
「うん! 食べたことないけど」
「食べたことないのに?」
おじさんはきょとんとした顔でいいました…
若いころの父の句集「三里塚戦記」の「サーファーにサザエつぼ焼きもらったよ」を読んで以来、サザエのつぼやきは、私のあこがれ料理だったのです…
おまわりさんに追われ、「組織」にも見捨てられながら潜伏行を続けた父ですが、俳句も文章も、いつも明るく朗らかで楽しそうで、どこかロマンチックなのです…
父は私の考えに気づいたのでしょうか…苦笑いしているだけでした…
祖父が叔父にいいます…
「れんちゃんが食べたけりゃ、それでいいじゃねえか。サザエを四人前だ。よし、お父さん、注文してくれ。おれには、このQRコードってやつが、さっぱり、わからねえ。わかる気もないがな」
祖父がメニューを父に渡しながらいいました…
父は祖母と瓜二つで、「一卵性親子」といわれたそうですが、祖父とも似ています…どこか親分肌で、理屈がきらいで、「こまけぇこたぁいいんだよ」といいいそうなところが…
「おうよ」と、父が答えました。
しかし、すぐつまづいてしまいました…
「はあ? ようこそApp Store へ? この店、米帝アップルコンピュータの回し者か?」
どうしてApp Store?
ぉ父さん、スマホ、見せて…
やっぱりだ…
QR読み取りアプリの広告タップしてる…私に任せて…!
「全く、使えねえお父さんだぜ! れんちゃん、これからもお父さんのこと、よろしくな!」
おじいちゃんが笑い出しました…
サザエが焼きあがりました…!
つまようじで、ふたをはずして、身を引きずり出します…
肝が苦み走って、おとなの味でした…!
ねぇ、ぉ父さん、サーファーさんにもらったサザエも、こんな味だった…?
「どうだったかなあ。でも、サザエはおいしいね」
と、父は笑って答えました…
「れんちゃん、サザエ気に入った? おかわり、いこうぜ!」
おじさんがいいました…
もちろん、おかわりです!
サザエのつぼやき、おいしかった…
おじいちゃん、おじさん、今日はありがとう!
どぜうも、サザエも、おいしくて、たのしかった…!
神田駅でお別れです…
ホテルのぁる蔵前に行くのに、上野御徒町で都営大江戸線に乗り換えました…
ホテルに着きました…
すぬた、すぬすけ、みんな…!
今日はみんなお疲れ様…!
おじいちゃんも、おじさんも、みんな元気そうで、よかったね!
どぜうも、さざえのつぼ焼きも、おいしかった!
あしたは、上野動物公園に行くよ!
みんな、楽しみにしていてね!
(2024年09月22日23:43更新 スウェーデン/ストックホルム 夏時間 2024年09月22日16:43)