受賞作品[鉄の雨の詩~鉄打つ僕と鉄の雨に打たれた君~]は、2017年2月の二人展で発表したインスタレーション作品、[鉄の雨の詩]に続く、繋げる作品として、制作しました。[鉄の雨]に見立てた小さな錆鉄花器はそのまま使用し、雨を降らせた物体をカタチにしたいと思い、ストーリーを作っていきました。
二人展で綴ったメッセージにこの題名の意味があります。
実物は、写真では伝わらない、審査評でも触れられていた『重厚な、不気味さ』が、きっと伝わることと思います。僕自身も、創作遅れから、完成形をずっと眺めた時間がなく、一夜城のような一瞬の圧を感じただけなので、ふわっとした記憶のままです。会期が始まり、作品と再会できる日をとても楽しみにしてます。
お時間が許されれば、会場に足をお運びいただき、実物を感じてもらえたら嬉しいです。
そして、下記、二人展/インスタレーション作品[鉄の雨の詩]の『想い』を一読していただけると、作品イメージが、より一層、明確に見えてくると思います。
1年間、三重文化会館にて展示されることになりましたので、年内に予定しております
個展[鉄の雨の詩]とリンクして発表させていただきたいと準備して参ります。
《第68回みえ県展》
〇本展会期/2017年5月20日から6月4日
(三重県文化会館)
〇移動展会期/6月10日から14日
(名張市武道交流館いきいき)
応募点数859作品 入選481作品
約500作品が展示されています。
各部門の力作をぜひ、感じてみてください。
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想い。
二人展/今岡秀則発表作品『鉄の雨の詩』について。6年振りの桑名での作品展となります。今回は、インスタレーション作品として、空間での表現です。『鉄の雨』というテーマに決めたことは、とても長き創作の月日の中で苦渋の決断でした。『鉄の雨』という言葉は、鉄を扱う者として、心に刺さり、いつまでも心のどこかでしこりが残り続けています。何かの縁あって沖縄を意識するようになり、幾度かの訪沖、現地での交流の中で、沖縄戦は切っても切れない歴史の事実として『鉄の雨』というフレーズが僕の心に突き刺さったままです。騒がれている基地移設問題について、正直なところ、僕の中ではっきりとした答えは未だ見つかっておりません。ただ、戦争実体験の語りべが居なくなっていく現状に不安を抱いてます。もし?僕が戦争の最中に生きていたなら、おそらく、鉄の加工技術で加担していたんだろうか?という答えは明確に出ます。そこが戦争の怖さだと感じてます。同じ鉄で僕は、今、何をすべきか?自問自答です。この『鉄の雨』『鉄の暴風雨』という言葉のイメージと一度、向き合ってみたい。そう感じるようになりました。しかしながら、作品として制作するべきか?ずっと悩んできました。体験していない者に表現するエネルギーがあるのか?資格があるのか?沖縄戦に限らず、戦争とは?も含め。しかし、数年前から、世界情勢が何か?変な方向へ向かい始めたのではないか?という明確な言葉はありませんが、嫌な予感というか?胸騒ぎがあります。昨年、アメリカ大統領選があり、今年から政権が変わり、その結果が良いのか?悪いのか?は僕にはわかりませんが、一つ、強く感じることは、戦後、グローバル化していく世界で、各国が共に手を繋ぎ逢い、地球全体のことを考えていこうとしていたように感じていましたが、ここ数年は、自国利益優先という流れになりつつあるように感じます。どこかの国が暴走し、何かしらの地雷を踏めば?180度世界が変わり、戦争が起きてしまうのではないか?語りべが居なくなっていく中で、戦争を知らない僕らの時代は、再び、同じ過ちを犯してしまうのでなはいだろうか?正義とは?ある一定方向に民衆のベクトルが向いた時、それが正義となるもの。今感じるこの嫌な予感と胸騒ぎを、僕なりの表現で次世代へと伝えなければという想いで、作品制作へと向かい始めました。制作着手してから、偶然か必然か?桑名長島で生まれ育った方から、長良川の近鉄、JR付近の爆弾痕のお話しをお聞きしました。ここで初めて、桑名空襲という事実が明確に目に前に飛び込んできて、『鉄の雨』作品の重要性、必要性を感じました。改めて、鉄の雨の降った沖縄戦と桑名空襲をテーマに、メッセージ『鉄の雨』は光輝く水玉となり、天の光に導かれてゆくだろう。を表現し、『鉄の雨の詩』を発表します。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
鉄造形家 今岡秀則