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外食2.0

2013-04-10 | レビュー
外食2.0  君島佐和子



著者は、雑誌「料理通信」編集長。

「外食」は、どこに向かっているのか?
外食の黄金期から、料理業界の変遷をウォッチし続け、外食を食べつくした感のある著者の総決算とも言うべき本著。
かつては空腹を満たし、次第に糖質と脂質を求め、技巧を凝らし、多様なスパイスを加味してついには無国籍となった美食の数々。伝統からの脱却、あるいは伝統への回帰。料理人たちはどこへ行くのか?私たちは、どこで何を食せばいいのか?そもそも「おいしさ」とは何か?という疑問を投げかける。

肉のうまみを最大限に引き出すのは、実は低温でじっくりが良いなどの厨房の実験室化。坪単価によるレストランの立地条件。なぜイタリアンなのか?バルが流行る理由。北欧レストラン「ノーマ」の成功。「うまみ」の再発見。シェフの発信力。など、様々な見地から外食産業の今を伝えている。シェフたちの裏話なども興味深い。

結局「おいしさ」は極めて主観的なものであり、作る個人と食べる個人の求めるものが一致したときに「おいしい」があるわけで、ミシュランのような客観的評価が、私の「おいしい」と一致するはずがないのである。個人と個人の出会いのステージがレストランもしくはバルということになるのではないか。

さしずめ、私自身に開業の余地があるとして、その時は編集長いわくの「素朴系女子」の範疇にくわえてもらっていいですか。