びぼーろぐ

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わかりあえないことから

2012-12-22 | レビュー
わかりあえないことから
 コミュニケーション能力とは何か  平田オリザ 2012年

 再び、平田オリザ である。「17歳の~」を読んだ後では、やたら説得力があるように感じてしまう。

 人間は演じる生き物なのだ。
「演じる」ことは「本当の自分を偽る」こととは違う。人格とは、様々な社会的役割、すなわち様々な仮面の総体である。むしろplayerとして様々な自分を演じることを楽しむべきである。

 コミュニケーション能力に関するダブルバインドが日本社会を閉塞させているといううのが、著者の主張。つまり、異文化交流への要請と日本社会の中での同調圧力のダブルバインドによってである。そこにはやはり、明治以降の急激な西洋化や経済成長によって置き去りにされてきたコミュニケーション教育の遅れの問題がある。その能力を身につけるべく取り組みの紹介である。

 多文化共生の昨今では、考えの違うもの同志が、コミュニケーションを通じて何とか妥協点を見いだして暮らしていかなければならない。その場合必要なのは「対話」であり、互いに「説明」をすることである。わかりあえる者同士の間に対話は必要ない。わかりあえないからこそ、粘り強く対話するのである。まずは、馴れること。

 コミュニケーションの極意?
「対話」は表現の一種である。従来の国語教科書にあるような、センテンスでは実際伝わらないのである。場面に応じた効果的な表現方法というものがある。また、無駄とも思われる人間的な表現(繰り返し・間投詞・相槌・沈黙・ダンス)が、伝えることにおいてはより効果的だったりする。逆に、受け取る側もまた、耳を澄まし、目を凝らして相手の文脈を探ることに努める必要がある。社会的弱者を扱うような微妙な現場においては、対話をしやすい環境を整える、ことも必要とされている。(コミュニケーションデザイン)

 言うまでもないことだが、舞台で、役者の演技が文脈に沿った自然なものであるほど、架空のストーリーに真実味が増し、結果、作品のメッセージを良く伝え、感動を引き起こす。演じる過程で役同士のコミュニケーションをなぞり、更に作品としてアウトプットすることで、観客とのコミュニケートを図る。つくづく演劇は面白い。


十七歳のオリザの冒険をしるす本

2012-12-16 | レビュー
十七歳のオリザの冒険をしるす本 平田オリザ 1980年

 劇作家の平田オリザさんが十六歳から十七歳になる足掛け二年間に、なんと自転車で世界旅行をした記録である。1979年から1980 年のことである。当時は、新聞やテレビで取り上げられかなり有名な出来事であったらしい。80年代初頭はウルトラクイズや、なるほどザ・ワールドなど、世界を意識したテレビ番組が次々と始まり、バブル景気とともに海外旅行に出掛ける日本人が増加の一途をたどる時代である。そんな中で、世界を見てやろうと野望を抱いた16歳のオリザ少年は、ある日決行する。その勇気と自信に満ち溢れた少年の無鉄砲さに、羨望すら感じてしまう。もっとも、親となった今では、そんな頼もしい高校生を育てるに至った家庭環境の方に興味を引かれるのだが。
 準備段階から蓄えたであろう知識・教養は大人顔負けである。そしてその瑞々しい表現力や旅を終えての考察には敬服してしまう。景勝地で感動し、トラブルを乗り越え、様々な人に出会い、オリザ少年が成長していく様子がありありと伝わってくる旅行記だ。これから旅をしようという大人たちにとっても、格好の旅の指南書であり「地球の歩き方」である。
 16歳という、知力・体力が充実し、もっとも感受性豊かなこの時期に得る体験は、どんなものであれ、その後の人生に大いに意味あるものに違いない。現在は、大阪大学コミュニケーションデザインセンターで教鞭をとりながら、ロボット演劇など新たな挑戦をされている。
「かわいい子には旅をさせよ」である。

古武道からの発想

2012-12-11 | レビュー
古武道からの発想   甲野善紀 1998年

動画などで見ると、まるでミラクルな身のこなしの甲野先生。
その秘密は・・・

いわゆる「道」のつく日本独自の武道、柔道・剣道・相撲のどれもが、力任せの西洋式スポーツになり下がり、「術」の伝統が途切れつつあるという。柔道はもはや柔道ではなく、judoである、といわれる所以である。
 
 甲野氏によれば、現代人と古人は体の動きの質が違う、ということである。

「井桁術理」「丹田の自覚」というのがポイントだ。

 関節を支点としたワイパー運動は体に負担をかける「うねり」を使った運動。逆に、体を割って、割ったそれぞれが丹田を中心に総和的に働くことで、負担と無駄のない動きができる。例えば左右交互に手を振る歩き方は、実は体を捻ることで、バランスを崩している。江戸の人間はむしろ、右手と右足が同時に前に出る「ナンバ歩き」であった。この重心をとらえた立ち方こそが素早く次の動作に移ることを可能にする。

 「遊び」から出た西欧のスポーツと、日本古来の武道とは、成り立ちからして根本的に異なる。攻めて、拓いていくためには、強靭な筋肉や圧倒的な力が必要だが、護りまたは継続するには、疲労しない効率的な動きの術が有効なのである。




トルコ料理 TAXIM

2012-12-08 | グルメ
メルハバ!(トルコ語でこんにちは)

ほの暗い個室に入ると、絨毯や水たばこ・美しい照明で、気分はすっかり、イスタンブールです。







窯焼きのパンが絶品です。カウンターごしに、パン生地をのばす職人の技にみとれます。



ケバブランチは、750円 羊肉と独特な香りが食欲をそそります。

のび~るトルコアイス ドンドゥルマ


食パン

2012-12-06 | グルメ
イギリス食パン



~材料~
強力粉 370g
ドライイースト 7g
塩 小さじ1
砂糖 20g
水 260g~270g
バター 20g

~手順~
1.強力粉・ドライイースト・塩・砂糖を混ぜ、水を加えてこねる
2・バターを入れてさらにこねる
3・発酵 40~50分
4・ガス抜きして 二次発酵 20~30分
5・3分割して丸め、ベンチタイム 20分
6・成形して食パン型に入れる
7・ふきん・ラップをかけて最終発酵 40~50分
8・霧吹きしてオーブンへ 180度 30分

パウンドケーキ型で焼いたので、スライスすると、食パンマンの形になってしまった・・・

バターロール

2012-12-02 | グルメ
本日のパン

バターロール(約18個分)



市販のロールパンと比べると、バターの風味がリッチな、しっかりした食感です。クリームチーズ&はちみつをサンドしていただきました。

~材料~

強力粉 450g
砂糖 45g
塩 小さじ1
ドライイースト 9g
スキムミルク 大さじ2
卵 1個
水 230~250g
バター 75g

つや出し用
 卵 1/2個
 水 大さじ1/2

~手順~

1.強力粉・砂糖・塩・ドライイースト・スキムミルクを混ぜる
2.1に卵水を加えこねる
3.バターを加えこねる
4.発酵50から60分
5.分割・丸め、ベンチタイム10~15分
6・成形
7.霧吹きして発酵50分
8.つや出し用卵を塗りオーブンへ
  170度 13分から15分

永保寺の紅葉

2012-12-02 | お出かけ
県道15号線を中央線に沿って多治見に向かう。定光寺駅を過ぎ、うらぶれたラブホテルと産廃処理場の看板を脇目に渓谷にさしかかると、そこは人里離れた侘びしい一本道である。かの夢窓国師が食人鬼に出会ったのは、もしやこのあたりでは、と勘繰ってしまう。



虎渓山 永保寺。
落ち着いた境内で、心洗われる晩秋です。右上のフォトアルバムも是非どうぞ。



天龍寺・西芳寺(苔寺)の作庭を手掛けた高僧と言えばピンとくる方も多いのでは。ここ永保寺は、それらの名庭園に先駆けて、1313年、夢窓国師によって開創された禅寺である。
そのようなスーパーなお坊様がなぜに多治見などに?鎌倉から南北朝に向かう動乱期、足利尊氏同様、彼もまた、京に向かう旅人であったのだろう。
上記の食人鬼の話は、うそかまことか、小泉八雲「怪談」によるものである。

池泉舟遊・回遊式といわれる浄土教的庭園である。



観音堂傍らの「梵音巌」、これにかかる水瀑を「梵音の滝」
「臥竜池」に反り橋の「無際橋」がかかる。

開山堂と観音堂(水月場)は国宝。桧皮葺屋根の「そり」が鎌倉後期唐様の特徴で、何とも勇ましい。






まぶしいほど色づいた銀杏の老木