この本を読みながら、山口母子殺害事件の本村さんのことが頭をよぎりました。私も常々、少年法や裁判制度については、改訂すべきだと思っているので、この「さまよう刃」を読みながら、反応しちゃう部分が一杯ありました。
分厚い本で文字が一杯だったので、最初は「無理かも・・・」と思ったのですが、最初の数ページで、辞められなくなりました。さすがわ東野さん、ものすごい吸引力で引きずり込ませますね。
大切な人を酷い状態で殺された被害者側の人間が、少年法である意味保護されている犯人を発見出来た時、そのまま警察に通報しつき出しても、軽い罪でたいした制裁も受けずに数年で犯人は出所する、それならば自分の手で殺してやる、って思う気持ちは良く解る・・・だから、主人公のこのお父さん「長峰」には同情しながら、捕まるな~!と願いながら読み進めてしまいました。ペンションの女性「和佳子」の取った行動も、良かったし、いや~~ほんと、ぐいぐい引き込まれて、一気読みせずにはおれませんでした。
★以下ネタバレです★白文字で書いています
和佳子のお父さんが、まさかまさか、あのペンションの前で待ちかまえているとは!これがビックリでした。そして、このお父さんの取った行動と、娘へ言った言葉も良かったなぁ~。この作品のラストは、スッキリと気分は晴れなかったものの、そこで読者に考えさせることが東野さんの狙うところだったんだろうなあ・・・。私の推理?では、鮎村がカイジを殺すんじゃないか?と思っていました
私は、ずっと、長峰にカイジを捕まえさせてあげて復讐を果たして欲しいと願って読んでいたのだけれど、和佳子が長峰に自首を薦めるシーン(328page)で、そうかもしれない、と考えをちょっと変えたんです。和佳子が言ったのは「長峰さんは法廷で、少年法を含めて、世の中のあり方について問い質せるんじゃないでしょうか?堂々と自首した長峰さんの言葉なら、世間の人間だって、きっと耳を傾けます」「世間は長峰さんの身方です。長峰さんの叫びに心を動かされます。その方が、お嬢さんも喜ぶと思いませんか」 確かにそうだな・・って。
でも、やっぱり和佳子の言葉を理解してもなお、カイジの情報をもらった長峰さんが取った行動は、殺しに行きましたよね。そして、警官が長峰さんを撃ち殺してしまったのは、やりきれなかったな・・・。 でも長峰さんがカイジをも殺して、結果的に2人も殺しちゃったら死刑になるかもしれないし・・・そういう風になっちゃう長峰さんは見ていられないし・・・。しょうがなかったのかな・・・。以上
この作品は、東野さんの「手紙」と共通する小説ですね。「手紙」も映画版も小説もボロ泣きしてしまった程、私のお気に入りの作品なのです。「手紙」と違うのは、今回は警察官の心情についても詳しく描かれてありましたね。
⇒「手紙」映画と小説、両方で号泣(T_T)
こういう今の世の中への問題提起、社会に対して言いたい事を小説という媒体を使って表現するような小説って、大好きです。
比べてしまうのは申し訳ないけれど、先日呼んだ「悪人」よりも、断然私はこちらの「さまよう刃」がガツンと来ました。(単に好みの問題だと思います!) 4つ☆半~5つ★。
この「さまよう刃」も映像化するのに、とても向いている作品だと思います。是非ドラマ化(映画でもいいけど)したのを見てみたい作品だし、世間の多い人達に見てもらいたいし、こういう作品がきっかけになって、少しでも多くの人達がこういう事を考え、結果的に、少年法や刑法をもっと厳しいものに変わるのを望みます。(私的には、無期懲役と死刑の間の刑として、終身刑(死刑にはならないものの、一生刑務所暮らし)というのを入れて欲しいです)
主役の長峰は誰が良いかな?佐藤浩市、警官は岸部一徳さん辺りになりそうかな?(^^;)
出版社 / 著者からの内容紹介
蹂躙され殺された娘の復讐のため、父は犯人の一人を殺害し逃亡する。「遺族による復讐殺人」としてマスコミも大きく取り上げる。遺族に裁く権利はあるのか? 社会、マスコミそして警察まで巻き込んだ人々の心を揺さぶる復讐行の結末は!?
東野圭吾が「被害者の復讐」と「少年の凶悪犯罪」をモチーフに、’03年9月から1年間にわたって「週刊朝日」に連載された作品の単行本化。
東野圭吾
「ダイイングアイ」「夜明けの街で」感想
「たぶん最後のご挨拶」「あの頃ぼくらはアホでした」 「容疑者Xの献身」東野 圭吾 感想
「手紙」東野 圭吾 読む価値の高い、お薦めの作品
「白夜行」小説・ドラマ比較と、「幻夜」感想
白夜行 東野 圭吾 小説読んだ感想
暑くて死んでます・・・。みどりさんは、いかがでしょうか・・。
読まれましたかー!!良かっただなんて、本当に嬉しいです!!合わないってことだって、有ると思うので・・。そうそう、この本の中には、最近の事件や問題なども織り込まれていて、小説だけど、リアルというか、凄く考えさせられる内容になっているところが良いですよね☆
ネタバレのところ、同意見なんて、またまた嬉しいです! 私はその女性に説得される前は、やっちまえ~!復讐させてあげたい!と、そっち方面にばかり意識が行ってたのですが、彼の言う事なら世間は聞く耳を持つだろう、世の中を少し動かせるだろう(文章大幅に違うけど、そんな風な事)という彼女の言葉には、ガツンと頭を殴られた様な気持ちになりました。
夜明けの街では、面白かったには面白かったのですが、不倫部分は凄いリアルだったものの、犯罪部分は、なんだかあまり腑に落ちない感じがあって・・・。それと、ちょっと妻側の目線で読んで、コイツ~って(この小説の旦那さんへ)意地悪な気持ちになってしまったのもあったかな^^
八日目の蝉、是非ぜひ、読んで見て下さい。また、みどりさんと、ざっくばらんに感想などお話出来るのを、楽しみにしていますよ~(^O^)
PS 私ってば、先日まで「八日目の蝉」を八月の蝉って、勝手に頭でシフトしちゃってたみたいで、あちこちで多分間違えて言いまくっていた気がするんです・・・。もし以前間違っていたら、スイマセンでした(^^;)
今、本屋さんにも沢山並べられています。どんだけ売れるんでしょうー??
実は夜明けの街で、も以前読みまして、私はすごくよかったのですが、lafitaさんにはいまひとつだったようで・・・
とにかく長編の組み立て、ミステリー性、多角的なものの見方、ほんとによく考えてますよね。だから途中で飽きることができない。
このさまよう刃のような例が、最近のニュースの中になんて多いこと!そしてニュースを見るだけではわからなかった遺族の心情(これはわかるなんて言えない、窺い知るとだけ言います)、泣き寝入りしているであろう多くの性被害者の苦しみが、これでもかと胸に訴えてきて、あまりのダークさに苦しくなりました。私たちもメディアに踊らされている部分、多いですよね。写真週刊誌も、威力大です。
lafitaさんの、ネタバレのとこ、同意見です。和佳子を信じて自首してほしかった。しかも憎き犯人に傷も負わせず死んだのでは悔やみきれない・・でも例え自首したとしても一生苦しむならあそこで死んだほうがよかったのか・・・すいません、書いてるうちに答えが出なくなってしまいました。
今は角田さんの八日目の蝉を早く読みたいです。またお邪魔させてください。
真紅さまは、死刑制度について懐疑的だったのね?
私は死刑はやむを得ないな・・って思っている処があるんだけれど(でも難しいよね・・・)
死刑にしなくても、一生刑務所から出られない刑(終身刑)を日本に取り入れてもらえればなあ・・って思っているの。
おお~ウーロン茶スタンプ、真紅さまもお持ちなのね~?私、未だに一度も目にしてないんですよ~!
こちらの「すごく引き込まれました」というタイトルで、私も読んでみよう!と思ったんですよ~。
運よくすぐ順番が回って来たのですが、私の後も切れ目なく予約待ちが・・。
ご紹介ありがとうございました。
東野さんってホント、人気作家さんですね。
『手紙』は加害者家族、こちらは被害者家族という、対のような作品ですね。
どちらも物凄い苦しみ・・・。生き地獄、みたいな。。
私は死刑制度について懐疑的だったんですが、ちょっと考えが変わってしまいそうでした。
で、横レスですが↑ミチさんが書いておられるウーロン茶スタンプ、「ありがとう」をゲットしてます♪
ものすごくかわいいよ~。集めようかな。
ではでは、また来ますね。
>基本的に多作の作家さんってあまり信用していないというか(暴言ゴメンなさい)
ぐふふ 私もそういう処あります^^
東野さんの作品の数たるや、凄いですよね・・・。
「手紙」は、個人的に私は凄く好きなんです。
この「さまよう刃」よりも好きだし、涙が・・・。
ただ、映画化されちゃってから読むとなると、その配役の人のイメージが頭に入って来てしまいませんか?
主役の人、ミチさん、、、ね・・・?
万城目さんの「万歩計」、もう回って来たんですね?早い~。ミチさんの感想、楽しみにしています
>サントリーの烏龍茶についているオマケ(パンダのスタンプ)
くふふ 集めてなかったのですが、1コか2コ持っていたはず(旦那か娘が持ってたはず・・)ただ、それってだいぶ前じゃなかったでしたっけか? 新しくまた配布し始めたのかな?
あのパンダのシールのシートを持ってるんです。面白いのでたまに使ってマス
↑
と、一端書いた後、ん?あれって・・・と、検索してみたら、勘違いしてました~~!
私が上で言ってたのは「生茶」のパンダのことでしたすいません・・。
ミチさんのおっしゃっていたパンダのスタンプは、なんと!見たことがありませんでしたー!!
基本的に多作の作家さんってあまり信用していないというか(暴言ゴメンなさい)、全てを追いかけるのは大変なので距離を置いているのですが、これはlatifaさんが絶賛していらっしゃるのをチラッとこちらで拝見したのですぐに図書館に予約しました。
いつも思うのですが東野さんの小説はどんなに長編でもあっという間に読ませる力がありますよね。
もう感服してしまいます。
私は相変わらず「手紙」は未読なんですけど、この小説と似たような感じなのかな?
ついつい長峰の行動を応援してしまいましたが、実際は和佳子の案が一番良かったと思います。
そう上手くは運ばなかったことが残念でしたが・・・。
万城目さんの「万歩計」の順番が来ました!
読むのが楽しみです~♪
あとね、もしかしてlatifaさんがアップしていらっしゃるかな~と思ったのだけど、サントリーの烏龍茶についているオマケ(パンダのスタンプ)は集めていらっしゃらないの??
私は先日から探しているんだけど全然見つからないの。
もう終わっちゃったのかなぁ(泣)
先週、うちの両親がしばらく札幌に滞在してましたが、お天気ばかりだったそうです(こっちは雨ばかりでした)
hitoさんも東野さんお好きなのですね~
私は中でも、白夜行と、手紙がお気に入りです☆
そうそう、このさまよう刃は、警官達の心理描写が書かれているところがミソでしたよね。最後の方のオチというかも、さすがに東野さん、あっ・・と思わせてくれる部分がありましたし。
あまりにも辛い事件ですごくすごく読んでいて辛く苦しかったです。
「手紙」は私も号泣しましたが、こちらは読み終わってホッとしてしまって~。
警官たちの葛藤が手にとるように共感できました。
勝手に配役ごっこ、大好きです!またやりましょう~~
そういえば、小林薫といえば、去年の春、「東京タワー」の舞台挨拶で生で見たんですよ(^_^)/
オダギリジョーとかキキキリンさんとかいた中(←もちろんこの方々のオーラも凄かったっす)、私の中で最も、実物度?の好感度が高かったのが、小林薫サンでした
手紙、面白く読めると良いのですが・・・、つまんなかったらゴメンなさい!!つまらんかった・・ダメだった・・って人も結構いることをお忘れ無く
私も「勝手に配役ごっこ」大好きなのですが…さすがに、それで賞を取るところまで考えたことはありませんでした。でも、なかなか、楽しい妄想ですね。是非、小林薫の代表作に!
latifaさんのお墨付きということで、次は、「手紙」を読んでみようと思います。
それでは、また!
わ~~い!!おりおんさんに、そう言って頂けて、すっごく嬉しいです
解りますよ・・・東野さんの作品って、映像化されるのも多いし、そのせいもあって、なんとなく軽いイメージがありますもんね。
私は「白夜行」と「手紙」と、この作品の3つはとても面白く読みました。他は・・・・
ところで!小林薫に私も一票!
すごく合ってる!佐藤浩市よりも、小林薫の方が、パソコンで夜なべして写真合成してる姿がアリアリと浮かぶわ~。それに、小林薫の方が、みるからに善人オーラが出てるところも良いかも。佐藤浩市だと、悪のオーラも秘めてるから、アイツならやりかねない・・・って感じがしちゃうから、絶対悪事をしない様に見える小林薫が、ああいう事しちゃうってのがグッドだわ~(と、すっかり映画化のキャスティングの気分)
いや~それにしても、小林薫が人を殺しちゃうシーンは想像が出来ないだけに、迫力がありそう。もしかしたら、この演技で、なんとか賞を取るかもしれないな。(そこまで話題になる映画になるか解らないけど・・)
重いけれど、良い、作品でした。今まで、東野圭吾って、あんまり、好きになれないでいたのですが…この作品で、一挙に、印象変わりました。
ハッピーエンドではないのに、なぜか、救いのある結末ですね。latifaさんのお陰で良い作品にめぐり合えました。感謝です。
私のイメージでは…長峰は小林薫です。見た目はちょっと枯れているのに、内なる強さがあるようなところが合っているかなぁと。
それでは、また!
わ~~い!!!
おりおんさんの感想、面白くなかったとしても、是非アップして下さい~。楽しみに待っていまーす
今日、会社の近くの本屋で「さまよう刃」買ってきました。週末読みます!
わ~~~~い!honeyさん、これ読まれる予定だなんて、すっごく嬉しいな~。
おつき合いのあるブロガーさんで、これお読みになられている方が、今の処誰もいらっしゃらないのですよ・・・。
そういえば、私が東野さんの「手紙」を見る・読む、に至ったのって、honeyさんの影響からだったのですよ~。手紙とセットにして読むとオツな作品かもです
で、やだ~~!佐藤皓市はさておき(爆)、一徳さんは違うかも。勝手に映画化されるなら、一徳さんあたりが出て来そう^^なんて思っただけなの~
これからじっくり読もうと思いますっ
佐藤浩市と岸部一徳をイメージして読んでみよう(笑)