本の最初で語られる「子供の頃、爪とカサブタを、こっそりとコレクションしていた」という部分から、ぐわっとこの小説読みたい!という気にさせられました。
小川さんが個人的に好きな短編を16個選び、最後にそれぞれ、小川さんによる、あとがき解説みたいのがついています。そのたった2頁だけのあとがきもまた面白いんです。いかにも小川さんらしいや~って思いました。
「件」(くだん)内田百聞
体が牛で頭だけ人間の件が、人間達をどこか冷めた目や恐怖感を持って眺めているのがシュールで面白い。
あとがきで「洋菓子」の中に「洋子」が入っているという話をした男性がいて・・というのに、うわ~!!と感動。この男性って凄い素敵な予感♪
「押絵と旅する男」江戸川乱歩
押絵の中の女性を好きになってしまった男は・・・。
これも面白かったです。こういうあり得ないけど変な話は好き。
あとがきで、「トーマス」について語られてるのが可笑しかった。私も以前から常々、あれは可愛いというより奇妙過ぎて怖いのでは?と思っていたのでw
「こおろぎ嬢」尾崎翠
特に何も思わず。
「兎」金井美恵子
こ、これは・・・!!もう絶句です。グロ過ぎますが凄いインパクト・・・・
「風媒結婚」牧野信一
ある男は望遠鏡製作所に勤め、展望室で仕事をしているが、実の好きな女性A子の部屋を覗くのが日課だ。どうやらA子ではなくA子のいた部屋に惹かれていたらしい。
「過酸化マンガン水の夢」谷崎潤一郎
「花ある写真」田端康成
「春は馬車に乗って」横光利一
「二人の天使」森茉莉
「薮塚ヘビセンター」武田百合子
藪塚ヘビセンターで蛇観察。
蛇とか、へんな生き物って気持ち悪いんだけど観察してみたくなる・・・
「彼の父は私の父の父」島尾伸三
エキセントリックな母と父の不仲?の元で育った子供の様子が、なんだか可哀想に感じました・・・。
「耳」向田邦子
耳のイボに赤い絹糸を巻いていた少女、ビクターというあだ名のついた弟・・・
なんだかもの哀しさがたまらんお話でした・・。映像としてぽっかり浮かび上がる感じです。
「みのむし」三浦哲郎
東北の貧しい農家の家族のお話・・・
みのむし、、って、、、これは、個人的に苦手です・・・。
「力道山の弟」宮本輝
「力道粉末」の袋、それを売る力道山の弟という怪しげな男
「雪の降るまで」田辺聖子
46歳独身の以和子は地味な外見とはうらはらに、実はなかなか凄い女性。
色っぽいお話です☆ 以和子やるぅ~!と思いました。
「お供え」吉田知子
なんだかシュールなお話でした。以前読んだ岸本佐知子さんの「気になる部分」で岸本さんが吉田さんの作品が好きと書かれていたそうです(記憶がもう・・・)
全部が面白かったって訳じゃなかったのですが、今まで読む機会の全く無かった作家さんの色々な作品を読めて有意義だったかな?
この中では、一番インパクトあったのが「兎」。好きではないけど、ずっと何年後も覚えてると思います・・・。
猫を抱いて象と泳ぐ
「偶然の祝福」「博士の本棚」感想
妊娠カレンダー、貴婦人Aの蘇生、寡黙な死骸 みだらな弔い
薬指の標本 5つ☆ +ブラフマンの埋葬
「おとぎ話の忘れ物」と、「凍りついた香り」、「海」
「ミーナの行進」「完璧な病室・冷めない紅茶」感想
latifaさんがハートマークつけてるのは私もどれも好きです。
「みのむし」はタイトルを見たらあれを思い出しそうです。
ハートマーク、ななさんもお好きな作品とのこと、嬉しいです~
みのむしは、ちょっとなあ・・・。
時代背景も色々な時代のがあって、物語の雰囲気も、かたよることなく色々なのが集められていましたね