凄く分厚い本。
時系列も物語も、バラバラ細切れになっているので、読みにくいですね・・。
中盤以降に、それがつながって、ああ、これがこうなるのか・・・と解るんですが・・・。
恒川さんらしい、相手が殺意を持ってるかどうかが解る力とか、安楽死させてしまう手をもつ少女とか、不思議な金色様とか、そういうのは好きなんだけど、いかんせん、あえてバラバラにした文体が、この私の頭では、楽しむ事よりも、読むのに苦労させられる度合いが強くて、疲れました。
時代が行ったり来たり、登場人物(名前が変わることも多々有り)を、難なく読めれば、最後の方で、パズルがはまった感じで、うわーそうなのね?って楽しめると思います。
私は恒川作品だと、つい最近読んだ「無貌の神」の方が、文章もネタもより一層好きです。
この作品での金色様とその時の金色様がお守りする人物の関係が、「カイムルとラートリー」を、ちょっとイメージさせられる処もあったかな。
以下、ネタバレです!
ここで、登場人物のキャラ説明をしてしまうと、それが結局ネタバレになってしまうので、注意です!
・金色様 謎の存在。無敵に強い。宇宙から来たロボットなのかな?C3-POみたいなやつ。神の様にあがめられたり、恐れられたりする。
その時々で、お仕えする人がいて、とても忠実に守ってくれる。
・熊悟朗。鬼御殿のボス 自分に対して、殺意を持っているか(黒い煙みたいのがもわーっと出る)、嘘を言ってるかどうか(火花が散る)が、子供の頃から解る才能を持っている。
・遥香 手で名で触ると、安楽死してしまう不思議な力を持っている。
・紅葉 遥香の母親 幼い頃に熊悟朗と一緒に鬼御殿で、下働きをしてきていた。ある雪の日、逃げ出して、村に逃げ込み、美雪という名前になり、善彦と結婚し、真子(遥香)という子供を産む。善彦は、遥香みたいな、魔法の手の力を持っていたようだ。
・柴本厳信(若い頃 コジュウ) 現在は人格者で縄使いの天才だが、少年の頃、友人に誘われるがままに罪もないカワタロウに刃物を向けたことがある。 その時に刃物を落として行き、その後遥香の手に渡る。仇討ちを狙われていることも薄々気がつきつつも、遥香と共にいる。
他にも登場人物色々出てきますが、メインどころをあげておきました。
第4章だけは、時代が結構さかのぼり、金色様が燕と言われていたころの幽禅家と娘のちよのお話です。
金色機械 恒川光太郎 2013/10/9
江戸ファンタジー小説
謎の存在「金色様」を巡って起こる不思議な禍事の連鎖。人間の善悪を問うネオ江戸ファンタジー。第67回日本推理作家協会賞受賞作。
恒川光太郎
「金色機械」
「無貌の神」
「スタープレイヤー」
私はフーイー
「金色の獣、彼方に向かう」
南の子供が夜いくところ
恒川光太郎「夜行の冬」
草祭
「秋の牢獄」「夜市」
久しぶりに恒川作品を読まれて、面白かったようで良かったです!
私も少し前の作品は、あまり自分の好みじゃないな・・・と思っていましたが、本作とか無貌の神は、昔からの恒川さんらしいお話で面白く読ませてもらいました。
最後まで読んで、また最初からゆっくり再読すると、違った味わいを感じられるお話ですよね
面白かったです。
時間の使い方は賛否あるかもしれませんが、
僕はそれがこの作品を、
より趣深いものにしていると感じました。
お勧めの「無貌の神」
要チェックですねえ~ (^^♪
>〈機械に魂はあるのか?〉というようなテーマの作品が結構好き
私もです!!
金色様は、忠実な誰かを守るために戦う系のロボット?でしたよね。
最後は、ああなっちゃうのか・・・と、想像は、うっすら、ついてはいたのですが・・・。
私は登場人物の中では、熊悟朗に興味があったので、彼をもっと掘り下げて読みたかったかなあー
遥香は、あんまり好きなキャラってわけでは無かったかもなあ・・。
恒川作品で金色のロボット?にビックリしてたら、いつの間にか惹き込まれました。
確かに、場面や時代がいったりきたりで、混乱しやすかったかもしれませんね・・・。
私は〈機械に魂はあるのか?〉というようなテーマの作品が結構好きなのですが、まさに金色様にもいろいろ考えさせられました。
切なくて、哀しかったけれど、最後に救いがあったように思えて、ちょっと安心しました。