「夜市」
ホラー小説というわりには、ファンタジーっぽくて、和風というか古風な味わいがあり、どこか懐かしさを感じる小説でした。オチというか、おおっ!そう来たか!という展開も良かったし、短いのに読み応えがあった本でした。
☆ネタバレです 白文字で書いています☆
まさか捜していた弟が、中年の男性になっていたとは! 弟が「若さ」を老婆に代わりに渡していたのね・・・。以上
「風の古道」
こちらも、異界に通じる道に入ってしまった少年と、その友だちのお話。
夜市と、このお話の雰囲気は共通していています。面白かったです。
入るのはやさしくても、そこから帰る(出る)のは、とても難しい・・・。
「千と千尋の神隠し」のような世界ですね。熊野古道とか(行ったことないけど)、伊豆の山奥とか、あっちの世界にふと紛れ込むことが出来そうな場所に旅行に行く時、この本を持って行って、温泉上がりに読んだら凄く合いそうな本!読みやすいし、過激な描写も少ないし、難しい表現とかもないので、中学生とかも読めますね。3つ☆半~4つ☆
内容(「BOOK」データベースより)大学生のいずみは、高校時代の同級生・裕司から「夜市にいかないか」と誘われた。裕司に連れられて出かけた岬の森では、妖怪たちがさまざまな品物を売る、この世ならぬ不思議な市場が開かれていた。夜市では望むものが何でも手に入る。小学生のころに夜市に迷い込んだ裕司は、自分の幼い弟と引き換えに「野球の才能」を買ったのだという。野球部のヒーローとして成長し、甲子園にも出場した裕司だが、弟を売ったことにずっと罪悪感を抱いていた。そして今夜、弟を買い戻すために夜市を訪れたというのだが―。第12回日本ホラー小説大賞受賞作。
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「秋の牢獄」
面白かったです。4つ☆3つのお話の中、タイトル作と「神家没落」が良かったです。
「秋の牢獄」は、悲惨な状況になりながらも、同じ仲間と噴水の前で会ったり、旅行に行ったり・・・と、妙に現実的なような、ふわふわした感じの小説でした。虫歯が痛い日じゃなくて良かった・・ってのにはイタく反応^^。あと、大学の友だちには実は彼氏がいて、それを隠してた・・って事にショックを受けるって部分が妙にリアルに感じました^^
とっても面白い展開の話だったんだけれど、終わり方が妙にあっさりしてたかな?
個人的に、このお話に出て来る「北風伯爵」ってのが、ものすごいツボでした。
十一月七日、水曜日。女子大生の藍(あい)は、秋のその一日を、何度も繰り返している。毎日同じ講義、毎日同じ会話をする友人。朝になれば全てがリセットされ、再び十一月七日が始まる。(←amazonより)
「神家没落」
移動する古い家に、偶然入れられちゃった男の話。そこから抜け出すには自分の身代わりをこの家に入れなくちゃいけない。こういう、この状況から自分は逃げられるとしても、その代わりに誰かを・・って設定は「夜市」にも共通して、妙に怖いよぉ~!!途中で、男が人が入りやすい様にと「喫茶店」風の看板を出した部分が、やたらと可笑しくて爆笑しちゃいました。メニューが少なくて、また笑える。
マンゴー芋っていうのが、すごくソソられる!!!その実が、なっている様を想像すると
「幻は夜に成長する」
このお話だけは、途中は面白かったのだけれど、最初と最後の状況というかが、あんまり好きじゃなかった・・。
女はかつてリオという少女だった。リオは偉大なおばあちゃんと一緒にいた・・。
ホクロがフジツボに・・ってのが、ギャ~~!
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なんとなくなんですが、この2つの小説を読んだら、恒川光太郎さんがフリーターとかしていた時期も長かったというのを知って、その最中にふと頭に浮かんだ事が元になってたりして・・なんて思ったんです。働かずに、最低限に質素な暮らしで、家にず~っと暮らせるってのは・・・?なんてことを突き詰めて考えたら、ふとアイディアが浮かんだのかな?って・・・夜市に出てくる青年とか、「神家没落」の男とか。
恒川光太郎さんの本は、この2冊しか読んだことがありませんが、なかなか気に入りました。独特の雰囲気があって面白いですね
恒川さんの長編『雷の季節の終わりに』もおススメです♪(ファンの贔屓目かも知れませんが(^_^;)
機会があれば、ぜひ。
この怖いけど惹かれる感じ、小さい頃道に迷って全然知らないところに出てしまった時の恐怖とか、
そのあたりの懐かしい記憶と通じるところがあるような気がします。
異界に迷い込むのは怖いけれど、帰ってこれるものな踏み込んでみたいかも・・。
「雷の季節の終わりに」は私も好きです。
「北風伯爵」がツボということなので、たぶん気に入られるかと。
「夜市」の白文字部分の展開が予想外で、一気に引き込まれました。
そこで全作品読みましたが、どれも独特の世界が素敵です。
ちょっとドロドロもある
「雷の季節の終わりに」ですが、どうぞお楽しみに。
夜市は、金魚の表紙がとってもしっくり来るな~と思いました。
>恒川さんの長編『雷の季節の終わりに』
是非ぜひ、読んでみます
さっそく図書館にリクエストしてみます。
そのあたりの懐かしい記憶と通じるところが
そうそう。子供の頃、そういうのありましたよね。恒川さんは実際にそういう不思議体験があるとか。
有り得ないファンタジーよりも、一歩間違えば、誰でもが異界に迷い込んでしまいそうな、この恒川さんのお話は、とても身近な感じで、好きでした。
>「雷の季節の終わりに」は私も好きです。
「北風伯爵」がツボということなので、たぶん気に入られるかと。
おお~juneさんも、お薦めですね?^^ ますます読んでみなくては。
北風伯爵みたいな不思議なキャラが出て来るのかな?楽しみです
やっぱり藍色さんも、そうでしたか
面白かったので、娘にも読んでみて~と、無理矢理読ませたら、やっぱりそこの部分が意外だった~と言っていました。
旦那には、「秋の牢獄」をお薦めしました。面白かったけど、あれってどうなったの?ってうるさく何度も聞いてきて(私に聞いても、、わらかんです)
藍色さんは恒川作品全部読破されているのですね~!「雷の季節の終わりに」、さっそく読んでみます
「草祭」以外は全部図書館の本棚にあったし、それを読んでるうちに「草祭」もすぐに順番が回ってきたの。
ラッキー!
ホラー大賞って恐そうだな~と思ったら、そうでもなくて助かった。
こういう不思議な世界のお話好きだな~。
宮崎駿の匂いもするよね。
お話の完成度はデビュー作が一番かなとも思うのだけど、これからもどんどん独自のワールドを極めていってほしいです。
「神家没落」の喫茶店には笑ったね~。
たしかに入りやすい。
でもすぐに妙な感じに気づかれちゃうと思う。
家にひとりぼっち(テレビなし、パソコンなし)はイヤだな~~
おわっ ミチさん、すごい・・・そんな4連ちゃんで、恒川作品を読んでいたなんて~~~!
出版順に読んだなんて良いな~。私はごちゃごちゃに読んじゃったからな・・・。出来たら出版順に読みたかった。
やっぱりミチさんも、夜市が一番(完成度って書いているけども・・)ですか?
私は、4つの中で、やっぱり夜市が一番好き。最初に読んだから、インパクトが強かったせいもあるかもしれないけれど・・・
それと、そうですよね~。千と千尋~みたいな雰囲気が少しありますよね。こういうの好きだな。
「神家没落」、面白かったわ~。家にひとりぼっちで、TV、PCもなかったら、私はノイローゼになってしまうかも・・。
「千と千尋の神隠し」かぁ。
なるほど\(^o^)/
そういえば,あのお話も古いトンネルを通ったら…ってお話でしたね~♪
私は小さい頃から方向音痴で,
なぜか,いつも通っていた道でも迷子になっちゃったりして。。。。
なんかちょっと,そっちの記憶とシンクロしました(^^;)
恒川さんのお話は、すぐ側にありそうな別の世界・・って感じで、すごく面白いですよね。
エログロ描写もほとんど無いので、子供さんと一緒に読めるし!!
私も方向音痴ですよ~。今もなおっていません・・・日本だから、なんとかなってますが、言葉の通じない国に旅行とかしたら、ホントにやばそうです。