「かもめ食堂」の荻上直子監督の初の短編小説集。映画「トイレット」の原案だそうです。
ちなみに、トイレットは未見で、それ以外の荻上監督の作品(めがね、かもめ食堂、恋は575、バーバー吉野、星ノくん・夢ノくん)は全部見て来ています かもめ食堂は大好きなんだけれど、それ以外の作品は普通に面白く見たという程度なので、特に荻上さんのファン!という訳ではありません。
さて「モリオ」を読んだ感想ですが、
ミシンのあの規則的なカタカタ音が凄い好きで、あの狭い足踏みミシンの狭い空間に入って過ごした、生地の切れ端を溜めていた、という処が、こ、これは40年前の私ではないかっ!!というものすごい衝撃が・・・。
すっかりこれらの事を忘れていたのです。この本を読んで、頭の中で40年間封印していたホコリだらけの箱がぱかっと開いた感じ・・・。
それだけに、そこの部分には異常な共感が・・・。
本作で、荻上さんの書く文章は初めて読んだのですが、上記に書いた強烈にものすごい共感しちゃう処と、なんとなく違和感を感じてしまう処とが混在してるんですよ・・。
割合でいうと、6割がものすごく大好きでツボにハマるんだけど、1割くらいが、あれっ・・・何か違う、何か好きじゃない・・って処があるんです。あとの3割は解らない・・・。暫く経って考えてみないと・・・って感じで。
すいません、抽象的で。トータル4つ☆
その1割の部分はどこかっていうと、例えばモリオのお姉さんが子供の頃意地悪でモリオをぶってばかりいたこととか、エウとシャチョウで、結婚式で意地悪な看護婦に悪口を言われたくなくて・・という処とか・・かな。
全てふんわり温かい内容でまとめて欲しいと思っているわけじゃないんだけれど、何故かそこら辺の悪意じみた処が、あまりにも浮き立って感じてしまうんです。
この本は、「モリオ」と「エウとシャチョウ」の2つのお話が入っているのですが、両方に「ひだり布地屋」という店と、そこの店主の女性と猫が登場します。
ハッとしたのは、本屋と生地屋は、長い間お店で考えていても、絶対に店員さんが声をかけてこないというところ。そういわれればそうなんだな。両方私が大好きな空間です。
「エウとシャチョウ」の方は、猫好きな人にオススメ。私は動物は何も飼ってないので、特に猫にも犬にも思い入れが無いけれど、本当に荻上さんは猫と心の底から通じ合った経験があるんだろうな。(なんて、飼ってなかったりして)
内容紹介 amazonより
収録作は中編2作。表題作「モリオ」と「エウとシャチョウ」。
「モリオ」――単調な会社生活を無目的に送る青年モリオは、亡くなった母が愛用していた足踏みミシンを形見として譲り受ける。ミシンを修理しながら、モリオは思い出した。ミシンの下に隠れるのが好きだったこと、ミシンを使う母が大好きだったこと、そして姉のために母が作ったワンピースを着たかったこと。ある日、モリオは自分が着たかった花柄のスカートを縫い始める。ミシンで服を縫う作業を通じて、またある少女との出会いによって、モリオは自分が生きる道を見つける。主人公モリオは、『トイレット』の登場人物モーリーと共通している。
「エウとシャチョウ」 末期癌の猫シャチョウを飼う女医ヨーコさんと同棲することになった「僕」。日々、シャチョウの面倒を見ているうちに、才能などなにもないと思っていた自分に、「猫に信頼され心を通わせる」力があることに気がつく……。コンプレックスに苛まれる男と女が、一匹の猫を看取りながら、心の拠り所を得て再生する姿を描く。「モリオ」に登場した生地屋のおばさんとその飼い猫が、こちらにも登場。その存在が二作品をつなぎ、同じ世界観を作り出している。
「星ノくん・夢ノくん」「恋は五・七・五!」感想
「かもめ食堂」感想 イラストは牧野伊三夫さん
たくさん映画見てはるんですね~。
そして実はいっぱい監督作品があるのですね。全然知らなかった。
作らはった映画を見て読むとまた違う発見がありそうな気も。
私は「かもめ食堂」しか見てませんが{/face_ase2/}
足踏みミシン、いいですよね。あの空間が落ち着くってのはわかるかも。
いやいや、たまたま「かもめ食堂」が好きだったので、他も見てみた・・ってだけなんです。
でも、未だに「かもめ」以上のは見てないです・・。
ちきちきさんのお住まいの場所で放映されているかどうか解らないのですが、パスコのCM(小林聡美の)が、かもめ食堂とか、この監督さんの映画の雰囲気なのが楽しいです。
PS 先程、ちきちきさんちの「シューマンの指」でのコメントの文章が、後半ヘンテコになっちゃってスイマセン!