リートリンの覚書

日本書紀 巻第十二 去来穂別天皇 三 ・倭直吾子籠


日本書紀 巻第十二 去来穂別天皇 三

・倭直吾子籠



この時、
倭直吾子籠(やまとのあたいあごこ)は、
素(もと)より仲皇子と好(うるはし)で、
その謀りごとを預(あらかじ)め知り、

密かに精兵、数百を
攪食栗林(かきはみのくるす)に
聚(あつ)めて、

仲皇子の為に、
太子の兵を拒(ふせ)ごうとしました。

時に太子は兵が
塞(さえ)ぎっているとは知らずに、
山を出て数里を行きましたが、

兵衆(いくさ)が多く塞いで、
進行できませんでした。

使者を遣わして問い、
「誰人(なんびと)か」
といいました。

答えて、
「倭直吾子籠だ」
といい、すぐに使者に問い返して、
「誰の使か」といいました。

「皇太子の使だ」といいました。

吾子籠は、
その軍衆(いくさ)の多く在(ましま)すに憚って、

乃ち、使者に、
「皇太子に非常のことがあったと、
伝え聞きました。
まさに助けようと兵を備えて待っていました」
といいました。

然るに、
太子はその心を疑って、
殺そうと欲(おも)いました。

則、
吾子籠は愕(おどろ)いて、
己の妹・日之姫(ひのひめ)を献じて、
死罪を赦(ゆる)すよう請いました。

乃ち、
これを免(ゆる)しました。

その倭直等が采女を貢のは、
思うにこの時に始まったのではないかと。



・栗林(くるす)
奈良県御所市北部



(感想)

この時、
倭直吾子籠は、
元より仲皇子を好いており、
その謀りごとをあらかじめ知り、

密かに数百の精兵を
攪食栗林(かきはみのくるす)に集めて、
仲皇子の為に、
太子の兵を防ごうとしました。

この時、
太子は兵が塞(さえ)ぎっているとは
知らずに、

山を出て数里を行きましたが、
軍兵が多く塞いでいて、
進行できませんでした。

使者を遣わして、問い、
「何人か?」
といいました。

答えて、
「倭直吾子籠だ」
といい、すぐに使者に問い返して、
「誰の使だ?」といいました。

「皇太子の使だ」
といいました。

吾子籠は、
その兵士が多くいることに畏れ入って、

すぐ使者に、
「皇太子に非常のことがあったと、
伝え聞きました。
まさに助けようと兵を備えて待っていました」
といいました。

しかし、
太子はその心を疑って、
殺そうと思いました。

吾子籠は驚いて、すぐに、
自分の妹・日之姫(ひのひめ)を献上して、
死罪を許してほしいと請いました。

そこで、
これを許しました。

その倭直等が采女を献上するのは、
思うにこの時に始まったのではないかと。

吾子籠

仁徳天皇の条では、

額田大中彦皇子が屯田を手に入れようと
画策した際、
その屯田は天皇が管掌するものであることを
証言したり、

御船を造ったりと、

いい仕事していたのに。

反逆を起こした仲皇子側についたのは、
残念な判断。

でも、
すぐに考えをひっくり返すとは…

大物にはなれないタイプですね。

さて、
仲皇子の反逆はどうなるのでしょうか?

明日に続きます。

読んで頂き
ありがとうございました。


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