リートリンの覚書

日本書紀 巻第六 活目入彦五十狭茅天皇 四 狭穂彦王の謀反


日本書紀 巻第六 
活目入彦五十狭茅天皇 四 

・狭穂彦王の謀反


四年秋九月二三日、

皇后の同母兄の狭穂彦王(さほひこ)は、
謀反し、社稷(しゃしょく)を危険に
さらそうとしていました。

皇后が家でくつろいでいるのところを伺い、
「汝は兄と夫。どちらの方が愛おしいか?」
と語りかけました。

皇后は質問の意図を知らずに、即座に
「兄の方が愛おしい」
と答えました。

そこで、
「色(かお)で人に仕える事は、
(かお)が衰えると寵愛も緩む。

今、天下に佳人(かおよきひと)は数多い。
各々が進みでて寵愛を求めている。

どうして色(かお)
永くたのむことができるだろうか。

だから、どうにかして、
吾が天皇の位について、
必ずやお前と天下に照臨しようではないか。

そして枕を高くして
永く百年を終えるのもよいではないか。

頼む、我のために天皇を殺せ」
といいました。

そして匕首(あいくち)を取り皇后に授けて、
「この匕首を裀(ころも)の中にかくして、
天皇が眠っているときに、
首を刺して殺せ」
といいました。

この時、
皇后は心中畏れ、
震えがわきたち、
どうしてよいのか分かりませんでした。

しかし、兄の志を見ると、
諫めることは出来そうにありませんでした。

そこで、
その匕首を受けとり、
ひとりかくすところもなく、
衣の中に入れて置きました。

遂に、
兄の情を諫めることは出来ませんでした。



・社稷(しゃしょく)
国会、朝廷


感想

皇后の同母兄の狭穂彦王は、
謀叛を企てていた。

皇后が家で寛いでいるところを見計らい、
訪れると、優しい声色で、
「俺と夫。どちらを愛している?」
と、問いた。

皇后は、即座に答えた。

「兄上」

と、
彼女は無邪気な笑顔を浮かべいた。

それは、
兄の質問の意図を知らないからだ。

それを聞くと兄は、
口角を片方を少しだけ上げた。

そして、皇后の背後に回ると…

耳元でこう囁いた。

「容貌(顔形、顔立ち)で
天皇に仕えているということは、
容貌が衰えたら、寵愛を失うことになる。」

それを聞くと
皇后から一瞬にして笑顔が消えた
兄にむけた、
その瞳は翳りがさしていた。

兄は、立ち上がると、
皇后の表情が読み取れる位置に移動し、
声を荒らげ、
「世の中、美人は沢山いる。
その者たちは、
我が寵愛を得ようと躍起になっている!」

その言葉は皇后の胸に突き刺さる。
そして、不安を掻き立てた。

そう、
今は息子も生まれ寵愛を受けている。
だが…

視線を兄上に向けた。
その瞳は動揺に震えている。

兄は、その動揺を読み取ると、
追い討ちをかけるようさらに続けた。
「その者達と対抗するためには、
容姿を保つしか無い。

…がしかし、
容貌を永く保つ事ができるか?
出来るはずがないだろう」

そう、容姿が衰え
天皇が他のものを寵愛し、
もし、その者に子どもが生まれたら…

頼みの綱の我が息子は、
言葉を話さない。

兄は、拳を握ると、
強い眼差しで皇后を見つめ、
「だから、
どうにかして、
俺が天皇の位につき
俺とお前で天下に君臨しようではないか!」

兄は皇后の両肩に手を置くと、
そうすれば、
容貌、寵愛などの衰えなど気にせず、
枕を高くして安心して寝ることができる。
そして長寿を全うするのもいいだろう。」

兄は皇后の肩を掴むと、再び耳元で、
「だから、た・の・む。天皇を殺せ」

そして匕首(あいくち)を取り出し、
皇后に手渡すと、
「この匕首を裀(ころも)の中にかくして、
天皇が眠っているときに、
首を刺して殺せ」
といった。

その声は、地の底から響くようだった。

兄はいい終えると何事もなかったように
皇后から離れた。

皇后は恐る恐る、兄の顔色を伺った。

その瞳は、
野望に燃えギラギラと光っている。

この時、
皇后は心中畏れ、
震えがわきたち、
どうしてよいかわからなかった。

しかし、
兄の意思は堅く、
諫めることなど出来ないだろう。

そこで、
その匕首を受け取ったはいいが、
ひとりかくすところもなく、
衣の中に入れて置いた。

遂に、
兄の情を諫めることは出来なかった…

とな、

さぁ、
皇后は兄を説得できるのか?

それとも、
兄に言われた通りに
天皇を暗殺するのでしょうか?

さて、いかに…
明日に続きます。

今日はなんとなく、
小説風に訳してみました。

久しぶりに書いてみたら、
語彙が出てこない。
やはり文章は書き続けないとダメですね。

最後まで読んで頂き
ありがとうございました。


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