日本書紀 巻第十九 天国排開広庭天皇 六十二
・調吉士伊企儺の死
同じ時に、
虜とされた、
調吉士伊企儺(つきのきしいきな)は、
ひととなりが、
勇烈(ゆうれつ)で、
ついに降服しませんでした。
新羅の闘将は、
刀を抜いて斬ろうとして、
逼(せま)り、
褌(はかま)を脱がせ、
追って尻臀(しりこぶた)を
日本に向けさせ、
大いに號叫(さけんで)、
(叫は咷(さけぶ)です)
「日本の将よ、我が臗脽(しり)を食らえ」
といわせようとしました。
即、號叫して、
「新羅王よ、我が臗脽をくらえ」
といいました。
苦しめられ逼(せま)られても、
なおも前の如く叫びました。
これによりて、
殺されました。
その子の舅子(おじこ)もまた、
その父を抱いて死にました。
伊企儺からことばを旨く奪い難いのは、
皆これの如く。
これによって、
特に諸将師(いくさのきみ)によって
痛く惜しまれる処でした。
その妻の大葉子(おおばこ)もまた、
並びにいけどりにされました。
愴然(そうぜん)して歌って、
韓国(からくに)の
城(き)の上に立って
大葉子は
領巾(ひれ)を振らすも
耶魔等(やまと)へ向いて
あるひとが和して、
韓国の城の上にお立ちになり
大葉子が
領巾を振るのが見える
那儞婆(なにわ)へ向いて
・勇烈(ゆうれつ)
気性がいさましくて激しいこと
・尻臀(しりこぶた)
尻の肉付きの豊かな部分。しりこぶら。しりたぶら。しりたむら。しりたぶ。しりむた
・號叫(さけんで)
=ごうきょう・大声で叫ぶこと。また、泣き叫ぶこと
・尻を食(くら)え
人をあざけりののしっていうことば。または、恩をあだで返し、あとを顧みないこと。また、そのさま。
・将師(いくさのきみ)
将軍
・愴然(そうぜん)
悲嘆にくれるさま。いたみ悲しむさま
(感想)
(欽明天皇23年7月)
同じ時に、
捕虜とされた、
調吉士伊企儺は、
ひととなりが、
気性が勇ましくて激しく、
ついに降伏しませんでした。
新羅の闘将は、
刀を抜いて斬ろうとして迫り、
褌(はかま)を脱がせ、
追って尻臀(しりこぶた)を
日本に向けさせ、
しりこぶたを日本に向けさせ
、って
なんだか…
やらせようとしていることが、
大人の行動じゃない。
幼い。
大声で叫ばせて、
「日本の将軍よ、我が尻を食らえ」
といわせようとしました。
すぐに叫んで、
「新羅王よ、我が尻をくらえ!」
といいました。
苦しめられ、迫られても、
なおも前のように叫びました。
これによりて、
殺されました。
その子の舅子もまた、
その父を抱いて死にました。
伊企儺から言葉を奪い難いと、
皆このように思いました。
これによって、
特に諸々の将軍によって
痛く惜しまれました。
その妻の大葉子もまた、
並びに生捕りにされました。
いたみ悲しみ歌って、
韓国(からくに)の
城(き)の上に立って
大葉子は
領巾(ひれ)を振らすも
耶魔等(やまと)へ向いて
ある人が和して、
韓国の城の上にお立ちになり
大葉子が
領巾を振るのが見える
那儞婆(なにわ)へ向いて
戦のお話は、
読んでいて、
嫌になります。
明日に続きます。
読んで頂き
ありがとうございました。
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