内輪の小さな音楽界にて、ソロでヴァイオリンを弾きました。
私は死ぬほど練習したので、本番は楽勝です。(嘘)
昼頃、天気もよく電車も止まらず体調も万全で、意気揚々と家を出ました。
さほど混んでいない電車内で、大柄な男性が「邪魔」と言わんばかりに、私の楽器をぐいぐい押してきました。普段から楽器を背負ってあちこち移動していますが、こんなことは初めてです。それ以上のことはなかったけれど、少し怖くて胸がドキドキしました。
リハーサルはステージではなく練習室で。(このことが、本番でちょっとした演奏事故につながりました)
周りで人が会話していたり、バタバタと出入りがあったりする中、1回だけさっと通しました。
この1週間、どんな状況でも弾き始める訓練をしていたので、緊張や動揺はほとんどなく、伴奏者とテンポの確認をして終了です。
待ち時間に、会場の隣にあるカフェでケーキセットを食べました。
美味しかったです。
本番前は食欲が一切なくなるので、ここで食べておいて良かったです。
楽屋で、近くにいた出演者の中に楽器の調整不足の方がいて、多忙な先生の代わりにお手伝いしました。
これがなかなかの難儀。
ペグをいくら中に押し込んでもゆるゆると戻ってしまい、音が合わせられない状態です。さらに、目視でわかるほど弦が伸びきっています。
張り替え直後の弦は安定しないので、本番直前は普通はやらないのですが、そうも言ってられません。
幸い、その方は予備の弦をお持ちだったので、私の独断で張り替えました。
それにしても、なんて汚れた楽器でしょう。
私は松脂を拭き取り、別の布で楽器全体を拭いて「もう少しお手入れした方がいいですよ」と、言わずにはいられませんでした。
ほどなくして先生が現れたので、あとはお任せです。
私の出番は、プログラムの後ろから2番目で、最後は先生でした。
それぞれ出番を終え、緊張から解放された人たちは皆客席へ行き、伴奏者が舞台袖に行くと、自分の一つ前の出番の方と二人きりになり、最後は一人になりました。
音合わせをして、部屋を出ました。
舞台袖で、自分の一つ前の方の演奏を聴きました。
ヴィエニャフスキ「華麗なるポロネーズ」。
明るく技巧的な曲です。
曲に合わせてドレスを広げて軽く踊りました。
奏者は雰囲気のある女性で、リハーサルより落ちついていて、音程も安定しているように聞こえました。
(客席にいた夫は、少し違う印象を持ったようですが、本番直前の私自身の心情や聞いている場所にもよるのでしょう)
「さあ、翼を広げて自由に飛び立って。どんな風になっても合わせるから」
優秀なコレペティトールである私の伴奏者の言葉です。
舞台に上がると、思いのほか客席が明るく、一人一人のお顔がよく見えます。
知っている顔ばかりです。
ピアノの蓋はわずかに開くのみ。(ちょっとした演奏事故の原因2)
メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。
弾き始め、自分の指がかすかに震えているのに気付きました。
(ええい、そのままビブラートとしちゃえ!)
これを業界用語で「ビビラート」と言うそうですが「ビビラート」は数秒で収まりました。
自在になって一安心。
でも、あれ? ピアノとズレてる?!
あとで知りましたが、この時、伴奏者には私のヴァイオリンの音が聞こえていなかったのです。
前述の、ステージリハーサルができなかったこと(前もって知っていれば対処できた)、ピアノの蓋がわずかにしか開いていなかったこと(全開なら反響でヴァイオリンが聞こえた)が原因でした。
でも、音楽は止められません。
辛うじて立て直すチャンスはあり、私も伴奏者もその場でできる最善を尽くし、何が起ころうが「これが正解よ!」と言わんばかりに、強気で弾き切りました。
本番っていつも何か起こるんですよね。
客席で聴いていた夫は「堂々としてたから素人は気付かないよ」と言っていましたが、有名な曲なので残念と思った方は少なくないでしょう。
翌日、撮影された(本当は見たくない)動画を見ました。
思った通りの箇所で、思った通りのことをやらかしている。
原因はメンタルです。
音楽以外の余計なことを考えた一瞬の集中の途切れ。
お客さんの顔が見えたり、ネガティブ思考がよぎったり。
難しい部分が思った以上に上手くいって、安心してしまった直後とか。
成功したのは、姿勢、弓使い、音色。(前よりいいという意味)
よく練習した難しい和音の三連符。
カデンツァの前半は、自分が表現したかったように駆け上がることができました。
チョン・キョンファ風にね。
……
とにもかくにも、改善の余地ありまくりです。
弾き終えた直後、もう一度この曲を弾きたい、と思っていました。
自分は才能がないのでこの曲を最後にクラシックはやめよう、と思っていたのですが、そのことすら忘れていました。
どこにもない「完璧」を探し続ける永遠の旅。
私もまだ終われないようです。
私は死ぬほど練習したので、本番は楽勝です。(嘘)
昼頃、天気もよく電車も止まらず体調も万全で、意気揚々と家を出ました。
さほど混んでいない電車内で、大柄な男性が「邪魔」と言わんばかりに、私の楽器をぐいぐい押してきました。普段から楽器を背負ってあちこち移動していますが、こんなことは初めてです。それ以上のことはなかったけれど、少し怖くて胸がドキドキしました。
リハーサルはステージではなく練習室で。(このことが、本番でちょっとした演奏事故につながりました)
周りで人が会話していたり、バタバタと出入りがあったりする中、1回だけさっと通しました。
この1週間、どんな状況でも弾き始める訓練をしていたので、緊張や動揺はほとんどなく、伴奏者とテンポの確認をして終了です。
待ち時間に、会場の隣にあるカフェでケーキセットを食べました。
美味しかったです。
本番前は食欲が一切なくなるので、ここで食べておいて良かったです。
楽屋で、近くにいた出演者の中に楽器の調整不足の方がいて、多忙な先生の代わりにお手伝いしました。
これがなかなかの難儀。
ペグをいくら中に押し込んでもゆるゆると戻ってしまい、音が合わせられない状態です。さらに、目視でわかるほど弦が伸びきっています。
張り替え直後の弦は安定しないので、本番直前は普通はやらないのですが、そうも言ってられません。
幸い、その方は予備の弦をお持ちだったので、私の独断で張り替えました。
それにしても、なんて汚れた楽器でしょう。
私は松脂を拭き取り、別の布で楽器全体を拭いて「もう少しお手入れした方がいいですよ」と、言わずにはいられませんでした。
ほどなくして先生が現れたので、あとはお任せです。
私の出番は、プログラムの後ろから2番目で、最後は先生でした。
それぞれ出番を終え、緊張から解放された人たちは皆客席へ行き、伴奏者が舞台袖に行くと、自分の一つ前の出番の方と二人きりになり、最後は一人になりました。
音合わせをして、部屋を出ました。
舞台袖で、自分の一つ前の方の演奏を聴きました。
ヴィエニャフスキ「華麗なるポロネーズ」。
明るく技巧的な曲です。
曲に合わせてドレスを広げて軽く踊りました。
奏者は雰囲気のある女性で、リハーサルより落ちついていて、音程も安定しているように聞こえました。
(客席にいた夫は、少し違う印象を持ったようですが、本番直前の私自身の心情や聞いている場所にもよるのでしょう)
「さあ、翼を広げて自由に飛び立って。どんな風になっても合わせるから」
優秀なコレペティトールである私の伴奏者の言葉です。
舞台に上がると、思いのほか客席が明るく、一人一人のお顔がよく見えます。
知っている顔ばかりです。
ピアノの蓋はわずかに開くのみ。(ちょっとした演奏事故の原因2)
メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。
弾き始め、自分の指がかすかに震えているのに気付きました。
(ええい、そのままビブラートとしちゃえ!)
これを業界用語で「ビビラート」と言うそうですが「ビビラート」は数秒で収まりました。
自在になって一安心。
でも、あれ? ピアノとズレてる?!
あとで知りましたが、この時、伴奏者には私のヴァイオリンの音が聞こえていなかったのです。
前述の、ステージリハーサルができなかったこと(前もって知っていれば対処できた)、ピアノの蓋がわずかにしか開いていなかったこと(全開なら反響でヴァイオリンが聞こえた)が原因でした。
でも、音楽は止められません。
辛うじて立て直すチャンスはあり、私も伴奏者もその場でできる最善を尽くし、何が起ころうが「これが正解よ!」と言わんばかりに、強気で弾き切りました。
本番っていつも何か起こるんですよね。
客席で聴いていた夫は「堂々としてたから素人は気付かないよ」と言っていましたが、有名な曲なので残念と思った方は少なくないでしょう。
翌日、撮影された(本当は見たくない)動画を見ました。
思った通りの箇所で、思った通りのことをやらかしている。
原因はメンタルです。
音楽以外の余計なことを考えた一瞬の集中の途切れ。
お客さんの顔が見えたり、ネガティブ思考がよぎったり。
難しい部分が思った以上に上手くいって、安心してしまった直後とか。
成功したのは、姿勢、弓使い、音色。(前よりいいという意味)
よく練習した難しい和音の三連符。
カデンツァの前半は、自分が表現したかったように駆け上がることができました。
チョン・キョンファ風にね。
……
とにもかくにも、改善の余地ありまくりです。
弾き終えた直後、もう一度この曲を弾きたい、と思っていました。
自分は才能がないのでこの曲を最後にクラシックはやめよう、と思っていたのですが、そのことすら忘れていました。
どこにもない「完璧」を探し続ける永遠の旅。
私もまだ終われないようです。
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