母の引っ越し

アルツハイマー症なので、現状を理解していない。
住み込みの仕事先が変えられたという認識をしようとしているが、新しい環境は嫌だと訴える。

夜は一緒に泊まってほしいと訴えるが、ホームの方に伺うと、慣れるまで時間がかかるが、付き添うことはしなくて良い、とのこと。
新しいベッドや部屋、新しい人たちのなかでしばらくは興奮するだろうが、早いうちに移動しなくてはいけなかったのだから、今日でちょうど良いのだろう。

元のホームでお世話をしてくださった方々も、母を家族のように可愛がってくれた。
涙目になって、見送ってくださった。
これでもう母とは会えないのだという現実を受け入れてくださっていた。
母は素直で正直に話すので、世話をする際、わかりやすかっただろう。
母の我慢強さを尊敬してくださった。
何より、母を認めてくださっていたのが、嬉しかった。

新しいホームでも、愛嬌をふりまいて挨拶をしていた。
こういう母に育てられて、幸せだ。
ありがとう。
あなたの娘でいることは幸せ。
これからも笑顔でいられるような時間を過ごそうね。
感謝。