ボンボンを買いに・・・

好きなこと、好きなもの、思ったこと、イロイロ。

この狭い世界に繰り広げられた、壮大なドラマ。「嵐が丘」。

2018-09-30 15:08:21 | 日記

最近ネカフェがすっかり気に入ってしまって、

あちこち行っている。

でも、なかにはがっかりする店もあって、

ああいうところって当たり外れが結構あるね。

どうせ料金は似たようなもんなんだから、

お気に入りの店を探して楽しみたいですね

 

 





ネカフェで見ていた映画が、これです。

たぶん小説でも読んだと思うんだよね。

でも、あまり覚えていなかった。

映像化はこれまでたくさんされていますよね。

 

🌟🌟🌟



しかし、これこそアレよなぁ。

狭い世界の中でくっついただの、離れただのの、

近親結婚の物語よ。

前に書いた、源氏物語を思い出してしまった。

 

🌟🌟🌟

 

源氏物語にせよ、嵐が丘にせよ、今よりずっと世界が狭かった頃の話。

やむをえないでしょう。

 

 🌟🌟🌟

 

この「嵐が丘」は、ご近所同士。

アーンショー家とリントン家をめぐる物語。

すべては、アーンショー家にヒースクリフが拾われてきたときから始まる。

肌の黒い、子鬼のような小僧。

彼が外見からして異質なのは一目瞭然なのだ。

 

🌟🌟🌟

 

ヒースクリフはとにかくいじめまくられる。

アーンショー家の主人が生きていたころはまだよかったが、

キャサリンを除いては、誰も味方してくれる人はいない。

 

🌟🌟🌟

 

親なし子とさげすまれ、ジプシーといじめられ、

キャサリンとの間をあの手この手で引き裂かれようとする。

 しかし、いじめられればいじめられるだけ、キャサリンとの絆は強まるのだ。

(わかりますね~このあたりは)

 

🌟🌟🌟

 

誰よりも魂の結びついていた二人。

しかし所詮は身分違い。キャサリンはリントン家のエドガーと結婚し、

ヒースクリフはいたたまれなくなって嵐が丘を去るのだった。

 

🌟🌟🌟

 

ここからヒースクリフの復讐劇は始まる。

嵐が丘に戻ってきた彼は、

その愛と憎しみで、すべての人間を不幸にしていく。

キャサリンへの思慕と、自分を蔑んだ人間に対する憎しみ。

これがものすごい両極端なのだ。

 

🌟🌟🌟

 

いや、なんというか、

ここまでくれば、これは表裏一体の感情という気がしてくる。

キャサリンへの思慕といったけど、それだって、

自分を振ってエドガーと結婚してしまった彼女に対する憎悪も含まれている。

 

🌟🌟🌟

 

しかし、なんというかなぁ。

それでも絶ちがたく結ばれている二人なのだ。

愛と憎しみは表裏一体なんですね。

 

🌟🌟🌟

 

キャサリン亡き後も、アーンショー家とリントン家に対する

ヒースクリフの復讐は続くが、

その言動は、さらに常軌を逸していったように思われる。

キャサリンの墓を掘り返したりね(むっちゃホラー)。

 

🌟🌟🌟

 

昔の明るくくつろいだ雰囲気はどこへやら、

いまや荒野に打ち捨てられた墓場のような、

暗く冷たいアーンショー家。

その嵐が丘の屋敷で、ヒースクリフは、

ひたすらキャサリンがやってくるのを待っている。

 

🌟🌟🌟

 

そして、嵐の日。

訪れたキャサリンの亡霊とともに、

待ちかねたように、ヒースクリフもこの世を去るのでした。

 

🌟🌟🌟

 

改めていうけど、すべてがご近所を舞台にした物語。

その狭い世界に繰り広げられる愛憎劇が、とにかくすごい。

ドロドロに濃すぎて、ハンパないのです。

 

🌟🌟🌟

 

これが、もっと広い世界を舞台にした話ならば・・・

ほかに結びつく相手はいくらでもいる。

なにも好き好んで、近所同士、いとこ同士でくっつかなくたって。

しかもそろいもそろって不幸な結婚ときている。

ここまで狭い世界の人間関係に執着しなくたって・・・・と思うのですが。

 

🌟🌟🌟

 

この物語を生み出した、エミリー・ブロンテは、

29才でこの世を去っています。

小説はこの一作だけを残して。

 

ブロンテ姉妹を描いた作品。なかなかよかった。リアリティーあります。

 

 

生涯独身。

残された記録を見ても、親しくつきあっていた男性はなかったようです。

気性が激しく、人付き合いが苦手で、引きこもりがち。

唯一心を通わせる、肉親(シャーロット、アンなど)にさえ、

秘密にしていたことも多かったようですね。

 

🌟🌟🌟

 

「嵐が丘」のヒースクリフは、ほかでもない。

恋愛経験もないまま、はかなく世を去った、

エミリーの想像から生まれた人物なのでした。

しかし、なんと強烈な男性でしょう。

 

🌟🌟🌟

 

世の中の規範に収まりきらない、荒々しく悪魔的で、狂気じみた男。

彼と結びついたキャサリンも、一言では表しきれない。

死の間際まで、ヒースクリフとの魂の絆を感じ続けていた。

なんという女性でしょう。

 

🌟🌟🌟

 

愛とは、憎しみと表裏一体。

道徳云々、世の中の決まりごとなどとは、正反対のところにあるものだと。

 

🌟🌟🌟

 

あの時代の、片田舎で、短い生涯を終えた処女。

エミリー・ブロンテは、たった20代にしてそれを知っていた。

そしてあの物語を書き得たのです。

 

🌟🌟🌟

 

そして、狭い世界の中で繰り広げられた話なのに、

なぜかとてつもなくスケールが大きい。

そう感じてしまうのは、不思議です。