ピカールのネコライオンな日記

日々の雑感、鑑賞した映像作品や趣味について書いたブログです。

小説 君の名は。  (前編)

2016-09-22 17:50:00 | 映画
私には珍しい事ですが、
映画『君の名は。』の内容についてを観賞後も色々と考えてしまいました。
それが高じて小説版を手にするまでに至りました。

以下、小説版に関しての逐次感想です。
なお、小説版は小説版として独立しているので、
映画版を観賞していないとした読み方をしました:

第一章 夢;
一読した後に読み返すと、
7頁の“この水のぬるさと味にかつて驚いたことがあったような気がして”という一文から、
私(三葉)が経験した記憶が俺(瀧)にも残滓として残っているという事が想像できて作品の面白みが広がりました。
あと百人が乗った車輛という一文は文章としてのリズムは良いけれども、
ラッシュ時にそんなに空いている訳ないよ、と突っ込みを入れてしまう。

第二章 端緒  第三章 日々
第二章冒頭で190~192頁の再現がされています。
ややこしいですねこの小説。
またそれが良いのですがね。
ここで、第三章も読むと気付くのですが、
なかなかややこしい時間軸です。

(三葉目線)                    (瀧目線)
 初めての入れ替わり(記憶が無い)      初めての入れ替わり(胸をもむ)
  |翌日                       |
 ノートに お前は誰だ? 発見         |
 晩に組紐と口嚙み酒をつくる          |
  |翌日?                     |
 東京のイケメン男子になっている       美術の時間に机を蹴る
 手のひらに みつは と書いて寝る       
  |翌日                       |翌日
 みつは???                   手のひらに みつは と書かれている
 お前はなんだ?                 日記に驚く
 お前は誰だ???? と書かれている     
 美術の時間に机を蹴ったことを知る
 古典のノートを確認する
                    ※入れ替わりに気付く※

書いてみると分かりますが、
小説内で時間の記述が対応していないのです。
なかなかやりますね、新海誠。
改めて記述すると複雑な時系列なんですね。

さて本筋の感想に戻ると、
最初、防災無線の放送が伏線だとは気付きませんした。
また、カタワレ時や組紐の説明や豊穣祭の方は何らかの伏線だとは思いましたが、
この段階で口嚙み酒がキーアイテムだったり繭五郎の大火に意味があるなんて、
最初気付きませんでした。
あと、社務所の宴会に残っている参加者数を計算してみると10人でした。
その内、一葉の82歳なので残りは自動的に平均92歳になります。
オイオイ。

第三章はテンポよく進んでいきますが、
これを読むと入れ替わった“学生生活”が本作の本筋ではない事が分かります。
宮水家の伝統や、ムスビの方がよっぽど重要な意味があると気付かされます。
途中、“よりあつまって形を作り、捻れて絡まって、時には戻って、途切れ、またつながり。
それが組紐。それが時間。それが、ムスビ。”と一葉がオチを解説するあたりにくいです。

そして、彗星の話が出て、やっと時間に齟齬がある事が発覚します。

(続く)


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