雲と噛みあう刈田嶺(かるたね)の溶岩丘の焼石に
岩燕の骨がひっかかっている
人間の骨だってひっかかっていて
神話のひかりに風化する
雲の中でもなぜ花は紅いか
骨からの分泌は土へとおるか
あどけない童女のくちびるほどにひそやかに
その赤禿げの焼石原に
駒草の花が咲いている
(また霧が吹いて来て霧の中から雹がふる)
寒いといえれるうちはいい
おれはけがれたからだを骨まで霧に舐めさせて居よう
反省など止めて居よう
山は原始のように残忍である
人間どもも風物と同じに
神代からさしてすすんでおらないと
今こそおれは知ったのだ
誰が種をこぼしたかもわからない
山頂に歴史の前から花は咲いている
(また霧が吹きつけて来てどこもかも見えなくなり
霧の中からはざんざん音がして雹が降り・・・・)
顔を伏せれば
足もとの永い風化の溶岩のかげ
しっとりと濡れて咲く駒草の淡紅の花
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