数年前、事故で両手の指の全てを失った幼馴染がいる
小学校低学年からの幼馴染
当然、両親も知っている
彼は幼い頃に父親を亡くしている
私の母は、そんな幼馴染に優しかった
両指を失った幼馴染に、あんなに優しくて頑張り屋の子が何故に不幸なのだろう、そう言って涙ぐんだ時もあった。
幼馴染は27歳の頃に結婚した
結婚を決める前に私に紹介した
『この子をどう思う?』
どう思うと聞かれても結婚を前提に付き合ってる彼女だ
反対するはずもないし、とやかく言ってどうする
『いい子じゃない』
そして結婚の招待状が届いた
新郎の友人として出席した
彼は幸せの絶頂にいたと思っていた
しかし愛の無い結婚だったと後で知った
愛が無いのに何故に結婚を?
彼女が結婚したいと強く希望したからだと
しかし愛の無い結婚は3カ月で破局
仕事を終えて帰宅する彼に夕食を作れとせがむ新妻
掃除も洗濯も食事も全て彼がやっていた
新婚ラブラブかと思って遊びに行った時に目にした光景
忙しなく動く彼を横目に胡坐をかいて煙草を吸っていた新妻
見ちゃいけないものを見た気がして即座に帰ったのを覚えている
彼は離婚した後に本気で愛する女性と出会った
それは人妻だった
禁断の愛
私に悩みを打ち明けた
人妻だった彼女も一緒だった
私は彼を軽蔑してしまった
人妻な彼女に子供はどうするのと叱咤もした
何でも言える幼馴染だからこそ本気で叱る
彼は人妻の彼女と別れた
彼女は元の家庭に納まった
幼馴染は必死に自分の人生の修復に専念した
その頃に事故にあって両指を失った
仕事も出来ない
それでも彼は頑張ってきた
小さな仕事でも何でも頑張って頑張って生きてきた
誰の世話にもならずに頑張って生きてきた
私の母が他界した事を知った彼は郵便受けに
少しですが、お母さんに何か買ってあげて下さいと封筒を置いていった
5000円入っていた
今の彼には大金だ
彼は頑張って今日も生きている
しかし仕事も何もない
健康な若者が働きたくても仕事のない日本
両指の無い彼に小さな仕事も無くなった
彼は生きて行く為にプライドを捨てて生活保護の申請をした
明日の生活に困る人が溢れてる日本
生活保護を受ける為に必要最低限の暮らしをしろと言われた
テレビ洗濯機、小さな冷蔵庫、炊事に必要な物しかない幼馴染
去年、捨てられていたウサギを保護した私に
『そのウサギ、俺が可愛がって育てるから』
引き取ってくれた彼だ
これ程にも純粋に何でも私に相談してくれる彼
最近だが俺みたいな人間は生きて行く価値がないのかな?
その言葉に私は爆発した
根性なし
弱虫
意気地なし
彼は笑った、みゆきと幼馴染で良かったと
人は誰かに必要とされているから生きているのではない
自分という存在は自分でしか分からなくなる時もある
支えが必要だ
去年、捨てられたウサギちゃん
必死にブログにも貰って下さいと投稿した
しかし彼が喜んで貰ってくれた
ウサギちゃんにユキちゃんと名前も付けて
心の支えになってるユキちゃんが
病気になった
余命3カ月ほどだと泣いた彼
幼馴染よ、このブログは一生見る事はないだろうが
貴方より不幸な人はもっといるんだぞ
波乱の人生でも今くじけちゃ負けだ
プライドなんて人によっては価値なんか無いさ
生活保護を受けられるだけ幸せだと思って欲しい
自分を惨めだと思うな