「養護施設に入りたい」そう言って、自分で児童相談所に行ったのに。彼は、自死を選ぶしかなかった。
親から暴力を受けていること、それを言うことだって、どんなに勇気がいったことだろう。
それなのに、4~5回の指導で、「親子の関係は改善した」と、児童相談所は言った。
馬鹿を言うな!4~5回の指導で、暴力がやめられるわけがない!!ない、と思わないといけないのだ。好きなひとにさえ、暴力を振るうことをやめられず、そこには長期の改善プログラムが必要だというのに!
私も何度も児童相談所へ行った。子どもからの相談を受けて。親からの相談を受けて。ある時、あるお母さんが話してくれた。「職員の前では、いくらでもお利口にできる。」だから、親が、わかりました、大丈夫、と言ってもそのまま信じないで、とそのお母さんは言った。それは、助けて!というお母さんからのサインでもあった。それほど、家の中は、みえないところなんだ。
どんなにこわかっただろう。どんなに苦しかっただろう。息の詰まる毎日から、逃げようと、ちゃんと彼は行動したのに…
最後の彼の訴えが、上司に報告されなかったと報道されている。でも、報告しなかったその職員だけの責任にしてはいけない。それまでの経過の中で、学校もふくめ、何重にもすり抜けられてきた経過があるのだから。
彼が死を選ばなければならなかったほどの苦しみを、わかろうとする力を、日々鍛えていける研修制度も、人数配置も、また、児童相談所自身のあたたかい職場も、つくってほしい。それは、そこに携わる職員だけでなく、国をあげて政治が取り組むことだ。
苦しみ抜いた彼のことを、忘れてはいけないのだ。
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