前にも書いたが
母の靴はかかとのすり減りが早い
それでもまだ
去年は
半年に一回くらいのペースで
買い換えてた
今年の春
新しい靴を買った
ここ数年
母の好む靴は
ほぼ同じデザインの
やわらかいバレエシューズっぽい靴で
色もいつも黒だ
かかとも地面の接着部分が
一体型のゴム製
そのゴム製のかかとが
なくなるどころか
後ろに向かって
斜め上に切り込まれる形で
すり減ってしまう
春に買った靴がすり減って
「もう買い換えないと」と
母が言ったのが2か月後
「早くない?」
と言ったが2か月前に買ったことを
覚えてないので
すり減ったかかとの靴を見て
「だってもうこんなんだもん
どっか買いに連れてってよ」
と訴える
私としても
そんなに頻繁には付き合いきれないので
「行けたらね」
と言葉を濁しておいた
それからなぜか
靴がほしいとは言われなくて
一緒に出掛けても
靴屋に行こうとも言わないので
特にこちらからは
その話は出さなかった
そんなある日
実家に行くと
玄関の母の靴の定位置に
昔見た柔らかめの茶色いサンダルが
置いてあった
「なんだ、履く靴あるじゃん」
と思って少しほっとした
それから夏も終わり
9月の終わりごろ
うちにフラリと現れた母が
靴を握りしめ私のそばに来て
「見て❗かかとこんなになっちゃって❗
もう履く靴がないから困っちゃう
なんならあんたが買い物行ったときでいいから一足買ってきて❗」
と言った
見るからにボロボロの靴だ
これはヤバイと思ったので
2日後に
ちょうど春に靴を買った靴屋さんの入る
ショッピングモールに行ったので
ほぼ同じような靴を一足買い
夕方に実家に行った
「靴買ってきたよ」
と靴を差し出すと
「なんで?靴あるよ?」
と言う
母が指差した先には
先日持ってきたボロボロの靴と
似たようなデザインの
割とまだ大丈夫な靴がある
そこでやっと
かかとがつぶれるのが早すぎると
思っていた靴は
春に買い換える前に
履いていた靴だったとわかった
以前は
新しいのを買った時点で
ダメになったのを
処分してたから
当然
春も新しいのに履き替えて
古いものを処分しているだろうと
信じて疑わなかった
「かかとがつぶれて履く靴がないから
買ってきてって言うから
買ってきたんじゃん❗」
と言うとあわてて
「いいよいいよ、あら❤️履き心地すごくいいわ✨ありがとね~」
とごまかしていた
イラッとしたが
真相がわかったので
しばらく靴の心配をしなくていいから
まあいいか