サンキューベリーマッチ

　バスを下りようとしていたときでした。
　下りる意思を示しつつ、後ろからくる人を先に通そうと座って待っていると、「プリーズ」と声をかけられました。
　後方の席に座っていた女性が、順番を譲ってくれたのです。
　すいません、と先にバスを下りました。
　えっ、プリーズって言った？
　外国人に間違われた？
　いや、あの人が外国人？
　すっごく気になったので、バスを下りてから振り返って見てしまいました。
　日本人のようです。
　でも、隣りにいるのは白人の男性。
　英語で会話をしていて、つい出てしまったのでしょうか。
　とっさにサンキューくらい言いたいものです。

特大ホームラン城を越える

　仕事始め。
　自宅で一人の仕事なので、新年会の準備もしてありません。
　いつものように仕事のメールがきて、電話が入ります。
　今年もよろしくお願いします、早速なんですが。
　年末年始の長い休みの感覚は、さっと蹴られてゴールネットを越え、バックスクリーンをオーバーし、姫路城をも飛び越えて、あっという間に消えてしまいました。

禁じられていることをして

　「超巨大」な「ハリケーン」が「全部吹っ飛ばす」映画『ワイルド・ストーム』。
　そこへ「史上最悪の火事場強盗」が起こる「前代未聞」の展開。
　嵐のごとく散らかってしまったストーリーですが、楽しめないわけではありません。
　できることなら「なんだよ、これ」「すっげぇ」とか喋りながら見られたら、もっとよかったでしょう。
　映画館なのでおしゃべりは禁止。

店内暑めにしています

　新春バーゲンのデパートは賑わっていました。
　買う気もないのにブラブラ。
　ハンガーにかかっているコートにちょっと手を触れると、すかさず声をかけられました。
　買わないですよと言うのに、羽織ってみるだけでもと押し切られました。
　んー、ちょっと地味かな。
　インナーを明るめにすれば全然違いますと、胸元に白いセーターをあてがわれました。
　いや、いや、いや、似合ってないって。
　それにセーターが暑くて汗をかきそう。

色あせた旅行記

　10代の頃に読んだ本が、ぎっしり詰まった本棚。
　帰省した際、じっと眺めてみました。
　当時興味を持っていた旅や、国、作家が手に取るようにわかります。
　見知らぬ誰かの本棚だとしても。
　きっとこの人はバックパッカーに憧れています。
　東南アジアに行きたいようです。
　野田知佑、植村直己、沢木耕太郎、前川健一。
　『ガリヴァー旅行記』もありました。