プリンス・エドワード島は赤土でできた島である。
道も赤なら、海岸の波に削られた地層も赤。ジャガイモ畑も赤。
『赤毛のアン』でも、冒頭のところでアンがマシュウにこんなふうに話している。
「この赤い道とてもおもしろいわ。シャーロットタウンで汽車に乗ってから、赤い道路をわきに見てどんどん通りすぎて行くので、どうしてあんなに赤いのってスペンサーの小母さんにきいたのよ。そうしたら小母さんにもわからないんですって。そして、後生だからこれ以上なにもきかないでちょうだい、もう千くらいもきいたじゃないのって言いなすったわ。そのくらいはきいたかもしれないって、あたしも思うの。でもわからないことをきかなかったら、どうしていろいろなことがわかるのかしら。ねぇ、どうして道が赤くなるの?」
このアンの投げかけた質問に、マシュウは答えられない。
「そうさな、どうしてかな」
「いいわ。それもいつか、しらべだすことの一つだわ。これから発見することがたくさんあるって、すてきだと思わない? あたししみじみ生きているのがうれしいわ──世界って、とてもおもしろいところですもの。」
このようにアンは言っている。
このアンの疑問の答えは「土の成分に酸化鉄が多く含まれるために、土の色が赤くなる」である。
また、プリンス・エドワード島には岩がない。
石造りの家を建てるときなどは、隣の州から石を運んでくるということだ。