こんにちは!
ハル文庫の高橋です。
雨が降りそうですね。
今日はハル文庫で耳にした子供たちの話をご紹介したいと思います。
ひとつめは、いつも文庫にきている常連の歩ちゃん。
剣道部に入っていて、昇段試験を受けて初段になったばかりだそうです。
ときどき「ぶっ殺すぞ、テメェ!!」なんて、男の子に啖呵を切っていますね。
(なんと乱暴な…と思われるかもしれませんが、少なくとも、この辺りの中学生の言葉遣いたるや、
こんなものです。トホホ…)
さて、肩まであった髪をバッサリ切って、短くショートにしたばかり。
文庫に来ていた同じ中学2年生の知り合いの男の子に
「おう、失恋したんかい」と声をかけられた歩ちゃん。
じーーーっと男の子をみてから、
「寝言は寝てるときに言えっ!!」
とシラーっというと、さっさと向こうに行ってました。
思わず笑ってしまいました。
次は中学1年生の翔太くん。
ときどき宿題を抱えて文庫にやってきます。
100円の飲み物とおやつのセットがお気に入りらしいです。
その翔太くんは庭のテーブルに陣取っていたんですが、
ちょうど私が通りがかって「今日は何してるの?」と声をかけたら
こんなことを話していました。
「高橋さん。ぼく考えたことがあるんだけど」
「なあに、どんなこと?」
「あのさ、みんな自分の海を泳いているんだよ」
「うん? もう秋だし…」と話の行き先がわからなくて、ちょっと戸惑いました。
「だからさ、ぼくは毎日、ぼくの海を泳いでる。
で、亮ちゃんは亮ちゃんの海を泳いでる。
くそムカつくシュウヘイは、シュウヘイの海を泳いでる。
泳ぐのはそんなにラクじゃないから、みんな、けっこう一生懸命泳いでる」
どういうことかな、と思いましたが、
けっきょく「人はぞれぞれ自分の海を泳ぐ」っていうのは、
そういうふうに生きているということだと解釈しました。
「ふうん。じゃあわたしも、毎日、わたしの海を泳いでいるってことね」
「そう。だからシュウヘイが意地悪したり、バカにしてくるからって
気にしない方がいいってこと。
あいつはあいつで自分に海を泳ぐのに必死なんだ。ふん、どうせ超塩っからい海さ」
おやおやっ、と思いました。
「それ、自分で考えたの?」
「まあね、遠泳の話をおじさんから聞いて、思いついたんだ。
せーの、で泳いでいても、きっとそれは同じ海じゃない。
人間ってさ、自分の海を自分一人で泳いでいくんだ。
おじさんが言ってた、遠泳のときはものすごく孤独だって。
自分ひとりしか、そこにはいない。誰も代わりに泳いじゃくれないって。
みんなといっしょに泳いでいるんじゃない。自分だけの海を泳いでるんだって」
「そこから、毎日の生活のことに結び付けたってわけね」
「うん」と悪びれずに翔太くんはうなづきました。
「そうか。自分は自分だけの海を泳いでいて、ほかの人もそうなら、
人のことをとやかく考えたり、悪口を言ったりすることもないわねぇ。
みんなそれなりに泳いでるんだからね」
「そう思うでしょ。シュウヘイだって、自分がおぼれないように必死こいてるんだ。
ぼくに構うなって話だよ」
そういってから、少し真面目な表情になって、
「この話、面白くない?」と私にききました。
「うん、面白い。翔太くんが考えたってのがすごいと思うわ」
へへへっと翔太くんは嬉しそうでしたよ。
まったく、子どもたちの考えることは、面白いなと思います。
飽きないですねー。
ということで、ハル文庫の子供たちから聞いた話でした。
この翔太くんの話は、もうちょっと自分のなかで煮詰めても面白いかなと
思っているところです。
では、今日も素敵な1日をお過ごしください!!