サラ☆の物語な毎日とハル文庫

『100万回生きた猫』の読み聞かせの途中で…

 

おはようございます!

ハル文庫の高橋です。

今朝は絵本『100万回生きた猫』の話をご紹介します。

佐野洋子さんの作品で、ご存じの方も多いかと思います。

 

このエピソードはハル文庫に併設されているブックカフェによくみえている

山田さんというおじいさんにうかがったものです。

 

山田さんは3年前に奥さんを亡くし、ひとり暮らしです。

子どもは二人いて、そのうちのお嬢さんのほうが、

小さいお孫さんを連れて、山田さんの家に遊びに来ました。

 

その小さいお孫さんが、本立てからこの『100万回生きた猫』を引っ張りだしてきて

「おじいちゃん、読んでー」と差し出しました。

その子は男の子で、読み聞かせが大好きなんですね。

ちなみにその絵本は、娘さんが小さいころに読んでいた絵本のなかの一つです。

 

さて、山田さんはその本を知らなかったんです。

絵本には興味がなく、ずっとご縁がなかったそうですよ。

でも可愛い孫の頼みは断れません。

娘さんも「読んであげて」というので、なんだかたどたどしく、

絵本の読み聞かせを始めました。

 

山田さんは読みながら思いました。

なになに、王様も、海賊も、サーカスの手品師も、泥棒も

みんなトラ猫のことが好きで好きでたまらないのに、

猫のほうは飼い主が大嫌いだったんだって?

 

でも猫は死んじゃうんだな。

すると飼い主は大泣きをするんだ。

100万年生きて、100万回死んで、100万回生きたトラ猫。

 

へー、はじめて野良猫として生きるのか。

飼い主がいない。そりゃ自由でいいわな。

猫は自分のことが好きでたまらない。

だからメス猫たちには見向きもしない。なんとね。

 

おや、白い猫…、きれいなメス猫の絵が描いてあるぞ。

トラ猫はこの白い猫が好きになるのかな。

へー、100万年ものあいだ、自分のことにしか興味なかったのにな。

 

トラ猫はさんざん気を引こうとしたあげくに、

とうとうこう言う。

 

「そばに いても いいかい」

白い猫は

「ええ。」

と言いました………

 

もういけません。

山田さんは自分の目に突然、涙がいっぱいたまったの自覚しました。

 

「おい」と娘のほうに絵本を差し出すと

「すまん。代わってくれ…

「いかん、これいじょう読めん」

そういうと、絵本を娘に押し付けて、立ち上がり、洗面所に駆け込みました。

山田さんは泣きました。

 

奥さんのことを思い出しました。

忘れたことなんてないのですが、それでも、生きていたころの姿が

はっきりと目の前にいるように浮かび、

どうしようもなく、切ない、懐かしい、こがれる思いに、

涙がポロポロとこぼれつづけたそうです。

 

 

もしよかったら、このつづきは本を読んで確かめてくださいね。

生きているのも、まんざら悪くないし、死ぬこともまた愛おしいのだと感じられる

ステキな絵本です。

 

山田さんがコーヒーを飲みながら、照れくさそうに話してくれましたよ。

そして「絵本もなかなかいいですな」とおっしゃっていました。

 

さて、今朝は絵本『100万回生きた猫』についてご紹介させていただきました。

それでは、今日も素敵な1日をお過ごしください。

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