拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

空白の一日

2024-03-04 11:47:49 | 日記

ときどきYoutubeで小説の朗読を聴くの。こないだは菊池寛の「三人兄弟」。京の都のずっと北に丹波ってクニがあって(昔は、長寿で有名な丹後は丹波の一部だった)、そこに住む三人兄弟が都をめざすんだけど、途中で道が三つに分かれてて、兄弟が別の道を進んで、それぞれ検非違使(警察)、大泥棒、長者になるって話。面白かった。で、菊池寛って人についてググってみたら、あら、この人こそがいまやその「砲」を誰もが恐れる文藝春秋社の創設者なんだ!

文春砲に限らず、あまたの有名人がマスコミの餌食になってきた。江川卓さんもその一人。覚えてるのは、「空白の一日」事件を経て巨人に入団したときの記者会見で、記者さんたちが熱くなってるんで江川さんが「落ち着いてやりましょう」と言ったらそれが火に油を注いじゃったの(若造に「落ち着け」って言われて、記者さんは「生意気」と思ったんでしょう)。その後、投手として最高の成績を残した年も、沢村賞を穫れなかったのは、投票権を持ってる記者さんたちが「人格が受賞に値しない」と言って反対したから。ピッチャーの賞に人格が必要なんだ。それより、記者さんが「人格」って言ってるのが笑っちゃう。ご自分の人格はしっかり棚(神棚?)に飾ってらっしゃるんでしょうね。だって、私情をはさんで報道する人が人格者だって思えないもの。

潮目が変わったのは引退会見のとき。「空白の一日」についてご本人が語るのを聞いて、国民は初めて真相めいたものに触れた。ニュース番組のキャスターが「いっきに印象を変えた」と舌を巻いてたっけ。今では、事件の詳細はSNSで知ることができる。SNSは弊害も言われるけど、反論の手段として有効。これがなかった昔は、書かれたら書かれっぱなしだったからね。

「三人兄弟」に戻るわね。似た話がグリム童話にもあった。そっちは四人兄弟で、なった職業が、泥棒、千里眼(星占い師)、猟師、仕立屋。どっちも泥棒が入ってるのが面白い。でも、グリム童話の泥棒は他の兄弟と力を合わせて難題を克服してハッピーエンドなんだけど、「三人兄弟」の泥棒(次男)はとっ捕まってお白洲にしょっぴかれて、そこで検非違使の兄と被害者の弟と再会して泣くの(そう、次男は弟のところに泥棒に入っちゃったの)。物語はここでおしまいなんだけど、多分、極刑を申しつけられるんでしょうね。



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